“日本版CCRC”の第一人者の教え
松川:「また、住み替えの動機も実にさまざまです。たとえば『夫は母校の近くで暮らしたい』『妻は生まれ育った東部で過ごしたい』――そんな郷土愛や愛校心に根差したケースも少なくありません。こうした“ユーザー視点のストーリー性”こそが、CCRCの本質を物語っているんです」
山本:「“街まるごとCCRC”という構想も面白いですね。都市再生にもつながる」
松川:「おっしゃる通りです。既存の病院、文化施設、大学と連携しながら、築40年の団地もリノベーション次第で魅力的な住まいへと再生できる。街の価値そのものを底上げする発想です」
山本:「大学との連携も非常に魅力的ですね。学ぶ場があることで、高齢者にも大学にも好循環が生まれる」
松川:「その通りです。たとえばカリフォルニアのある大学では、高齢者が授業に参加するだけでなく、小学校でゲストティーチャーを務めることもあります。“ありがとう”と感謝されることで、自己肯定感が高まり、健康面にも良い影響があるんですよ。これは“貢献欲求”や“承認欲求”の観点からも非常に重要です」
山本:「なるほど。貢献することで心も体も健康に、学ぶことで生きがいを持ち、若者との接点も生まれる――それが結果的に若年層の地域離れの抑止にもなるわけですね」
山本:「そしてもう一つ。“支えられる高齢者”ではなく、“支える担い手としての高齢者”――この発想の転換も、まさに日本版CCRCの象徴ですね」
松川:「まさに。それこそが肝です。たとえば居住者が運営委員会に参画したり、広報誌の編集を担ったりすることで、単に暮らすだけでなく“役割を持って関わる”構図ができる。これは事業者側のコスト削減にもつながり、結果として持続可能なモデルになるんです」
天野・大杉:「日本版CCRC――とても勉強になりました!」
山本:「最後に、ひとつだけ。視察先として、あえて“一か所だけ選ぶ”としたら、どこをご推薦されますか?」
松川:「個人的な意見でよろしければ……」
山本:「もちろんです!」
松川:「それなら――“将来自分が住んでみたい”と思える場所として、『シェア金沢』を挙げたいですね」

山本:「あっ、実は私も、前々から訪れてみたいと思っていたんです!」
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