オートバイをもう一度(K-1 バトル編 ②) | cb650r-eのブログ

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梅雨の晴れ間の出来事

 

梅雨のはずなのに、今日は妙にいい天気だ。
俺は空を見上げながら、そんなことを考えていた。

木のベンチに腰を下ろし、スマホをいじっていると、
K-1の奥の方から、甲高いエンジン音が山に反響して届いてきた。

「インライン・フォアか……?」

思わず、口をついて出た。
それも、ただの4発じゃない。大排気量特有の図太い咆哮――ボリュームが違う。

音は一気に近づいてきた。
ただ走っているだけじゃない。明らかに、こっちを――俺を、見ている。

視界の奥から現れたのは、ブラックのフルカウルマシンだった。
車種は……遠目じゃわからない。ヘルメットはやけには派手だな。
ただのスポーツじゃない、スーパースポーツタイプだ。

そのバイクは、俺の目の前――ベンチのほんの数メートル先で、ぴたりと止まった。

 



エンジンが切られると、辺りに静けさが戻る。
まるでさっきまでの爆音が幻だったかのように、木々のざわめきだけが残った。

ライダーはミラーシールドのついたヘルメットに指を添え、
そのままスッとスクリーンを持ち上げた。

中から現れたのは、無表情な男の顔。
鋭く切れた目元。

そして、低い声で、ぽつりと聞いてきた。

「このCBは……あんたのバイクか?」

 

 



「……ああ、そうですけど」

俺は一瞬戸惑いながらも、そう返した。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。