宿根木散策の続き。
「清九郎」から小路を進むと、集落を流れる川、称光寺川が見えてきます。
川に架かる石橋を渡った先に、町のシンボルが建っています。
三角屋
*見学料¥300(9:00〜16:00、4〜11/下旬土日祝公開)
小路と小路に挟まれた場所ゆえの隙間建築。
その形から「船形の家」とも呼ばれます。
この「三角家」は明治時代に小木から10数km内陸の羽茂地区から移築されたもので、この立地に合わせて加工が施されました。
結果、この様な三角形に。
そんな三角家屋を深野家が昭和24年に購入。
早くにご主人さんを亡くした深野アサさんが裁縫や塩販売、新聞配達で一家を支えてきました。
"塩"の看板はそんな時代の名残りですね。
深野さんはご子息の元に身を寄せる平成18年までこの家で生活をしていました。
家主が去った後、空き家となりましたが、数年前に一般公開となります。
JRの観光ポスター。
どこかで見た覚えがあるのでは?
見取り図。
見事なまでの三角形。
ほぼ当時のままに保存されています。
2階座敷。
思っていた以上に広々。
奥の部屋は三角スペース。
深野さんが愛用していたミシン台も、当時のままに。
2階からの眺め。
行き交う人々や遊ぶ子供達を眺めていたのでしょうね。
中に貼られている深野さんの生活の風景。
"新聞が重そうです"とか、少々ユニークな解説文 笑
基金¥500でこのリーフレットを頂きました。
小さな家で不便も多かったでしょうけれど、この家を愛し(時には憎み?)、59年の歳月をここで過ごされたのかと思うと、とても感慨深いものがあります。
59年間、この家で朝を迎え、人々と語らい、夜の眠りにつく…
一体、どんな想いで日々を過ごされていたのだろう?
そこには宿根木という町そのものの姿があるように思えます。
目をつむれば、セピア色の三角家の風景が…
そこには、楽しそうに笑う深野さんの姿。
だから、
"この家をいつまでも残したい"という、リーフレットの言葉に胸を締め付けられる思いでした。
ここに「三角家」がある限り、またいつか訪れたい。
そんな想いを胸に「三角家」を後に…
角を曲がり、再び小路を進みます。
古民家カフェ「茶房やました」さんは、残念ながら既に営業終了でした。
ところで、
宿根木の民家は腰板で建物下部がカバーされています。
その腰板には船の廃材が使われていて、
板を打ち付ける釘も船舶用の物が使われているそうです。
まさに漁師町ならではの知恵。
板塀の中にちらりと見える土蔵。
集落の海側の端に建つ「伊三郎」は、明治25年築の千石船船頭旧宅で、一日一組限定の宿。
"軒下飾りの家"としても知られています。
軒下の扇型の飾り。
主人の苗字"石塚"の"石"を透かし彫りに。
こちらは家紋?
販売機も町並みに溶け込むように。
少し進めば、集落の表玄関に出ます。
入江ではたらい舟にも乗れます。
軽く一周するだけならば、10分程度の小さな町ですが、いつの間にか1時間半も経っていました。
集落に戻り、もう少し散策です。
続く
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