元漫画少女の雑記帳 -138ページ目

おしん/宗美智子(画)橋田壽賀子(原作)

おしん おしんのしんは辛抱のしん・・


言わずとしれた橋田壽賀子さん原作のヒット作。

日本でもドラマが一大ブームになりましたが、更に

東南アジアや中近東でも放映され、人気を博したのだとか。
そんなドラマの漫画化したものです。

元々はマーガレットから全2巻で発売されていましたが

多分20年以上前なので(だって私がこれを買ったのは確か

小学生の頃だったし。)当然コミックスは絶版しています。

ですが2003年に廉価版で発売されました。

さて、ストーリーはご存知の方も多いかもしれません。

この漫画ではおしんが子供の頃のみのエピソードと

なっていますが、原作では大人になっても話は続くので

最後まで描いて欲しかったなあ・・なんて思う。


おしんが生きてきた時代はエピソードの中に日露戦争も

出てくるということで、「はいからさん」の時代なのですね。

はいからさんでも言論に自由はなく、そのために少尉が

刺されたり紅緒が刑務所に入れられたりしたエピソードが

ありました。
おしんにも言論・思想が自由でないことに悩み、そして

戦争を反対して脱走兵となった人物が出てきます。
(そういえば「はいからさん」の鬼島さんも脱走兵じゃ

なかったっけ?)
彼との出会いがおしんを大きく変えるきっかけとなったと

言っても過言ではないと思います。

作中で彼は与謝野晶子さんの詩を読みます。

「ああ弟よ きみを泣く きみ 死に給うことなかれ」

この詩の朗読のシーンはいつのまにかおしんと一緒に

なって聞いている気分になりました。

なんて悲しい詩なんだろう。
当時は戦死は名誉な事でした。

戦争を反対する言葉を吐ける時代ではありませんでした。

また農民はとても貧しい生活を強いられていた時代でも

あったようです。

特に東北は冷害があり、作物が育たないと小作人たちは

食べていかれず、子供を養子や奉公に出したりしなければ

やっていけない時代・・。

おしんも貧乏な小作人の娘で、長男は農家の後継ぎ。

姉は奉公に既に出され、そしておしんの番がくるわけです。

その時はおばあさんも体を痛めて野良作業が出来ず

更に母親は妊娠中。

それでもおばあさんと母親は奉公に出すのを反対します。

そしておばあさんは食べる量を減らし、母親は冬の川に入り

無理矢理流産させようとする。

娘を奉公に出したくないあまりに・・。

実際こんな家庭もあったかもしれません。

あまりにも切な過ぎます。

と、共に明治の女はやっぱり強いんだなと思わされました。

私はあんな根性出せないと思う。

ここに出てくる女性たちは強くたくましく苦難を乗り越えて

いきます。
おしんの母親も時には旦那に意見する事もあります。

家庭の事情で生まれたばかりの末っ子を養子に出し

家計のために今のホステスのような仕事も選びます。

普通の農民の普通の子沢山のただのお母さんが

そういうことをするってどんなに勇気がいるだろうなと

思うと、読んでて泣けてきてしまいました。

これはやっぱり漫画で最後まで読みたいぞ。

完結編まで文庫版でどーんと出るといいのに。

文庫だと場所も取らないし、実現するといいのにな。

おしんについてはまだ書き足りないような気がするので

また後日・・という事で。

宗美智子さんのサイト

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天使と悪魔/清水利江(画)赤川次郎(原作)

てん 漫画で読むのもまた新鮮


先日こんな本を見つけました。

「天使と悪魔」

赤川さんの小説と同じタイトルだなとちらっと見て・・


おおおっとびっくり。なんと!

「原作/赤川次郎」

と書いてあります。

絵は正直好みではありませんでした(ごめんなさい)が

これは読むべしっと早速買って帰りました。

まず、絵柄はとても今風とでもいいましょうか。

最近の少女漫画によくある絵柄という感じ。

(これまたロレンス並みにわけわからん説明XX)

だけど今まで小説で読んだ主人公たちが漫画になっていると

いうのもこれまた新鮮なもんです。

内容は「天使と悪魔」の第一作目と二作目でしたっけ?

「天使よ盗むことなかれ」が収録されています。 

よくぞコミックス1冊にまとめたなとびっくりしました。

無理矢理縮めたという印象も読んでいても特に感じず

自然~~~に読めました。

原作を読んだのが随分昔というのも、余計な記憶がなくて

良かったのかもしれないけど、結構オススメです。
絵柄は・・・だんだんと少しは慣れるもんです。


赤川次郎さん。

中学生だったかに初めて読んでいて、高校になって友達が好きで

三毛猫ホームズや吸血鬼エリカシリーズなどかなり貸してくれました。
エリカの方はコバルトという雑誌の連載作なので、高校生でも

かなり読みやすかったし、読んでいて楽しかったです。

そして未だに赤川次郎さん好きです。

ちょっと疲れた時などに、古本屋さんで安くなっているものを

選んで、それをお風呂で読みます。
気楽に読めるからか結構リラックス出来るし、発汗して

新陳代謝も活発になって肌にもいいしダイエットにもいいんだと。

ちなみに今読んでいるのは、もう何度目になるのかね・・

「三毛猫ホームズの雪合戦」。
犯人覚えている話でも楽しめるから不思議です。

おおっと話がずれました。

調べてみると、角川書店からこれの他にも赤川作品を

漫画化した本が何冊か出ているようです。

(ホームズも出てるんだって!おおっ。「恐怖館」です。)
こういう読みやすい本はどんどん漫画化して、子供たちが

小説に興味を持つきっかけ作りになると思うし、とても

いい事だと思いました。

漫画が面白ければ原作にも興味を持って・・って。

もっと出ないかな。こういうの。
やっぱり原作に手を出しやすい赤川さんの小説は

とてもいいきっかけになるんじゃないかなって思います。



「天使と悪魔」漫画版 (残念ながら絶版中です。。)

赤川次郎さん原作の漫画(なんで絶版ばかりなのだ・・陰謀か)
悪魔のファンタジー 」「幽霊列車 」「ぬすまれた放課後

怪奇博物館 」「子子家庭は危機一髪

殺人よこんにちは 」「天使と悪魔

三毛猫ホームズの恐怖館 」「三姉妹探偵団

逃げこんだ花嫁 」「殺人よこんにちは

こちら、団地探偵局 」「赤いこうもり傘

ぬすまれた放課後

木蓮屋敷/波津彬子

みず 猫とゆうれい

これまた波津さんの短編です。

文庫版の「水に棲む鬼」に収録されていました。

とても幽かで不思議なお話なのですが、こういうお話って

波津さんの絵の雰囲気にぴったりですね。

ジャンルは散々迷いました。

ファンタジーなのか、幽霊が出るからオカルトホラーなのか。
・・・・結局ファンタジーにしてみました。


これは猫と暮らす男性のなんの変哲もない日常と、

その家にいる美人の幽霊のお話です。

幽霊といってもおどろおどろしくなく、「幽か」という言葉が

ぴったりの・・幽霊なんだけど風情があって不思議と恐くないのです。

彼女は別に彼らを恐がらせようとはしません。

ただ庭で木蓮の花を見ていたり、室内で家事をしたりと

普通に「生活」しているのです。

そして語り部はなんと猫です。

猫は彼女が見えています。

しかし彼女に怯える事も威嚇する事もなく

ただ自然に彼女を見ています。

何も知らないのは飼い主だけ。

なんかとても不思議な世界です。

波津さんの作品、また好きなお話が出来ました。


水に棲む鬼 文庫版


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ノアの宇宙船/清水玲子

ノア 一部の記憶がリセットされてしまったら?

清水玲子さんの初期作品は聖書の設定を元にしたものが

多いような気がします。

例えば「お伽噺のユダ」だったり「もうひとつの神話」だったり

この「ノアの宇宙船」だったり。


この頃の絵柄はどちらかというと柔らかな感じで

ファンタジーチックなSFという所でしょうか。

当時はジャック・エレナを中心にヒューマロイドを描いたものが

多く、その中でこの作品はロボットが出てこない珍しいもの

じゃないかと思います。

「ノアの箱舟」がもし「宇宙船」だったら。

環境破壊により、地球では動物が育たなくなってしまったので

宇宙船にたくさんの動物たちを乗せて新しい土地を探す

という夢いっぱいの設定になっています。

あらすじをざっと書くと・・
主人公であるジュニアが緊急事態のために

専門知識を得る前の14歳まで記憶を消されてしまう。
18歳のジュニアはコンピューターの専門家でしたが

ただの少年に戻ってしまう。

婚約者もいたのですが、当然彼女の事は忘れ

別の女性が気になる始末。
だけど少しづつ彼女を見ていてなぜ自分が彼女を選んだのかが

わかるようになり、そしてまた18歳までの記憶が修復された・・と。

途中、人魚姫のようなシーン(眠っていたら誰かが毛布をかけてくれ

気になる女性なのかなと思ったら、実はかけてくれていたのは・・とか)

がありますが、思い切り「人魚姫」を題材にした「月の子」を読むと

このノアの世界から「月の子」へと発展していったのかなと

そう感じました。


またこういうファンタジックな話も描いて欲しいなあ。。


尚、単行本「ノアの宇宙船」は今は絶版していますが

文庫版「ミルキーウェイ」 に収録されています。

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22XX /清水玲子

22xx 「食べる」ということ


清水玲子さんの「22XX」は衝撃的なテーマを選んでいる。

「食べる」こと。

生き物は(植物の一部もかな?)必ず何かを食べる。

植物だったり、他の生き物の肉だったり卵だったり。

人間やペットになるとかそれらを加工されたものも食べる。

そして人間は「食べる」ということは日常茶飯事のことであり

基本的に朝・昼・晩と習慣的に食べる。

「食べる」という事に関して、この「22XX」を読んで考えさせられた。

人間は食べる事により、食べ物が栄養となり命を繋ぐ。

食べられた物は消化されて排泄物として出て行く。

もしロボットが食べ物を摂取するとそれは栄養にも何にもならない。

主人公のジャックはロボット。

かなり人間に近く作られたので、自分でも人間だと思っていた。

食欲もあるのでおなかがすけば食べる。


殺人用ロボットだった彼は、以前破壊工作員の人間と共に

投獄されそのまま放置された。

食べ物も均等に分けて命を繋いできたが、人間の方は

どんどん痩せ細り、食べ物がなくなって三週間後に

餓死した。

ジャックは痩せ衰える事もなく、そのままだった。

その時やっと自分は人間ではなかったんだと知る。

そんな過去がある中、ジャックは敵の部族にさらわれた

王女を救出する仕事でメヌエットという星を訪れる。
そこには王女の部族と、イエティ(イエティって・・汗)という

敵の部族、そしてフォトゥリス人という食人族が暮らしていた。
王女を無事に救出出来たら多額の賞金が手に入るから。
そこで皮肉にも餓死した工作員の弟と再会する。

弟はジャックに兄が食べられたのだと憎んでいる。

更に食人族の娘との出会い。

この部族はちょっと変わっていて、昼と夜では姿も性格も

変わる。彼が出会った娘も日中は少年のような姿だけど

夜になると長髪の大胆な女性に変化する。

これは狩のため、美しい姿に変化して獲物を待ち受ける

ホタルの一種から作られたエピソード・・らしい。


その娘になぜ人間を食べるのかと聞くジャック。

答えは死者の知識・美点・理想を自分のものに出来るから。

そうやって命を受け継いでいくので、むしろ食べられる事は

光栄だという。

彼女も父親を母親が食べ、その母親を自分が食べ

自分は子供に食べてもらうつもりだという。

もちろん食人については理解は出来ないけど、割と最近まで

そういう民族はいたらしい。昔映画にもなった。

もしかしたら今も現存しているのかもしれない。

彼らもそのような独自な理由があるんだろうかとふと思った。

とにかく読んで思うことは、「食べる」ということは命を繋ぐこと。

それもただ自分の命だけじゃない。
他の生き物の命を殺して栄養にすることで

その殺された生き物の命を自分が受け継ぐということ。

簡単に食べ物を残したり捨てたり好き嫌いしては

いけないなと思った。食べられるという事に感謝しなければ。

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設定に食人を持ってくるあたり、この頃から

清水玲子さんの独特すぎる自分のスタイルが確立して

いったんじゃないかと思う。

描かれた時期は「月の子」のあとで、「輝夜姫」や「秘密」

の前らしいので納得。「輝夜姫」あたりから残虐なシーンも

増えたような気がしていたし、「月の子」までは割と綺麗な

SFだったのが、スプラッタ・ホラー的なSFに変化してきたように思う。

ちなみにこれはエレナと出会う前の話らしく、エレナは

一切出てきません。


「22XX」清水玲子 文庫版


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