HWD+e -37ページ目

Booker Bloom

 リック・フラーがNJのレギュラーになっているようだ。ボストン出身ブルームの郷友で、ブルームが自ら連れてきたという。


 ビッグ・リック・フラーは勿論、WCWのTVタイトルレーティングで活躍もした、ナイトロサンダーの出演者。たしか世界タイトル戦かUSタイトル戦か或いはその両方で、ゴールドバーグに挑戦したこともあるはずだ。尤もこの時は、弱小チャレンジャー選定によるゴールドバーグの過保護っぷりを揶揄される題材を提供しただけの、あまり意味のない挑戦だったかもしれないが。


 しかしフラーはその目立つ長身と、割りとクラシカルなヴィライン風情で、例えば古の名ティーム、ディヴィルス・デュオやテックス&シャンハイなどが好きだったファンには、注目されていた一種の逸材だった。


 フラーという名前はレスリングファンにある特有の響きを持って接せられる。それが特に南部であるならば。かのフロリダヘヴィー級タイトルの創設者レス・ウェルチの系図。ロイ・ウェルチにゴールデン一家。南部を支配した長身のフラー一族。この長身の若者を見た時は、真っ先にロン・フラーの子裔を想起したほど。それはどうやら関係はないようだが。ただそれほどまでに、リック・フラーは南部のフラー一族に名前負けしていなかった印象は、確かにある。関係ないと知った後でも、何度も本当に関係ないのかと調べ直すくらいだ。


 WCW末期から、ほとんどチャンスらしいチャンスもなく、WWEにも移れず、東部中西部あたりのインディーに出たという噂を時折り聞くほどだったフラー。TNAも見つけられなかったフラーの才能を忘れなかったブルームの、ブッカーとしての腕に拍手を送りたい。ブルームは、思っていた以上にスマートで切れる。


 ゴールドバーグとのタイトル戦から10年、思いがけずに我々は、もはや忘れかけていたリック・フラーの才能の開花を、なんとここ日本で、今正に目の当たりにせんとしている。フラーは確かにトムコ同等の働きをし、間違いなく復活したとも言える。


 正直思っていたところがある。フラーの力を見出せる、生かせられるブッカーは、もういないのではと。リック・フラーはもう、と、勝手にファンがあきらめていたところが恥ずかしい。でかくていかついジュー、マット・ブルーム。NJはいいブレーンをも手に入れたかもしれない。


 もうひとつ、ではマシンガンをブックしたのは、誰なのだろう。コレも、いい選定だと思っているのだが。


新日本プロレスオフィシャルDVD 新日本レスラー名鑑 下巻
¥5,481

New Climax

 ベストオブスーパーJr 15year Anniv. 賞金500万円と、G1CLMXへの出場権。IWGP-Jr.チャンプ井上二冠、卒してヘヴィーへ。珍しく分かり易くもあり。


 最近はクルーザーも受難。いつの間にか居なくもなっている。エディGやCCCBが巣立って行った場。NJJr.にも何か変化の時か。


 今年はクライマックスにIWGPチャンプの参加は無く、ウィナーが直後に挑戦の儀。それでよかった、の感。そもそもチャンピオンがエントリーするというのは、その理論的背景が、あまり確りしていないように思う。


 チャンプ単体より、より稼げるというあからさまな背景? 興行として華が出るという単純な背景? それとも特に考えていなかった?


 例えば、WWEチャンプが、ランブルに出ても意味はない。ハルクがKORに出たこともない。


 シングルのチャンプが最強タグなどの、トーニーに出るというのも解せない。


 昔JCPであったジム・クロケット・シニア・メモリアルのタグティームトーニー。賞金は100万ドル。しかしこれに、チャンプのフレアーが、誰かとタグティームを作ってエントリーなどしない。シングルの世界タイトルは、何にも勝る価値があるから、最高峰に居る者が、わざわざそれより価値のない物を、取りに行ってどうするのかという思弁が働く。最高峰防衛がおろそかになるだけではないかと。


 IWGPチャンプがG1に出ることに何の意味が? 優勝することにどんなメリットが? チャンピオンベルトを無視されて、最強決めるとか言われて、真夏の過酷を乗り切って、負けたらチャンプが負けたと言われ、勝ってもそのまま、準優勝の者の挑戦などを受けるだけ。おそらく多くの人に蟠れたまま進撃してきた真夏の祭典。しかし立ち止まれた時にこそ思え、これは何だったろうかと。


 IWGPチャンプの最高のパフォーマンスは、IWGPタイトルマッチである。G1に出場して、チャンプでない者と一絡げにされて、一緒のトーニーを戦うなど、IWGPチャンプになった労苦をネグレクトされているようなもの。チャンプはチャンプとして、その他の者の挑戦を、堂々と受ければいいのである。夏に、盆休みに、まとまったビッグショーを作りたければ、IWGPチャンプが連日に渡って張胸と、チャンプとして挑戦を受ければいいのである。86年の夏にフレアーが、バッシュツアーでやったように。


 天コジG1タグ出場。知らなかったとコジ。その後に続くのだろう、最強タグはどうするのか。連続するタグリーグとは、これもまた今、一体何を意味しよう。


 カーニヴァル、BOSJ、クライマックス、最強タグ。このくらいは、業界全体で共有して、価値を集約なり一元化なり、分かりやすくする必要はないだろうか。分散化も平均化し、山も川も見えなくなっている果てしない地平線だ。MSGタグリーグにバックランドが来て、最強タグにレイスとニックが来ていた頃のフォーマットが、ここまでそのまま通用して来たのが、そもそも不思議だったのだ。そろそろ国内の大事に思えるものは、大事に扱えるようにしなくては。もう、世界タイトルは日本の手に届くところには、降りてこないかもしれないのだ。


 30年前の良質コンテンツにも、脱皮するべき時期は来ている。NPBにもおいていかれたら、流石にキビシイ。


LEG LOCK~武藤敬司の世界~/プロレス
¥2,983
Amazon.co.jp

オルブライトvs.マードック

 サンアントニオのNWAタイトル戦、赤いベルトの新王者オルブライトvs.スマックをリリースされたばかりのマードック。マードックは危険なハーフネルソンのスープレックスで側頭部をしたたか打たれてマットに伸びる。


 スクラップアイアンの政権1年。よく持ったとの感想も。チャンプとしては最も似つかわしい真打。ブリスコ由来の赤いストラップ。ジョー・アンド・ハーリー・フリーマン・コロシアム。マードック。字面の羅列だけで思わず立ち止まり、見入ってはしまう。


 しかしマードックをハーフネルソンのスープレックスでKOしたオルブライトには、オルブライトしかいないだろうと思いつつも、一抹の不安を。盛時の聖鬼と新世。どんなに凄い技にどんなに凄い受けを取ろうとも、例えばそれに見合うTV的反応は・・。ピアースを叩いたフジワラバーとオープンチャレンジにも・・・。ジャックナイフロールのガナー・スコットへの、今更の望景。NWAはオルブライトを危険な技で、スーパースターに出来ると考えるか。


 ならばハーリーのジムでブレーンバスターを再装備したマードックに、期待はかかる。マードックがNWAに居るというのなら、ブレーンバスターのNWAチャンプは、ジョー・アンド・ハーリー・フリーマンのライヴに見合う。


 そもそもWWEを追われるのが不思議なマードック。WWEに戻ってICタイトルがいいかこのままNWAチャンプを目指して欲しいか。まず我々が腹を決めるとしたら。


Ring of Honor: Stars of Honor
¥1,020
Amazon.co.jp

03年ニューイヤーの2連戦

 終わってみればメダル倍増、団長弁舌軽し。が、かつては宮原が、国内予選では決まって一色をサイドスープレックスしていたグレコの事は、触れられず終い。


 グリースの息吹。その名を冠した伝統競技。高浜の言葉を借りれば、オリンピックにおいて柔道など野犬。古田よならば、オリンピックの本質について語らねば。我々も古代オリンポスの神々を称えるべく振舞おうと。


 お腹で跳ね上げ、サイの爆発力と前部三角筋の吊上力で頭部後方へ弧を描いて投げ飛ばす美しいスルーを発想したのは、紛れもなくグレコローマンのレスリング。自分と同じ重さの生きている肉の塊を空中で大回転させるなど、どれだけ難しいかという驚事。これを実現せしめた時のヒトの肉体は、どれほどまでに鍛え上げられることになるか。美しく神々しい光を放つことになるだろうかと。


 相撲の二丁投げや柔道の裏投げの技巧とも違う、対し向かい組み止めた相手をそのまま後方へ投げるという力勝負。愚直なまでの肉体への信仰。それは神に近づくというギリシャローマの人々の思想。


 グレコローマンで、背負いや首投げで勝つなどがそれほど意味のあることとは思わない。俵返しでも物足りない。グレコをヤルなら真正面から、オーヴァーヘッドスープレックスと向かい合わねば。グレコのスープレックスを出来なければ、レスリングをやったことにはならないとも思える。


 アトランタのチャンプ、カート・アングル。フリースタイルのコンペティターだが、見事なオーヴァーヘッドスープレックスを披露する。しかもアングルは、スタイナーズやレスナーほど大きくもない。そのスタイナーらにしても、カレッジスタイルのビッグエイトクラス。レイガンス、オルブライト、サヴォーン、タズ ・・ アメリカのアマチュアは皆見事なスープレックスを打つ。


 対して日本のプロ。グレコの代表を経験しても、ビッグパパパンプのようなライトなスープレックス打ちはまれ。いないといってもいい。強いて言えば4種類を操る時代の鶴田だが、その鶴田にしても、バスケットからの転向を当初は、大学レス部に断られたりした日本の異端。馳の北斗は、ダックアンダー方式の野犬打ち。


 つまり日本のレスラーは、マトモなスープレックスが打てるのだろうかと。だとしたらそれをなさしめないトレーニングは正しいのかと。スープレックスが打てないレスリングに意味はあるのかと。スープレックスを打つ肉体を作れない古代のボディビルディングに、と。


 イギリスが、白兵戦優位のために練り上げた、キャッチフリーの蛇の道。東インド会社のためのインディアンアーリア論の如き。神に近づくグレコとは違う、地べたをなめ這う人の知恵。純粋なレスリングの本質を言うならそれは、グレコローマンのスープレックスに軍配は挙がる、かもしれない。


 ただ、タタカウということは、これもその本質において、強大な敵がいなくては成立もしない概念。それは同時に純粋なパフォーマンスを培うアマチュアのみでは、レスリングが完結しないということをも表している。今回もよりクリンチ度が増して、ゲームとしては分かり易くもなってはいたが、こういう刈り揃えられた近代オリンピックなどで、よもやレスリングが結実するなどと思ってはなるまい。


 グレコのスープレックスは、エシックなレスリングにおいては、純粋なパフォーマンスとしてベビーを司ってくれる。それがトリプルHが自らの“スティムボート”に、スコット・スタイナーを起用した意味。人の知恵は神という概念を、必要に駆られたがゆえに生み出し、それゆえに自らそれに従いもし、またそのシリアスな相手をも務める。ウェイトリフティングのパワーやハイジャンプの跳力は、“パテラ”として、何倍も魅力的なアートになる可能性を秘める。直接的な戦いを経ずして、生まれ得た躍動は本当にあるのかというハナシ。今回もウィーラーその他、未見のアングルやヘンリーの進化系などに、挑戦せずにいられようものなのか。本編はそれからのハズだ。


Beijing 2008 Games of Xxix Olympiad
¥2,266
Amazon.co.jp

judochop

 いつの間にか終わっていたベイジングのグレコ。日本での放送は、あったのだろうか? 女子は地上波でも放送するのだろうが、メンはそれもおぼつかないのだろうか。グレコ、フリーで計6階級でのみ出場の今大会。出場すら難しい状況では、それも当然なのか。


 途切れたことのない日本レスリングのメダルだが、極東の一ファンのグレコでのヴィディオコレクションは、いち早く途切れてしまった。そういえばもう何年も、インカレの放送も見た記憶がない。


 男子2個で終わった日本JUDO。過去最低だという。ここも女子に譲る。タフガイ泣きそうだ。鈴木連続ipponでプライムのオンエアに困った野球MCの古田曰く、柔道の本質があるとウンヌン。


 柔道の本質とは、これはなかなか難しい。柔道は柔道のみで柔道足り得たか。それは相撲もしかりフリースタイルレスリングもしかり、ボフもウェストモーランドスタイルもまたしかり。エトスとは、それそのものがその本質のゆえに、変化を引き起こす本質をも内包する、とは、ジョゼフ・アロイス・シュウムペーター博士、たしか・・・。


 俳豪高浜虚子をして、駄犬だ野犬だと称われた? 父八田。柔の道を捨てた者は駄犬らしいが、オリンピックでは良犬の方が新参者。駄犬達はオリンピックで活躍する。その多くが元柔道家。柔道では、と、断念半分に転向した駄犬。そうでなくとも、少年期に柔道で基礎を作った者。日本レスリングのベースには、柔道があった。柔道を上手く用い、柔道を知らないレスラーが大半の国際大会を蹂躙して来た。違うだろうか?


 両手刈り。持ち上げて落すだけとダウンタウン浜ちゃん。技をやらんと、と・・・。今日本JUDOは、柔道でレスリングをやられている。かつて日本レスリングがレスリングで柔道をやったように。マトモなスパインバスターを喰らっていることを理解せず、持ち上げて落すだけは技ではないという感覚を言い訳にしているなら、日本の柔道家はいずれオリンピックで、オーヴァーヘッドスープレックスをも喰う。


 レスリング強豪圏で、レスラー達が柔道に転ず、いつかどこかで見た風景。JUDOはメジャーなオリンピックスポーツ。もうレスリングで柔道は通じない。では日本JUDOが「柔道でレスリング」を克服するためには、日本でレスリングがもっとメジャーになることが要る、か。


 レスリングの本質をさておき、柔道で勝って来た日本が、この期に及んで柔道の本質とはよく言うが、ベースボールの憲法たる引き分け無しをレイプし続けた野球に言われる筋合いだけは、断じて無い。


 勝てなくなった日本のレスリング。これを期に本質を見つめ直すのは、レスリングの方だろう。柔道の栄光にすがっていても仕方もない。レスリングをやりたくても街にジムが滅多にない。地方大会に出たくとも広報もHPも無い。一部のマフィアがいつまでも仕切っている、など、問題は山積だが。


紅三四郎 DVD-BOX
¥78,000
Amazon.co.jp