国指定名勝、鞆の浦。

 

そこには、全国初の国定公園、瀬戸内海国立公園を象徴する絶景を堪能出来る寺院があります。

 

重伝建の町並みを縫う様に続く小路を進むと、まるで砦の様な石垣が現れます。

 

◆福禅寺◆

(国指定史跡)

 

江戸時代、朝鮮通信使の為の迎賓館として使われた古刹、福禅寺の石垣です。

 

 

海街らしい、狭い小路に迫る石垣と町家。

 

石垣の間の石段を上ると、境内です。

 

 

"海岸山"という山号がいかにも海街の寺院。

 

白砂の参道を進み、御本堂へ。

 

御本堂

<由緒>

真言宗大覚寺派 海岸山千手院福禅寺

創建:平安時代中期(950年頃)

御本尊:千手観音

開基:空也

 

平安時代の天歴年間(947〜957)に空也上人により、天台宗の観音堂として創建されたと伝わる古刹。

 

江戸時代を通して朝鮮通信使の迎賓館として使われ、"いろは丸事件"では、海援隊と紀州藩の補償交渉の場にもなった、多くの歴史を見てきた寺院です。

 

 

そんな歴史からか、御本堂を護る仁王像もどこか大陸風。

 

 

境内を振り返る。

 

高台に位置していて、鞆港を一望出来ます。

 

御本堂に上がり、右手の客殿に進みます。

 

 

見上げると、客殿"対潮楼"の扁額。

 

対潮楼

*拝観料¥200

 

元禄年間(1688〜1704)に建てられた客殿。

 

奥に見えるのが御本堂。

 

その歴史の深さを感じる荘厳な空間に豪華絢爛な厨子が置かれ、そこに福山市指定文化財の御本尊、千手観音像が安置されています。

*御本堂内撮影禁止

 

 

江戸時代を通して、ここで日朝の文人・墨客が集い交流をしてきました。

 

客殿内は朝鮮通信使の歴史を物語る資料館ともなっています。

 

 

この頃は今よりも政治・文化共に友好な関係だったのでしょうね。

 

そして、

 

こちらが日本を代表すると言っても過言ではない素晴らしき眺望。

 

 

境内越しに仙酔島と弁天島を望む絶景。

 

額の"日東第一形勝"は"日本一の景勝"という意味で、正徳元年(1711)に朝鮮通信使の従事官・李邦彦がこの風景を称賛した言葉です。

 

 

延享5年(1748)、通信使の正使・洪啓禧が"対潮楼"と命名します。

 

仙酔島

 

"仙人も酔ってしまうほど美しい島"がその名の由来。

 

島には船で渡る事ができ、島内には宿泊施設とキャンプ場が設けられ、明治時代以降、天皇陛下や皇族が幾度となくご訪問されています。

 

手前の弁天島に建っているのは、江戸時代中期再建の伝天堂。

 

三猿像

 

歴史を感じる展示品の数々。

 

香炉時計

 

香炉時計というもので、24ある枠にお香を灯し、時間を計るそうです。

 

 

外観はまさに砦。

 

 

街道から眺める。

 

 

海街の風物詩。

 

 

近年、レモン推しの広島。

 

ご当地マンホール

 

仙酔島と弁天島、そして、渡船のデザイン。

 

公開施設はことごとく定休日でしたが、長い歴史の中、変わることなく残されてきた町並みや国内随一の名勝を感じられたひと時でした。

 

時刻は14時。

 

バスで福山市街へ戻ります。

 

 

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