BOYS, BE AMBITIOUS !
食事を終え、安積さんの運転で北広島市へ向かった。
<車中の会話>
「実は、空港に着く前に千﨑部長から私に電話がありまして。」
「え?」
「『うちの山本に旨い昼飯をごちそうしてほしい』って、ご連絡をいただいたんですよ。」
「うちの千﨑部長と知り合いなんですか?」
「ええ。何年か前、札幌で開かれた地域創生フォーラムで知り合いました。温泉街の再生をテーマにした分科会で、千﨑さんがモデレーターをしてたんです。その後、ススキノに飲みに行きましてね。めちゃくちゃ話が面白かったですよ。」
「へぇ、そんなことがあったんですか…」と俺は答えた。
「その時、結構な金額をごちそうになってしまって。ようやく『借り』を少しだけお返しできました。」
「いやぁ、すっかりごちそうになってしまいました。恐縮です」
俺は恐縮してお礼を言った。
その後、車を走らせながら、安積さんが北広島市の名前の由来を教えてくれた。
「明治17年(1884年)、広島県広島市南区段原出身の和田さんたちが、野幌原野に移り住んだんです。やがて大きな集落に育ち、米の生産量は北海道一を記録しました。その功績を称えて、仲間たちの故郷にちなんで『廣島村』と名付けたんですよ。」
「へぇ~、そんな歴史があったんですね。」と俺が相槌を打つと、
安積さんは、さらに話を続けた。
「ついでに言うと、あの『BOYS, BE AMBITIOUS(青年よ、大志を抱け)』の名言を残した場所もココ。札幌農学校(今の北海道大学)のW.S.クラーク博士ですね。
「えぇー! それもココ絡みだったんですか。」
俺は素直に驚いた。
「意外と知られてないんですよねぇ。」と安積さんが笑う。
30分ほどで北広島市に到着した。
