今回は、90年代初め頃のスノーピークのタープを取り上げます。
間違いなく、日本のキャンプという市場にタープというカテゴリーを定着させたブランドの一つですね。
当方が所有するスノーピークカタログで一番古いのが1990年度のものです。
このカタログを見ると当時のスノーピーク(ヤマコウ)は新潟燕三条の会社らしい金物主体のラインナップであることがよくわかります。
そして背負子やロックハンマー、アイゼンなどの登山用品、ナタやアックスなどの刃物も充実しています。
そんな中、スノーピークの現在の礎を築いたと思われる、テント(ランドロック、エルフィールド、ランドブリーズ ＊1)やタープ、テーブル(フォールディングテーブル)やチェア(フォールディングディレクターズチェア)も見られます。
今回のタープは当時3種類(＊2)販売されていた中の一つ、タープワイルドという製品です。
現在ではあまり見かけない5x3mというサイズなのですが、大きさの割にはグロメットの数が多く、ベージュという自然に馴染む色合いも手伝いタープというアイテムの普及に貢献しました。
5x3m というサイズやグロメットが多いタープは、私のようにテントの過保護張りをするにはとても便利です。
生地の使い方(縫い合わせ)も面白いですね。ロール生地の大きさから一枚布では製品化出来ないので、縫い合わせるわけですがロールの長さを生かした生地の使い方は贅沢なのではないでしょうか。端布が大きくなりそうで・・・・・・
写真の張り方は220cmのポールを使い急勾配に張っています。
オリジナルのポールは200cmx2、170cm x4ですから、現スタンダードと比較するとちょっと低いですね。
上記の3モデルからバリエーションが増え、90年代中頃のSPタープを経てヘビータープにてスノーピークのタープは最強と言われるようになりました。
私はスノーピークの製品については、他ブランドに先駆けた製品を出していたこの頃(90年代前半)が好きなので、ソリステや焚き火台、ペグハンマー、別売のポールなどについて記事にしたいと思っています。
これらは現在では沢山のメーカーから沢山の同等製品が出ており、また価格も安価なものから高価なものまで揃っていますから、当時の限られた製品しかなかった状況を懐かしく思い出すものです。
ただ、当時は当時で無かったからこそ様々な工夫を人それぞれが行っていたんですけどね・・・・・・
この製品は写真のポールや張り綱の取り付け部分のみグロメットではなくナイロン製ループになっています。
現物で確認出来てはおりませんが、80年代末からの初期型はすべてグロメットで、1992年度にポールや張り綱を取り付ける定位置部分はループ式に変更されたという雑誌の記載(＊3)を見つけました。
多分、引っ張り強度に対してアドバンテージがあるのがループ式なのではないかと思っています。
蛇足ですが、ウイング型も同時期(1992年度)からグロメットからループ式に仕様変更されました。
尚1990年度のカタログにはなぜかタープ生地の素材が記載されていないのですが、後のカタログで確認すると75 Dポリエステルのようです。四辺は1mm厚のポリプロピレンのテープでぐるりと補強されています。
タープは生地の素材や補強の仕方で張り姿や強度、製品寿命が変わってきます。それゆえ、そのような情報はきちんと欲しいのですが、カタログからすべて情報が得られるかというとそうではありません。
また、雑誌情報は補足として大変ありがたいのですが、たまに間違っているので、鵜呑みにはできません。
このブログでは何度もそのような情報の扱いに困っておりますが、私自身も情報を取り違えたりしますので、その点はご容赦くださいますようお願い致します。
何張りかこの頃の製品がありまので、出てきたら確認してみたいと思います。
＊1:当時、この3モデルはアメニティドームシリーズとして販売されていました。
この時期の製品の名前を後にリユースしてランドブリーズ、アメニティドーム、エルフィールド、ランドロックという現在のラインナップとなりました。
＊2:TP-100ウイング(660x550cm)、TP-101ワイルド、TP-102 ルーフ(300x300cm)
＊3:小学館 Be-pal The Catalog 1992より