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cb650r-eのブログ

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θ(シータ)?

R1の男が、低い声でぼそっと言った。

「下手なアラ還ライダーは、最高速度制限も60キロにする!」

 



「……はあ?」

一瞬、何の話か分からず、俺は困惑した。

するとR1の男が、ズイッと俺に詰め寄ってきた。
その迫力に思わず身構えると――

「山ちゃーん、俺のこと忘れたの? 薄情だねぇ〜」

……ん?

今度はトーンを落として、まるで旧友に話しかけるような口ぶり。

だが、俺にはまったく見当がつかなかった。

「36年ぶりか……干支が3周しちゃったもんな」

ますます分からない。

「昔さ、お前のSUZUKI WOLF 250と、俺のTZR250の後方排気で何度も何度も追いかけっこしたろ?」

その瞬間――


「……思い出した! お前、高野山大学の同級生、“θ(シータ)”か!!」

「ようやく気づいたか!」

R1――いや、かつての“シータ”は、満面の笑みを浮かべていた。

※補足しよう。
“θ(シータ)”というあだ名は、大学時代のある出来事から生まれた。

数学の授業中、彼は居眠りしていた。
突然、教授に名を呼ばれて飛び起き、「θ(シータ)です!」と寝ぼけた返答。
教室中が大爆笑に包まれ、それ以来、彼のあだ名は“シータ”になった。

バイクに関しては筋金入りで、当時から「俺、絶対白バイ隊員になる!」と宣言していた。
そして本当に、交通機動隊で白バイに乗る男になったと聞いていた。

「警察はもう退職したのか?」

俺が尋ねると、彼は照れくさそうに頭をかいた。

 



「おう。今は安全協会のおじちゃんだぜ」

「そりゃ……お似合いだな」

俺が苦笑交じりに言うと、その場にいた全員が、どっと笑った。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

山中市長面談!(もちろん、フィクションです)


まだ、新築の香りがする小会議室で、我々三人は静かに待っていた。

やがて、バタバタと足音が近づいてきたかと思うと、山中市長と、市職員と思しき男性が慌ただしく入室してきた。

(市長はかりゆし姿だが、もう一人はスーツ姿だ)

 

 


名刺交換を済ませ、椅子に腰を下ろすと、自然と雑談に入る。

市長と一緒に現れた男性の名刺には、「総務部 防災危機管理課長 富口 公彦」とあった。

 

「今年の3月に、沖縄県の国民保護訓練を実施したんですよ」と富口課長が語り始めた。

「具体的には、離島からの住民避難と受け入れに関する机上訓練です。令和4年から続けてまして、国と沖縄県、そして先島五市町村※が連携して、有事を想定した訓練を実施しているんです。避難先は九州・山口方面です」
※石垣市、宮古島市、与那国町、竹富町、多良間村

 

 


「そのような訓練があったとは、大阪にいるとまったく耳に入りませんでした」と俺は率直に答えた。

「まぁ、正直に言えば――」と富口課長が苦笑する。

「不謹慎な言い方ですが、九州各県の皆様も、その内容を知らないが多いかもしれませんね」

「なるほど……」

国と地方自治体、そして離島という立地の制約。そこに有事という非日常が加われば、どれほど綿密にシミュレーションしても、実際の運用には課題が残るだろう。そう感じさせる説明だった。

富口課長が手元の資料から、写真を二枚取り出して見せた。

 




「これがそのときの訓練の様子です」

 

「なるほど、これはなかなか本格的な訓練ですね」と俺は素直な感想を述べた。

 

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石垣市役所 ??

 

サトウキビ畑の脇を抜け、市街中心部へと向かう。石垣島の天気は変わりやすいという。今朝は晴れているが、午後からは雨の予報だった。

 



助手席に座った金城支店長が、ふいに後部座席を振り返らずに話し始めた。

「千﨑部長、朝一番で市役所に連絡しまして、山中市長とのアポが取れました。ただ、お忙しい方なので、面談時間は十五分とのことです」

「いやぁ、お会いできるだけで光栄です」

「市長?」思わず俺は声を上げた。

「なんで、いきなり市長に面談のアポが取れるんですか?」

「いや〜、渕上会長のお願いですから。さすがに断れませんよ」と金城支店長は苦笑いを浮かべた。

「はあ……」俺は理解が追いつかず、ため息を漏らすしかなかった。

「それと、石垣海上保安部の石橋副部長との面談も午後に予定されています。こちらも渕上会長から連絡がありました」

「副部長と、ですか。それはまたすごいですね。石垣島に来て、海上保安部を視察しない手はありませんから」と千﨑部長が言った。

車はやがて市街地に差し掛かった。窓の外に広がる街並みは、離島とは思えないほど。

ふと、視界に立派な建物が飛び込んできた。

「石垣市役所です。2021年竣工の新庁舎ですよ」

金城支店長の声に、俺は感嘆の声を漏らした。


 

「すごい……。立派な建物ですね」

 

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石垣島初上陸!


その日は急きょ、「ダブルツリーbyヒルトン那覇」に宿を取ることになった。翌朝、千﨑部長と二人で石垣島へ飛ぶ予定だ。



翌日。

 

那覇から、石垣までの所要時間は約一時間。


石垣空港に到着すると出口付近に、ひときわ存在感のある男が立っていた。

「あれ、あの方が、我々のお迎えですかね」と俺がつぶやくと、千﨑部長がその男に声をかけた。

「金城支店長、お久しぶりです」

男は穏やかに笑みを浮かべ、俺に向かって名刺を差し出す。

 



「ようこそ、石垣島へ」

名刺には「沖縄海洋銀行 八重山支店 支店長 金城義孝」と印字されていた。

「千﨑さんとお会いするのは、鹿児島の城山ホテルでのセミナー以来ですね。もう五年になりますか」

懐かしそうに金城支店長は言った。

「昨日、渕上会長からお電話をいただきましてね。日曜日ですよ、日曜。で、今朝、千﨑部長に飛行機の時間を伺った次第です」

「はあ、特別待遇、ありがとうございます」

俺は軽口を交えつつ礼を述べた。

駐車場には白い軽自動車が停められており、車のそばには若手らしき銀行員が立っていた。我々に気づくと、軽く頭を下げた。

「狭いですが、どうぞお乗りください」

そう言って金城支店長が後部ドアを開ける。俺と部長は乗り込み、車は静かに走り出した。

 

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OIST、その後。

 

講演後、レンタカーで那覇空港へ向かう準備をしていると、部長がふいに俺に声をかけてきた。

「山本副部長、明日、月曜は何か外せない仕事がありますか?」

「いえ……特には」

「そうですか。――じゃあ、一緒に石垣島へ飛びましょう」

「えっ? 今からですか?」

「別に、私一人でも構いませんけど?」

「いえいえ、せっかくですからお供します……が、何をしに行くんですか?」

「経済安全保障の現実です」

「……経済、安全保障?」

その意味がわかったのは、後日、別のところから聞いた話だった。

――天野次長の講演直後、渕上会長から千﨑部長にメールがお礼のメールが入ったが、セミナー終了直後にお礼の電話が入ったという。

 



「千﨑さん、私、借りを作るのは嫌いなの。だから、何かお礼をしたいのよ。せっかく沖縄まで来てるんだから、石垣島を視察して帰ったらどうかしら? 『海上保安庁石垣海上保安部』に電話しておくから。あと、不正を働いていた課長については、徹底的に調べ上げるよう学長に釘を刺しておいたわよ」

――そういうやり取りが、トップ同士で交わされていたらしい。

そして、俺は人生で初めて、石垣島へ飛ぶことになった。

 

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あなた…。

 

これは、あとで聞いた話になるが――
講演を終えた天野次長が講師控室へ戻ると、間もなくして、あの渕上会長が控室に現れたという。


「あなた、やるわねぇ」
会長は開口一番、そう言ったらしい。

「OBC(大阪ビジネスコンサルタンツ)辞めて、うちに来なさいよ。あなただったら、部長……いえ、役員待遇で迎えるわよ」

一瞬、場が静まり返った空気が目に浮かぶ。



「いやぁ、私、粉もんが大好きなもんで」
天野さんは軽く肩をすくめて、いつもの調子でかわしたそうだ。

だが、会長も一筋縄ではいかない。
「じゃあ、逆ワーケーションでいいじゃない? 大阪に住んで、沖縄の仕事をするの」
と、ニヤリと笑って返したという。

その場にいた大杉主任は、さぞビビったことだろう。

ちなみに、千﨑部長は渕上会長とは直接顔を合わせなかったが、携帯に一通のショートメッセージが届いていたという。

「千﨑さんのおかげで助かったわ。ありがとう」

そのメッセージを見た千﨑部長は、天野次長に短くLINEを送った。

「上出来です。大杉さんもお疲れさまでした。渕上会長からもお礼の連絡がありました」

その簡潔さが、不器用な部長らしい。

 

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ラスト5分!

 

天野次長のスピーチは、そのまま淀みなく続く。
英語が分からなくても、話の構成や身振り、聴衆の反応から伝わってくる。
彼女の言葉が、刺さっているのがわかった。

観衆が、彼女のスピーチに引き込まれているのを、俺ははっきりと感じた。

ふと、自分の腕時計を見て驚いた。もう、あと5分に差しかかっている。
そんなに時間が経っているとは到底思えない、迫力のスピーチだ。

やがて、講演もクライマックスに差し掛かる。持ち時間、残り5分。

そして――

「最後に私はもう一度、皆さんに訴えたい。
女性が逃げ出す地方は消滅する。
つまり、東京一極集中こそが、日本を滅ぼすのです」

 



力強く、明快な結びの言葉。
その瞬間を待ち構えていたかのように、天野次長は頭を下げた。

"Thank you for your kind attention."
「ご清聴、ありがとうございました」

ピタリ55分。

間を置くことなく、ホールに大きな拍手が響き渡った。
それはやがて、外国人聴衆の中からスタンディングオベーションへと波及していく。

感情が、言葉の壁を超えて伝わった。――そんな場面だった。

「非常に良かったですね」
千﨑部長が静かに言う。

「……そうですね」
俺も、心の底からそう思った。

 

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K-1のキング復活祭?

俺は静かに、CBをK-1のスタートラインに据えた。

スタートの合図は、ない。
ただ、空気が張り詰めている。

軽く息を整え、ゆっくりとEクラッチを1速に入れる。

アクセル・オン。
どんなに荒く開けようとも、CB650R Eクラッチのリアタイヤにはトルクリミッターが付いている。
空転もウイリーも起きない。
――そう、誰もが容易に、最高のスタートを切れる。

俺は慎重に、様子をうかがいながら第1コーナーへ入っていった。

だが、すぐに――予想外の展開が待っていた。

ミラーいっぱいに映り込んでいたのは、R1……じゃない。
蛍光オレンジのXSRだ。

――こっちが先か?

しかもXSRは、バイクをそれほどバンクさせることもなく、K-1のタイトなコーナーを滑るように抜けていく。
そのライン取りは、あきらかに熟練のものだ。
K-1を知り尽くした者の走り――。

俺は追われるように、必死で走り続けた。

K-1の第一ポイント。短い直線に差しかかったその時――
まるでタイミングを合わせていたかのように、R1がXSRを交わし、俺の背後にピタリとついてきた。

R1の加速は、まさに猛獣。
あの野太いエンジン音が、俺の鼓膜をビリビリと震わせる。

次のカーブは、一般道には珍しい、すり鉢状の特殊なコーナー。
平坦な道の感覚で突っ込めば、一瞬でバランスを崩す。
熟練者でも気を抜けない難所だ。

俺のCB650Rは、頑張ってくれている。
でも正直、CBではR1やXSRの走りを抑えることはできない。
マシン性能も、経験値も――すべてが違う。

できる限りの走りはした。
けれど、K-1の終点が近づいても、一度たりとも距離を離すどころか、
いたるところでアウトから被せられ、並走される始末。
完敗だった。

終点の先にある広い駐車場では、自販機の前に何人かのライダーたちがたむろしていた。
その中に――見覚えのあるバイクを見つける。

「……あ、森君と竹田君だ」

 

 



少し気が緩んだ俺は、2人のいるあたりにCBを滑り込ませた。
少し遅れて、R1とXSRも後ろから続いてくる。

「おいおい、山ちゃん。R1とXSRを従えて参上とは……K-1のキング、復活祭か?」

森の軽口に、俺は苦笑いしながらグローブを外す。

「いやいや、そんなもんじゃないよ。むしろ真逆」

心底まいったような声を出して、ヘルメットを脱ぐ。
汗で少し貼りついた髪が、額に落ちた。

R1の男も、XSRの男も、無言でヘルメットを外す。
その顔に、敵意はない。
むしろ――ちょっとだけ、楽しそうに笑っていた。

 

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セミナー開始!

 

セミナーがスタートした。

講演のトップバッターは天野さんだ。
天野さんの講演が、このセミナーの基調講演。問題提起者という側面もある。

会場が静まり返る中、大きな拍手を受けて、天野次長のスピーチが始まった。

 



俺たちは同時通訳のヘッドホンを装着し、日本語訳を聞きながら壇上を見守る。
英語は分からずとも、次長の堂々とした佇まいと、力強い言葉の響きだけで、会場の空気はひしひしと伝わってきた。

講演は、無難ながらも滑らかに幕を開けた。
さて――冒頭の“つかみ”のスライドだ。

スクリーンに映し出されたのは、8人の外国人女性の顔写真が並ぶスライド。
スライドには、英語でこう問いかける文字が表示された。

"
Can you guess what these eight women have in common?"
「この8人の女性に共通していることが何か、わかりますか?」

静寂のなか、次のスライドで答えが現れる。

"
They are all leaders who succeeded in controlling COVID-19."
新型コロナ対策で成果を上げた国のリーダーたち。

――よし。どうだ。俺は心の中でつぶやいた。

直後、会場の一角から「Yes!」と声が上がった。
外国人女性たちが、思わず声に出したのだろう。
続いて、客席全体からも「あぁ…」という気付きの反応が広がった。明らかに、空気が動いた。

「……掴みは成功しましたね」
千﨑部長が、微かに口元を緩めながら呟く。

俺は無言で頷いた。たしかにこれは、いい滑り出しだ。

 

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XSR900 GP? 想定外

梅雨が明けたばかりの、よく晴れた日曜日。
走り出して間もなく、思った以上に多くのバイクとすれ違った。

郊外に入ると、すれ違いざまにピースサインを送ってくるライダーがちらほらと現れる。
「ピースサイン」――ブイサインや手を軽く挙げる、ライダー同士のさりげないコミュニケーションだ。

俺はてっきり、そんなのは1980年代の古臭い風習だと思っていた。
だが、どうやら最近、アナログなジェスチャーがじわじわと復活しているらしい。

……なんだか、不思議と心が温かくなる。
懐かしさと嬉しさが入り混じったような感情に、しばし浸った。

1時間半ほど走り、いつもの休憩スポットに到着。

見慣れたR1が、やはりそこにあった。
さらに、その隣には初めて見る――YAMAHA XSR900 GPが停まっている。

 



どうやらR1のライダーとXSRの男は、談笑している様子だった。

俺がバイクを停め、無言で近づいていくと、R1が皮肉たっぷりに口を開いた。

 



「ほう……逃げずにノコノコやって来たか。感心、感心」

言葉は軽いが、その目には試すような光が宿っている。

続けて、XSRのライダーが口を挟む。

「おっ、ヘルメットは“巨摩 郡”カラーか。気合入ってますねぇ。
 たださ、そのフォルムがまた……昭和の香りプンプンですよ? どこのアンティークショップで手に入れたんスか、そのデザイン」



 

……言いたい放題だ。

「……ガタガタうるせぇな。いいから、走ろうぜ」

こっちは口先合戦に興味はない。

「よし、CB。お前が先頭だ!」

R1が低く響く声でそう言い放つ。
その目は鋭い。

「ナメた走りしやがったら、容赦しねぇぞ」

俺の背中に、緊張感が走る。

――そして、もう一つの誤算。

XSR900 GP。
3気筒、120馬力。ヤマハのニューモデルが、今日のバトルに加わるとは思ってもいなかった。

どんな挙動をするのか。どこで仕掛けてくるのか。
まったく想像がつかない。

だが――逃げるという選択肢は、ない。

グローブのフィット具合を確かめ、セルスイッチに右手親指をかける。
CBのエンジンに、火が入る。

次の瞬間、K-1の空気がピンと張り詰めた――。

 

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