灯台下暗し…。
ミーティングが終わると、俺はすぐに、四菱総合研究所の主任調査役――松川 智氏の携帯に電話をかけた。
彼は“日本版CCRC”の第一人者。自治体から企業まで、引く手あまたの人気コンサルタントだ。
「松川さん、ご無沙汰しております。大阪ビジネスコンサルタンツの山本です」
「おや、これは懐かしい。山本さん、お元気ですか?」
声のトーンは昔と変わらない。柔らかいが、どこか芯のある声だ。
それからしばし、旧交を温めるように、互いの近況を語り合った。
「ところで、松川さん。今はどちらのオフィスにいらっしゃるんですか?」
「グランフロント大阪の南館です。研究所の関西拠点がそちらにあるんですよ」
「えっ、グランフロント? ちょうど先週、あのビルに伺ったところです」
「それはまた奇遇ですね」
「まさに灯台下暗し、ですね。今度、そちらへ伺いたいのですが――私のほかに、新たに配属された2名も同行させていただいて構いませんか?」
「もちろん、歓迎しますよ。お待ちしています」
通話を終えると同時に、俺の中で小さな歯車がひとつ、静かに回り出す音がした。
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