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今日は何の日

 9月17日というこの日は、何の日だと思われようか。実は26年前のこの日、かの16タイムス・ヘヴィーウェィト・チャンピオン・オブ・ザ・ワールド、ネイチュアボーイ・リック・フレアーが、ダスティ・ローズを破り、初めて、世界を制した日なのだ。81年9月17日、カンサス州カンサスシティ、メモリアルホール。偉大な王者のはじめの一歩の日だ。


 ところが、この記念すべき日の記念すべき一戦の内容を知っている人というのが、実はほとんどいない。王者フレアーの、タイトル奪取としてよく用いられる映像は、83年11月の、スターケードのレイス戦。フレアーがトップターンバックルからのダイヴィングクロスボディを決めて、アンジェロ・モスカやブライアン・アディアスらに祝福される有名な映像。これは誰でも知る一番だ。


 しかし最初の奪取こそ、今や史上に名を輝かす、16タイムス・チャンプにとっては重要な記録というもの。これが紹介されないというのは、なんであれおかしくはないか。


 実はこの記念すべき一戦の映像は、無いのではないかと言われている。これだけではない。ミッドアトランティックのUSタイトル戦なども、ほとんどyou tubeなどに載らないことでも分かるように、リック・フレアーの78~82年くらいまでの主要な映像は、ほとんど無いと言われているのだ。


 今では信じられないことだが、当時、TVマッチというのは、ジョバー相手の宣伝がほとんど。本番はハウスショーのライヴのみ。ラーレイの小さなスタジオで煽りを収録してU局で流し、シャーロット・コロシアムやグリーンズボロ・コロシアムを満杯にするためだけの素材として利用して来たに止まるのだ。シャーロットやグリーンズボロのタイトル戦には、通常おそらくカメラは、入っていなかったのではなかろうか。入ったところで、タイトル戦をただで見せるわけにもいかない。ホームヴィディオも、ましてやPPVなど全くない時代のことなのだ。


 他のNWAのテリトリも、ビッグショーはライヴで有料で観せることこそ命綱だったから、TVには頼らなかった。DVDになっているもののほとんどは、ネイションワイドケーブルが一般化した後の、83年以降のものだ。フレアーの、容姿的には全盛期と言われた第一次世界政権の21ヶ月間及び、USチャンプ時代のきれいな映像は、ほとんど見つけられたことはない。若き日のフレアーの、スーパーハイジャンプの効いたジャンピングエルボードロップを見たことのある若いファンは、ほとんどいないと言えると思う。


 81年9月17日、カンサスシティ・メモリアルホール。だからフレアーが、どのようにしてダスティを倒したかを知るファンは、ほとんどいないと言われている。キレイなフィニッシュではなかったとも聞いている。一説ではごちゃついた中、フレアーが丸め込んだとも。また別の証言では、フィギュア4で痛めつけられたダスティが、ヴァーティカル・スープレックスをしくじり、フレアーがそのまま体を浴びせ、ロープに脚を掛けてピンしたとも。或いはフレアーが、ヴァーティカル・スープレックス一発で仕留めたとも。


 81年9月17日、カンサス州カンサスシティ、メモリアルホール、ダスティ・ローズvsリック・フレアー、タイトルチェンジ。ダスティの地元でも、フレアーの本拠地でもないところで起こった、歴史的なタイトル移動。前月のキールで敗れていたフレアー。5月のミズーリ・タイトル戦でも完敗していたフレアー・・・。不思議なタイトルチェンジだったからこそ、記録は残されておくべきだった。偉大な王者の記念すべき日を語ろうにも、肝心のことが今では何も分からない。


 61年のコミスキーパークの映像はある。もしかしたらこれらもあるのだろうか。春に出たⅣホースメンのDVDも10万本以上を売り上げたという。第一次政権時代とUSチャンプ時代のフレアー・・・それ以降やめた蝶の刺繍のタイツとジャンピングエルボードロップで織り成す対スヌーカやヴァレンタインやブリスコやウォーカーとの戦い・・・あれはある意味4H時代以上だ。


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ECW新王者パンクで思うこと

 ECWタイトルはパンクに移動。色のある演説とともに、フレアー、HBKの道を歩まんとしていたモリソンに、待ったは掛けられた格好だ。

 我々に何が出来るか。我々にはコレはオカシイ、アレはヘンだと、そう声を上げることしか、出来ないのではないか。

 ・・・・・・・

 我々は彼が使っていたことは分かっていたのにもかかわらず、何も言わず黙っていた。彼だけではない。我々は他の多くの者を、おそらくそれが近因で失ったのにもかかわらず、追究して来なかった。


 何がよくて何がよくないか。今でもプロホルモン系のサプリメントが市販されているのも、ひとつの事実。マグワイアが70本を打った時に、MLBがアンドロスティディオンを認めていたのも、これも事実。映画俳優や一般のウェイトトレーニーや男性ストリッパーが、プロホルモン系のサプリメントを、いつでも簡単に使用出来るのも衆知の事実。日本の薬局でも、一般女性向けに、ゼナドリンが売られていたのも、これまた事実。その一方で、IOCがカフェインまで禁止の対象にしていることも、これも事実。


 今やプロホルモン系のサプリメントの世界はアンドロ時代から格段の進歩を遂げ、ひと昔前のアナボリックステロイドそのものより、高効果だとも言われる。IOCがカフェインまで禁止の対象にしているその横で、スポーツサプリメントの専門家と称す人達が、アスリーツに付っきりで、ドーピングチェックへのアドヴァイスを怠らないのだ。


 副作用がなければいいのか。或いはスポーツの本質への逆行が問題か。もしくは単純に倫理観か。


 オールナチュラルのボディビルディング・コンテスト。ウィナーですら、RRRに劣る迫力しか有さないことに、逆に驚く。しかも彼らは、いつもそのコンディションを保持しているわけではないのだ。


 74年、突然変異と言われた“スーパースター”の大きさは、おそらく今のアヴェレイジ。“インモータルワン”や“トータルパッケージ”ですら、6パックを常に頑強に維持していたわけではない。“ナイトロ”の編み上げられたようなアブは、やはり看過できない異様さだった。


 ウェルネスポリシーが、どこまで機能するものなのかは分からない。オリンピックではやれていることになっている。FDAが許可する効果的なサプリメントもある。スポーツ科学は日進月歩。アスリーツの選手寿命も伸びている。それほどグレードは落さずにも、済むようには思う。この際ハウスショーを軽減してでも、スーパースターズの見た目の品質は、落すにあらずとも思う。


 パンクはカリズマティックなスターで、ECWの新しい顔になってくれるに相応しいとは思う。パンクにはこの機会を、モノにしてくれるよう願う。そしてモリソンへは、このインダストリの、次代を担う者としての自覚の教育を、是非望む。


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ナショナル・ヘヴィーウェィト・チャンピオンズ

 ナショナル・タイトルは80年、ブリスコから始まったタイトルだが、その後ジョージア・タイトルを飲み込むことになり、実際はジョージア・タイトルの続きのタイトルの性格の方を、多分に有す。


 ナショナル・タイトルの歴代史を作るなら、ジョージア・タイトル史につなげるのが有意義と診る。


ジョージア・ヘヴィー級チャンピオンズ(69~)


スプートニク・モンロー
ドン・ファーゴ
スプートニク・モンロー
マリオ・ガレント
バディ・フラー
マリオ・ガレント
バディ・フラー
ルイ・ティレット
バディ・フラー
エル・モンゴル
ニック・コザック
エル・モンゴル
バディ・フラー
エル・モンゴル
ミスター・レスリング
エル・モンゴル
ミスター・レスリング
ジョニー・ヴィシンスキ
ターザン・タイラー
ザ・プロフェッショナル
ジョニー・ヴァレンタイン
ザ・プロフェッショナル
デール・ルイス
エル・モンゴル
ポール・デマルコ
ザ・プロフェッショナル
ポール・デマルコ
ジョー・スカルパ
ポール・デマルコ
ザ・プロフェッショナル
ジ・アサシン#1
ニック・ボックウィンクル
ポール・デマルコ
ニック・ボックウィンクル
バディ・コルト
クラッシー・フレッディー・ブラッシー
バディ・コルト
レイ・ガンケル
エル・モンゴル
バディ・コルト
レイ・ガンケル
バディ・コルト
エル・モンゴル
バディ・コルト
ロベルト・ソト
ミスター・レスリングⅡ
カウボーイ・ビル・ワッツ
テネシースタッド・ロン・フラー
ミスター・レスリングⅡ
バディ・コルト
ミスター・レスリングⅡ・ラバーマン・ジョニー・ウォーカー
ハンサム・ハーリー・レイス
クレイジー・ルーク・グレアム
バディ・コルト
ロッキー・ジョンソン
アブドゥーラ・ザ・ブッチャー
トル・タナカ
ニコライ・ヴォルコフ
ミスター・レスリングⅡ
ザ・スポイラー
ジ・アメリカンドリーム・ダスティ・ローズ
ザ・スポイラー
ディック・スレイル
ミスター・レスリングⅡ
ディック・スレイル
#1ポール・ジョーンズ
ディック・スレイル
ミスター・レスリングⅡ
ディック・スレイル
スタン・ハンセン
ミスター・レスリングⅡ
スタン・ハンセン
アンジェロ・モスカ
ミスター・レスリングⅡ
ザ・マスクド・スーパースター
チーフ・ワフー・マクダニエル
マスクド・スーパースター
チーフ・ワフー・マクダニエル
カール・コックス
ワイルドファイア・トミー・リッチ
マスクド・スーパースター
ミスター・レスリングⅡ
ユニヴァーサル・ハートスロブ・オースティン・アイドル
バロン・フォン・ラシーケ
スティーヴ・カーン
デニス・コンドリー
トニー・アトラス
トミー・リッチ
ケン・パテラ
トミー・リッチ


NATIONAL CHAMPS


マスクド・スーパースター
トミー・リッチ
カウボーイ・ロン・バス
リッチ
バズ・ソイヤー
ポール・オーンドーフ
ザ・スーパー・デストロイヤー・スコット・アーウィン
オーンドーフ
マスクド・スーパースター
オーンドーフ
カール・コックス
リッチ
オーンドーフ
キラー・クレイジー・ティム・ブルックス
ラリー・ズビスコ
ブレット・ウェイン
テッド・デビアシー
ブラッド・アームストロング
ザ・スポイラー
ブラッド・アームストロング
スポイラー
デビアシー
ロン・ガーヴィン
ブラック・バート・リック・ハリス
テリー・テイラー
ネイチュアボーイ・バディ・ランデル
ジ・アメリカンドリーム・ダスティ・ローズ
ターリー・ブランチャード
チーフ・ワフー・マクダニエル
ラシアンナイトメア・ニキタ・コロフ(USタイトルに併せる。=85)


 ナショナルとジョージアの統一をしたのは、ザ・スーパースターだったように思う。


 マスクド・スーパースターは、大型で運動神経抜群の、クールなルックのファンタジスタ。天才ブッカー、ジョージ・スコットの、最高傑作のひとつ。世界タグのタイトルは二つともとっていて、ミッドアトランティック・ヘヴィーやアメリカン・ヘヴィーは獲っているが、USチャンピオンにはなれなかった。シングルタイトルについては意外なほど評価が高くなかったが、そのスーパースターのシングルでの最高位が、このナショナル選手権。ジョージア選手権とのユニファイの歴史的事業の主役への抜擢は、屈強な猛者好きなマッチメーカー、オーリ・アンダーソンのプレゼントだった。


 避けられぬ新時代への扉。5年後にデビアシーがWWFで焼直したズビスコ事件も思い出深い。・・物事が劇的に動いた時代だ。


<参考>wrestling-titles.comwrestling-titles.com/thanks


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ナショナル・ヘヴィーウェィト・タイトル

 咆えていたチャンス・プロフィットは、結局NWAタイトルトーニーに参加していないようだ。直前にコリー・ウィリアムスに勝ってナショナル・ヘヴィーウェィト・チャンプになっているが、これが理由だろうか。我々の記憶では、ナショナル・ヘヴィーウェィト・タイトルは85年、USヘヴィー級王者ニキタ・コロフによって、現在SDにあるUSタイトルに統合された。しかし、チャンス・プロフィットから、トーニー参加権利を奪ったことからも分かるように、ナショナル・タイトルは、今でも厳然と存在する。

 勿論、毎度のことに現在のNWAは、80年、ジャック・ブリスコ以来の歴史を謳っている。そのタイトルは85年、ニキタ・コロフによってUSタイトルに併されたのを我々は目撃し、そのまま管理者オレイによって、再分裂の措置を執られた史実はないと言っても、現在のNWAに聞く耳はないだろう。

 ナショナル・ヘヴィー級タイトルは、とても一筋縄ではいかないタイトルだ。2001年春まで続いた、WWFとWCWのあの戦争の、そもそもの発端となったトリガーなのだから。ナショナル・ヘヴィー級タイトルを解析しようということは、あの戦争のアーリーイヤーズを解説しようということに他ならない。それは取りも直さず、世界TVタイトルの誕生ともリンクし、WCWの出現にも影響を及ぼす、レスリングの現代史そのものの回顧録にもつながる。

 ハミルトンのDSWは、実質パワープラントの後裔のようなもの。火薬庫と言われ、いつもインシデンツの出発点になっていたジョージアから、大きな何かが遂に失われる。90年代のホッテストシティだったアトランタは、ひとつの時代を終えようとしている。愛しのジョージアの一区切りに、ジョージアの名タイトル、ナショナル・ヘヴィー級タイトルをあらためて想い出せ。

 ナショナル・ヘヴィー級タイトルは80年、CNN元年、WTOGチャンネル17で放送していたジョージア・チャンピオンシップ・レスリングが、いずれジョージアの枠内では収まりきらなくなるだろうことを見越して設営した、新しいジョージア版のUSタイトルだ。ネイションワイドで放送する番組に、ステートタイトルが要るわけもなく、ナショナル・タイトルは翌年、伝統のジョージア・ヘヴィー級タイトルを飲み込んだ。ナショナル選手権は同時に、ジョージア選手権の一面も有する。

 WTBSで放送する番組の上では、ジョージア・チャンピオンシップ・レスリングは存在しなくなった。新たに現れたのは当たり前のように、ワールド・チャンピオンシップ・レスリングだった。WCWが現れたのは89年ではなく、この時の番組名が最初。

 番組の上では、と言ったのは、NWAの規則上はあくまで、WCWはGCWの運営する番組名で、GCWはジョージアローカルの、一NWAメンバーに過ぎなかったから。NWAの規則からいえば、GCWがジョージア以外の場所でショーなど打つに至らば、それはペナルティの対象になる。しかし世界的ケーブルTVCNN系列のWTBSは全米ネット、NYにもシカゴにも、GCWの提供する番組は流れ、ライヴも欲される。

 80年代初頭、世界的ケーブルTVはレスリング業界を変える。GCWのマッチメーカー、オーリ・アンダーソンは、早くからその図を画いていた。70年代後半、リック・フレアーの出現で、ミッドアトランティックで起こった“レッスルマニア”。人口35万のグリーンズボロの、1万5千人収容のグリーンズボロ・コロシアムは連続の満員になった。1万2千のシャーロット・コロシアムが、ノーフォークのスコープが、リッチモンド・コロシアムが、フルハウスの連続をした。ミッドアトランティック独立の噂は確かに飛んだ。

 フレアー、スティムボート、スヌーカ、ヴァレンタイン、パイパー、マスクド・スーパースター、ワフー、マリガン、クリッパー・スティーヴンス、ジョン・スタッド・・。カナダのトロントとニューヨークのバッファローまで加えた、当時最大の興行地域。ここにネイションワイドTVが付与されれば、全米制覇も可能だ。フレアー、クロケット、オーリ・アンダーソンは、それは自分達こそやるべきだとも思っていた。自分達がしなければ、資格に乏しい他の誰かが、必ずやるだろうとも。

 ミッドアトランティックがなぜ踏み切れなかったか。それは世界を未だNWA本部が確りと握り、本部直轄のチャンプ・レイスが健在だったからだ。勿論、ミッドアトランティックが勝手に独立し、世界タイトルを勝手に新設し、独力でWTBSと組む手もあった。しかしミッドアトランティックは、あそこで立派に、歴史と伝統の世界ヘヴィー級タイトルを尊重した。フレアーは正々堂々と本物の世界王者になる道を選び、それを実行した。あの時ミッドアトランティックとフレアーが抜けていたら、現在NWAタイトルは生き残れ得たか。考えてみてくれ、あのカート・ヘニングですら、ボックウィンクルの歴史を守れなかったのだ。現在のNWAはあの時のミッドアトランティックとフレアーの決断に敬意を表すべきなのだ。だからこそ意味を持ったフレアーのあのセイイングにも。

 正統の世界ヘヴィー級タイトルを守ったミッドアトランティックとフレアー。しかしビジネスとして何を選択したらいいかは、すでに答えは出ていた。旧式のNWAシステムが、来たるべき時代に対応出来ないのは明らかで、オーリ・アンダーソンあたりには、そんなことは分かりきっていた。やらなければ誰かがやる。

 オーリ・アンダーソンはジム・バーネットの仕切るジョージアのマッチメーカーにして、ミッドアトランティックのブッカー。WTOGでU放送していたGCWに他に選択肢があろうはずもない。WTBSを他の誰かに渡せようはずもない。クロケット・ミッドアトランティックとジョージアが既に出ていた答えの元、繋がっていなかったはずもない。

 そして全米放送がスタートするとなれば、終局行き着くのは、700万都市ニューヨークへの進出ということになる。70年代のアイホーンと同じ。NYのWWFがNWAのメンバーかどうかということは関係ない。やらなければ他の誰かがやるのだ。

 やったのはテキサスで、NWAにもAWAにも属さない独立系、サウスウェストの若干29歳の若頭、ターリー・ブランチャードだった。現在はRAWを流すUSAネットを、最初に取り付けたのは、サウスウェストのターリー・ブランチャードだ。USAネットを得て、独立連合がNWAに牙を剥いた。セントルイス・レスリング・クラブを首になった、マチニクの秘蔵っ子ビューロクラット・ラリー・マティシック、独立系の勇、ケンタッキーのICWマッチョマン。現在のNWAタイトルと同じデザインのベルトを作り、テーズを担ぎ出し、アダニスとブロディを獲得し、ホームズに挑戦状を叩き付け、キールに乗り込んだ。

 NWAの総本山の一大事。ガイゲルは、この事態にクロケットに協力を仰ぐ。フレアーからレイスにベルトを戻してまで、セントルイスを守り切った。ジョージアはその間にも、オハイオからベンニルヴァニアに進出。遂にWWFのテリトリーに侵食をはじめる。故VMシニアはNWAアニュアルで、GCWを問題にした。にもかかわらずNWAはGCWに厳しい措置を執らず、今度はこれに怒ったWWFが、NWAを脱退する準備をはじめる。

 WWFはUSAネットを取り付ける。ホーガンをWWF世界チャンプと名乗らせる。しかしWTBSのCGWは未だNWAのメンバーゆえ、ナショナル・タイトルというUSタイトルをメーンに据えざるを得なかった。そこでWCWは、世界TVタイトルという“世界タイトル”を新設。実質的な最初のチャンプに、DDTの創始者スネイク・ロバーツを置いた。

 世界TVタイトルはロバーツの神通的必殺技DDTとともにセンセーションを呼び、たちまちナショナル・タイトルを凌ぐ、NWAレイティングの2位に顔を出すタイトルになる。全米ネット番組の、TVタイトル・・その番組名はWCW・・。WCWエクスクルーシヴな“世界タイトル”は、正にWCWタイトルに他ならなかった。世界TVタイトルとWCWタイトルについては、いずれまた改める。

 ・・ジョージアは、・・JCPの全米進出の、テストケースだったのだと思う。最初から、テストだった。アンダーソンは、フレアーをなしに全米進出などしても意味のないことはよく知っていたろうし、それはそもフレアーとJCPありきの想定で書き上げられたスキームだ。NWAと世界タイトルの折り合いはJCPがつけながら、ジョージアでオーリィにまずやらせてみた。オーリィの背後にクロケットの影響力があることなど、誰だって知っていた。

 オーリィはバーネットをクーデターでGCWから追い、ブリスコスはGCW株をタイタンスポーツ社に売る。GCW及びWTBSの時間はタイタン社のものになり、WCWには、WWFナショナル王者スポイラーが登場した。WWFがJCPにWCWを売り戻したことの、本当のところはよくは分からないが、とにかくオーリィはJCP資本でCWGを作り、それをオポジションとすることで、力づくでジョージア利権を取り戻す。取り返したところで、JCPと合流する。戦争の嵐が物凄い勢いで吹き荒れた一時期。

 ナショナル・タイトルは、しばらくJCPで重宝され、ダスティやターリーらがこれを争ったが、ニキタがUSとのダブルクラウンとなり、これを同質として統合。以来メーンシーンから消える。2001年まで続くことになるあの戦争の、そもそものゴングを鳴らしたナショナル・ヘヴィー級タイトルは、その役目を終えたように歴史より静かに名を消す。しかしそれは、WWFvs.JCPという2大勢力の本当の戦争が遂に始まった事も意味していた。

 ナショナル・タイトルと聞けば、これだけのメモリが、瞬時に脳裏を駆け巡る。NWAは軽い気持ちで復活させたかもしれない。しかし今のNWAにこの歴史を背負うクオリファイとキャパシティはあるか。負ったのは全てJCPとWWFなのだ。ナショナル・タイトルの復活にはそう簡単には納得いかない、過去の清算課題が山積する。

 ナショナル・タイトルは、ジョージアがCNNの本拠だったがため、行きがかり上出来た、USタイトルと同質のタイトルだ。USタイトルの暫定的分身といってもいい。WTBSでの番組WCWが軌道に乗れば、JCPとの合流は避けられず、同時にUSタイトルとの統合も避けられない、最初から短命を運命づけられたタイトルだ。事実強引な道程を経て、その通りになってもいる。

 ただ、行きがかり上とはいえ、ナショナル・タイトルは、伝統のジョージア・タイトルを飲み込んでおり、ジョージア・タイトルには、ステートタイトルとして復活する権利は、ある気もする。

 本来的なナショナル・タイトルは、マンデイナイトウォーの名の元に、今もSDのUSタイトルの中で生きている。NWAは一時ターリー・ブランチャードを担ぎ、NWA・USタイトルを作ったが、直ぐに軌道修正したこともある。それと同じように思い直すことを勧める。戦争の象徴であり、戦争のために出来たような血生臭きナショナル・タイトルは、戦争当事者の責任下、USタイトルの一部としての、戦争記念館に置いておきたい。もともと無く、大NWA崩壊の序曲を奏でた反NWA的存在でもあるナショナル・タイトルを、現在のNWAが重要視するというのもまた、おかしなハナシではないか。

 伝統のジョージア・タイトルについても、戦争の過程でこれこれこういう理由で無くなったという、歴史のいたずら的教訓とともに、記念館で眠っていて貰うことこそ肝要だ。ウィリアムスやプロフェットに何かタイトルを持たせたいのだったら、全く新しい、皆が納得する新創造のナショナル格タイトルを、ナショナルの続きとしてでもいいから、今度は新NWA自身が、その新たな歴史感に基づいて作ったらいいのだ。

 あの戦争を後世に正しく伝えるための生き証人、ナショナル・ヘヴィーウェィト・タイトル。事実は曲げないまま、厳重に保管されることこそ望ましい。
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WWN '94 夏

 94年夏の、WWNのショーの結果をいくつか。


7/25/94 キャドステン アラバマ NWA/WWN


 マーク・ヴァリアント&リック・ガレン b ハイ・ヴォルテージ
 R&R EXP. p ヘイズ&ゴールデン
NWAウィメンズ・タイトル
 ペギー・リー・フェザー b バンビ
ノースアメリカン・タイトル
 グレッグ・ヴァレンタイン b JYD


7/26/94 イーストリッジ, テネシー


 ナイトメア・テッド・アレン b ブライアン・ローガン
 リック・モートン b マイク・ゴールデン
 クリス・キャンディード b ローガン
NWAウィメンズ・タイトル
 ペギー・リー・フェザー b バンビ
 カーティス・トンプソン&スコット・スタッド b ナイトメア&マイク・ウィットラー
 エアリス、シバ&グレッグ・ヴァレンタイン b DFJ、リック・ガレン&マーク・フォン・エリック(マーク・ヴァリアント/リック・レリバス)
 エアリス&シバ b ハイ・ヴォルテージ
 ライトニング b リー・トーマス
 キース&ケント・コール b ケン・アーデン&リッキー・ダイ
 ガレン&エリック b スコティ・フェルナンデス&ローヘッド・レックス
 R&R EXP. b トンプソン&スタッド
 ロバート・ギブソン b キャンディード
 トンプソン&スタッド b ダイ&レックス
 ハイ・ヴォルテージ b ジェフ・レックラー&ケン・スター
 エアリス&シバ b トーマス&ボビー・ヘイズ
 DFJ、リック・ガレン&エリック b ローガン、ナイトメア&マーク・メルセデス
ウィメンズ・タイトル
 バンビ b レザー 
 ※ バンビ新チャンプに
 スタッド b アーデン
 ガレン&エリック b マーティ・モート&ウィットラー
 コール・ツインズ b ヘイズ&レックス
 エアリス&ヴァレンタイン b ローガン&メルセデス
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