新自由主義の権化・サッチャー元英国首相の死を祝う市民 2013年 ロンドン


日本ほどネオリベが公然と跋扈する国はないのではないでしょうか。
テレビや新聞でエラそうに経済を語る”識者”やコメンテーターはたいていがネオリベです。

彼らは日本経済衰退の理由を、「規制改革が足りないから」「生産性向上が足りないから」とウソの説明で混乱させ、資本家の搾取をたやすい状態に変えていくため、働く人の「凄惨性」を高めようとします。

日本が凋落した理由は、この数十年間続いてきた「ネオリベ政治の失敗」と、ネオリベ・グローバリストの走狗である「マスコミのプロパガンダ」、そして「日本人自身の勘違い」にあります。


本ページは、なぜ日本人が新自由主義に騙され、魅了されるのかを多角的に考えたシリーズの「まとめ」です。
 

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【本シリーズを理解するための前提知識】
新自由主義は以下の三点セットを伴い実行されます。

緊縮財政 = お金をケチりたいので利益にならない不採算分野を整理し、生産性の低い従業員をリストラ、人件費や設備投資を削減する。

規制緩和 = お金をケチりたいので不採算公共事業などを外資企業などに売り飛ばし、私有化(民営化=Privatization)させる供給サイドのカイカクを進める。自由競争や解雇規制緩和の弊害となる労働組合を破壊し、株主至上主義を進める。

グローバル化 = お金をケチりたいので儲からない国内投資から手を引き、需要を求め外国に打って出る。または外国の大企業に市場参入してもらったり、低賃金外国人労働者を呼び込む。

まとめると、新自由主義というのは、「お金がないと偽り、国民や国家の財産を収奪し、資本家のもとに集約しようとする思想」となります。

加えて新自由主義を読み解く3つのキーワードとして
①「弱者排斥と自己責任」
②「経営者目線と合成の誤謬」
③「生産性と自己実現的予言」

を設定します。
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▼ なぜ、日本人は新自由主義に魅了されるのか?①
 

 

本シリーズ第一回では、日本人に人気のある有名人・政治家などのインフルエンサーのほとんどがネオリベであることをお伝えししました。
加えてネオリベラリズムがナチズムに匹敵する、病人や社会的敗者などの弱者を排斥する危険なカルト思想であることを指摘しました。




 

▼ なぜ、日本人は新自由主義に魅了されるのか?②  「自己責任と弱者排斥」上
 

 

第二回では、日本人自身の精神的土壌が新自由主義に汚染されていることを指摘しました。
そのことは世界的な世論調査において医療や教育の無償化に反対し、インフラ投資や公共事業を軽視し、規制緩和や民営化に賛成する小さな政府主義的傾向にあること、また政治参加しない自己責任論者だという世界でも類を見ない日本人特有の結果をもって理由としました。
ネオリベによる日本人の精神汚染の状況は画像の通りです。




 

▼ なぜ、日本人は新自由主義に魅了されるのか?③ 「自己責任と弱者排斥」中 ~ひろゆきの醜悪さ
 

 

第三回は、日本社会に「自己責任と弱者排斥」の論理が拡大する要因として、人々がメリトクラシー(生産性至上主義)に毒されており、代表的なネオリベ・インフルエンサーのひろゆき氏による「儲からない企業を淘汰すれば経済発展する」という弱者排斥を軸とした経済学的誤解、醜悪なプロパガンダを例に論駁しました。
ゾンビ企業を淘汰しても失業者が社会から退席できるわけではないため、余計に経済不調につながります。





 

▼ なぜ日本人は新自由主義に魅了されるのか?④ 「自己責任と弱者排斥」下 ~経済同友会の経済破壊工作
 

 

ネオリベ・レントシーカーによる公共経済の破壊 :
企業が合理性を追求すればするほど、殆どの場合、マクロで経済が破壊される「合成の誤謬」が起こるため、本来なら企業の経済活動は「公共の福祉」を調整する責務を負う日本政府の規制対象とならなければいけないはずですが、なぜか率先してネオリベ・ビジネスマンらの「規制緩和(小さな政府主義)」「生産性向上」の愚論が政府方針に取り入れられてしまっています。
政府の責任を最小化、逆に個人の責任を最大化する「小さな政府主義」により、自己責任の圧力を強め、また、「生産性」の指標に寄ることによって、弱者排斥の論理を強化していきます。
岸田政権の「新しい資本主義」は、新自由主義を推進する政府諮問機関の竹中平蔵、経済同友会櫻田謙悟や新浪剛史などの識者により悪魔化されていきます。




 

▼ なぜ、日本人は新自由主義に魅了されるのか?⑤「経営者目線と合成の誤謬」Pt.1
「投資するためには貯蓄がなくてはならない ~『貯蓄が投資よりも先』論」の誤り

 

 

 

今回は、ネオリベの①「投資するためには貯蓄がなくてはならない(貯蓄が投資よりも先論)」とする間違いを正しました。 
彼らが錯誤を続ける原因は、「経営者目線」と「合成の誤謬」です。

「経済全体の中で、産出物が全部売れたときの総支出は必ず総所得(利益を含む)と等しい。
もし誰かが消費を所得以下に抑えようとすれば、他の誰かが所得以上に消費しない限り、産出物に売り残りが生じることになる。
売れ残った産出物は過剰在庫になり、売上不足から生産調整そして雇用カットとなり、結果、総所得が減少する。
この所得減少分は、貯蓄のために使わないことにした金額と等しい。
収入の一部を使わずに貯蓄しようとすることが、収入を減らし貯蓄を不可能にする。
投資が常に貯蓄を決定するのであり、逆は生じない。」

 

企業が人への投資(人件費)、モノへの投資(設備投資)を削り続け、貯蓄(内部留保)を増やし続けた結果、衰退国家になってしまいました。(政府の場合は政府支出を削り、税収を増やそうとした結果)

今話題のネオリベ、加納雄三氏や安部俊樹氏なんかに見てほしい記事となります。


 

▼ なぜ、日本人は新自由主義に魅了されるのか?⑥「経営者目線と合成の誤謬」Pt.2
「分配するためには成長しなければならない ~『成長が分配より先』論」の誤り

 

 


ネオリベの重大な誤りとして、「②分配するためには成長しなければならない 『成長が分配より先』論」を設定しましたが、分配すると成長する。成長した分から分配してるのではないとして彼らの誤りを正しました。

特にひろゆき氏や安部俊樹氏のようなネオリベの「トリクルダウン論」への信仰はいまだに根深いものがあります。

「Japanification(日本化=日本のような低成長・低需要化」)」は、日本を反面教師とする他先進国で共有される概念ですが、日本のように不景気で企業が投資(分配)できない状態においては、政府が経済にお金を投じ、先に分配・投資なければなりませんし、企業側も労働者を搾取してため込んでいますので、その企業の分配構造の是正も必要です。

「成長するためにこそ、分配しなければならない」ということを論じました。

 

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