Civilian Controlの盲点
軍隊が一人歩きしないようにするための政治の仕組みとして、文官による軍隊の規制という制度がこの国あるのは、ご存知の通りです。しかし、”建国の父たち”が予想しなかった事態がはじめてBush政権によってもたらされたのではないかという気がしてなりません。この文官による規制というのは、軍隊が国民の意識の平均よりもいつもタカ派であるというと言う想定に基づいていると思います。ですからこのタカ派の軍部が勝手なことを出来ないようにこの文官による規制があるわけです。多分これは、歴史的な傾向としては、このBush政権が出てくるまでは正しいものであったと思います。しかし、この政権と軍隊の関係を見ていると、このネオコン政権は軍隊よりどうみてもタカ派としか言いようがないですね。
このような場合には、文官が軍隊をおさえるという制度ではなく、文官が軍隊の首に縄をつけて
戦争に連れて行くという事態になります。Civilian Controlの理念で言うと、全く逆のことがおきてしまいました。
イラクの戦争の前に、陸軍の参謀総長であった、エリック シンセキという4つ星の将軍が、侵攻を成功させるなめには、40万から50万の軍隊が必要と更迭を覚悟の上で、証言したことがありました。彼は戦争のプロとして、第2次世界大戦の分析からの数字を証言したわけです。彼は即更迭され、15万で侵攻できるという国防長官の意見に賛同するトミー フランク将軍を指揮官として、戦争が始められました。
この戦争が始まってから、面白いと思ったのは、反戦運動にたいするBush大統領と兵士のコメントの違いです。Bushはこういう反対運動というのは、利敵行為だときめつけますが、兵士はこういう反対運動をふくむ、民主主義を守るために戦っているのだと言う意見でした。これを聞くと兵士のほうが、一枚上手だと思いましたね。したがって、ベトナム戦争と違い、今回は軍隊に対する批判というのが、反対運動の側からも、でてきません。 帰還兵は感謝されることはあっても
面罵されたり、ツバをかけられるという様な事はありません。
いま退役した将軍達がイラク戦争政策に反対の声を集団としてあげています。現役の時にシンセキ大将のようにいってくれればよかったのにと思いますが、色いろ事情があるのでしょう。
おそらく。Bush大統領は、史上はじめて、軍隊よりタカ派の最高司令官でしょう。彼のボスの国民の70%が反対する中、にっちもさっちも行かないイラク状況で彼の選択がどういうものになるのか、暗澹としつつ注目しています。