金沢の重伝建4地区巡り。

 

最後の1地区、寺町台へ。

 

卯辰山麓の寺院群同様、慶長〜延宝期(1596〜1681)に各地から寺院が集められました。

 

卯辰山麓が金沢城の北側に形成されたのに対し、寺町台は城の南側、V字に繋がるふたつの街道沿い広がっています。

 

まずは、旧野田道の野田寺町から。

 

◆寺町台◆

(国選定重要伝統的建造物群保存地区)

高岸寺

 

天正15年(1587)創建の日蓮宗寺院。

(元の創建地は加賀白山)

 

建物正面の妻面に重ねられた梁に蟇股装飾。

 

 

この建築様式は、"アズマダチ"と呼ばれる加賀能登地方特有のもの。

 

近代の道路沿いに連なる石垣と板塀の風景。

 

 

立像寺

 

永仁2年(1294)創建の日蓮宗寺院。

(元の創建地は越前武生)

 

金沢最古の寺院と言われています。

 

立像寺御本堂

(金沢市指定文化財)

 

寛永15年(1638)の建立です。

 

妙典寺

 

天正13年(1585)創建の日蓮宗寺院。

(元の創建地は越中高岡)

 

松月寺

 

文禄2年(1593)創建の曹洞宗寺院。

(元の創建地は越前)

 

松月寺のサクラ

(国指定天然記念物)

 

塀を突き破りそびえる大桜は、泉鏡花の作品にも登場する老木。

 

続いて、旧野田道からV字に折れ、旧鶴来道沿いの泉寺町に入ります。

 

承証寺

 

天正17年(1589)創建の法華宗寺院。

 

 

江戸期の画家、俵屋宗達の作品、"萩に兎"が御本堂の板戸に残されているそうです。

 

 

妙立寺

 

寛永20年(1643)創建の日蓮宗寺院。

 

歴代藩主の祈願所だった、寺町の中心的寺院で、その複雑な構造や様々な仕掛けから、"忍者寺"とも称されています。

 

 

外観は2階建ですが、内部は中2階が2つの4階建てという造り。

 

 

事前予約制での内部拝観が可能です。

(拝観料¥1,000、9:00〜16:30/冬期16:00)

 

見学はまたの機会に。

 

国泰寺

 

木々に覆われた佇まいの臨済宗寺院。

(創建年代不詳)

 

六斗の広見

 

通りを見渡せる広場の様な叉路で、かつては幕府巡見使の送迎、火除け地や祭事の広場として利用されていたそうです。

 

町家の面影を残す寺町台の町並み。

 

 

以上、寺町台の寺院群でした。

 

日蓮宗寺院が密集する金沢の寺町。

 

かつて、浄土真宗信徒による一向一揆に悩まされた加賀。

 

それゆえの日蓮宗なのかもですね。

 

北陸漫遊三日目、残りあと数話です。

 

続く右矢印

 

 

***重伝建まとめ***

①北海道・東北・関東編→Click

②甲信越・東海編→Click

③北陸編→Click

④近畿編→Click

⑤中四国編→Click

⑥九州・沖縄編→Click