エヴァンゲリオン(EVA)
エヴァンゲリオン (EVA)
主人公らの乗る汎用人型決戦兵器。ロボット(人造人間)であり、「A.T.フィールド」と呼ばれる防御壁をもつことから、使徒に対抗できる唯一の存在とされる。パイロットはEVAとの神経接続を行う「インターフェイス・ヘッドセット」と生命維持等のサポートを行う「プラグスーツ」を着て、コクピットの「エントリープラグ」に乗り込む。エントリープラグはEVAの頸椎部分から挿入され、内部には「L.C.L」と呼ばれる、肺胞でのガス交換を可能にする液体が満ちている。EVAはパイロットとの神経接続によりコントロールされ、稼働状況は両者の「シンクロ率」により左右される。シンクロ率が低いとEVAは起動せず、逆にシンクロ率が高いときにEVAが外的ダメージを受けると、パイロットにも肉体的影響がでる。パイロットは原則として「母親のいない14歳の子ども」に限って選抜されている。
機体 | 補足 | 機体色 | 搭乗者 | 搭乗者コード |
---|---|---|---|---|
零号機 | 試作機(PROTO TYPE) | 山吹色→青 | 綾波レイ | ファースト・チルドレン |
初号機 | 実験機(TEST TYPE) | パープル | 碇シンジ | サード・チルドレン |
弐号機 | 実用機(PRODUCTION MODEL) | レッド | 惣流・アスカ・ラングレー | セカンド・チルドレン |
3号機 | 実用機(PRODUCTION MODEL) | ダークブルー | 鈴原トウジ | フォース・チルドレン |
4号機 | 実用機(PRODUCTION MODEL) | 不明 | 不明 | 不明 |
5-13号機 | 量産機(MASS PRODUCTION MODEL) | ホワイト | ダミープラグ | ダミープラグとしてカヲル |
綾波レイ
綾波レイ
~人物~
色白で青色の髪と赤い瞳を持つ細身の少女。生年月日などに至るまで記録は全て抹消されており、唯一14歳であることのみが劇中で明かされた個人情報である。「クール」「大人しい」と言うよりも、ほとんど感情を表に見せず、無口で無表情。口数も少なく、他者への興味が希薄だが、ネルフ司令・碇ゲンドウに対してのみ心を開いていた。後に交流を持ち、親身に接してくれた碇シンジにも心を開いていく。それに伴い、自我の芽生えと感情も僅かながらに見せ始める。 しかしその直後使徒の侵食にあい、悲惨な最期を遂げてしまう。
本作に置ける最大のキーパーソンとして、重大な役割を果たすことになる。物語の始まる直前にあったEVA零号機の暴走事故により重傷を負っており、初登場時は包帯姿で登場している。
~交流 ~
先述のように他者との交流などはほとんど見られないが、碇ゲンドウにはとびきりの笑顔を見せるなど、絶大な信頼を寄せている様子が度々描かれている。出会ったばかりの頃のシンジが、父であるゲンドウを信頼していない事を吐露した場面には強い怒りを示し、シンジを平手打ちした。一方、シンジに対してはヤシマ作戦での会話や出来事から、以降「碇くん」と呼んでおり、彼に対する心境の変化を示している。後もシンジの言葉を意識したりしている場面が見られ、シンジ自身もレイにはよく声をかけるようになった。劇中では彼女自身が心配、怒り、戸惑い、驚きなど、感情の表れと思える表情を見せるほとんどの場面にシンジが関わっていた。シンジが自身の内面世界で対話する際は、常に彼女も居た。
レイが直接交流を持った人物に多少なりとも感情や人間性を見せているのは、ゲンドウを除けばシンジを始めとした他のチルドレンのみである。鈴原トウジがフォースチルドレンに選出された際には、彼が危険な任務に加わることでシンジの心がまた傷つくのを心配するようになっており、他者との交流による心の成長を伺わせていた。
惣流・アスカ・ラングレーとは、本来なら年齢も同じで一番近い距離にある同性なのだが、初対面時にやや高飛車な挨拶をしたアスカに対し冷淡な態度を取り、以後もほとんど関心を見せなかった。アスカからは、EVAを操縦することだけが自分の存在意義であるという、自分と一致する部分を感じるためか、近親憎悪に近い敵意を向けられており、「ファースト」や「優等生」、「人形」(「機械人形」)と呼ばれていた。またエヴァパイロットとしてゲンドウからの優遇や、シンジを巡る女としての嫉妬心も向けられていた。アスカのシンクロ率の低下が顕著に表れ始めた際には、アドバイスと思える言葉をかけているが、アスカには平手を喰らい拒絶されている。劇場版での精神世界の中でも、シンジとアスカの激しいやりとりの最中、シンジにアスカのことを分かろうとしたのかを問い詰めている。
日常生活においても他者との交流を持たず、極端な感情を示すことが少ない少女だが、庵野秀明監督によれば彼女は「感情がない」のではなく「感情を知らないだけ」とのこと。
~生活~
古い集合団地(『新劇場版:序』では「第3新東京市市営住宅第22番建設職員用団地6号棟」)の402号室に独り住まい。部屋は刑務所の独房のような、コンクリートに包まれた殺風景なものとなっている。カーテンは昼間から閉め切られており、僅かに光が差し込む程度で、こういった環境で統一されているのは、レイの育った場所であるネルフ内にある人工進化研究室3号分室のイメージが、彼女の深層心理に強く残っているためである。また、掃除をしていないのか廊下の床にはほこりがかぶっている。彼女はスリッパを履いてこれを避けているのだろうが、シンジが初めて訪れた際は靴下が汚れるのを気にしてつま先立ちで歩いた。二度目は気にせず普通に歩いたが、一緒に来ていたトウジがつま先立ちで歩いた。
自室には生活用品や家電製品なども必要最低限のものしか置かれてなく、装飾品や、調度品の類は一切存在していない。唯一、零号機の起動実験時に割れてしまったゲンドウのメガネを、ケースに入れて大切に所持している。私服なども着用している場面はなく、多くの場合学校の制服で活動していた。
「肉は嫌い」と話しており、これは肉を全く受け付けない監督庵野秀明の個性を写したものといわれている。一度ラーメンを食べに行った際には、「ニンニクラーメン チャーシュー抜き」を注文していた。ちなみに漫画ではこの描写はない。余談だがこのラーメンをモチーフとしたカップ麺「にんにくラーメンチャーシュー抜き」が、期間限定で2009年5月下旬~6月初旬までローソンにて発売された。
なお、自身が趣味として認識しているかは不明だが、読書をしている姿が度々描かれている。
用途・効果・目的は一切不明だが、漫画では赤木リツコから薬の投与を受ける描写がある。
~真相~
綾波レイの誕生については謎が多く、脚本決定稿では2010年に現れたレイについて「7歳に見えるが5歳」という記述があることから、少なくとも2005年に誕生し、本来の人間より早く成長していることがわかる。
小児期の容姿を見た赤木ナオコが一目で碇ユイを想起したほど似ていることから、肉体はユイのコピー的なもの(クローン)と考えられているが、『スキゾ・パラノ』によると、厳密には「肉体はユイとアダムの遺伝子を半分ずつ受け継いでいる肉体」(よってユイのクローンとは言えないもの)だと言われている。肉体の出生に関しては、『EOE』のパンフレットには「EVAに取り残された碇ユイをサルベージしたもの」とある。
レイの魂はリリスの魂であり、それ故一つしか存在しないが、その「イレモノ」である肉体は多数存在するため、何らかの原因でレイが死を迎えた場合、魂を新しいイレモノに移し変えることで復活する。記憶に関しては、セントラルドグマで定期的にバックアップを取られていた為、「前の肉体で最後に保存した記憶」までが次の肉体に受け継がれるものの、感情面は保存される事はない。結果として記憶は受け継がれるものの、それに伴う感情というのは受け継がれない。また、魂の宿っていないイレモノは、パイロットなしでエヴァンゲリオンを起動するための「ダミーシステム」のコアとして活用されている。
作品中には3人のレイが登場する。1人目のレイはNERVがゲヒルンから改名する以前、赤木ナオコに対してゲンドウの陰口をそのまま本人に伝え、激昂した彼女によって扼殺されている(漫画版ではこの事件とナオコの死の詳細が描かれた)。シンジが初めて出会ったのは2人目のレイであり、第弐拾参話のアルミサエル戦においてレイが自爆死した後に登場したのが3人目となる。先述したように、この時点では彼女にはシンジに心を開きつつあった感情は消滅していたらしく、彼に対する接し方が劇中序盤の頃のようになっている。
人類補完計画を遂行するにあたり、サードインパクトにより全ての生命の肉体を還元し、魂を肉体から解放した際、ゼーレの計画ならば黒き月へ、ゲンドウの計画ならば初号機の元へ人類の魂を導く必要があり、それが可能な存在がアダムやリリスであるとされる。故にその魂を宿され造られた存在であるカヲルとレイがいる。彼らが魂の道標となれる存在であり、それ故本作において重要なキーパーソンと成る。
劇場版において、ゲンドウの思惑によりアダムとリリス(レイ)の禁じられた融合により補完計画の発動が画策されるが、直前にシンジの存在を感じ取ったレイは、ゲンドウからアダムだけを奪い去り、自らを「人形じゃない」と告げリリスに還ることを選択。ゲンドウの元を去りシンジの下へと向かった。その後エヴァシリーズ(初号機含む)がレイと同化したことにより、またレイがシンジに人類の未来の選択を委ねたことにより、レイは「シンジの願いを叶える存在」となる。
~身体的特徴~
髪や目の特異な色を除き、その外見や容姿はシンジの母・ユイに酷似している。先述した初号機からユイをサルベージする過程で生み出されたコピー的存在であることに、その原因があると考えられている。
テレビ版第拾四話におけるレイのモノローグでは、自らを「血を流さない女」と表現しているが、第壱話で流血している事から、月経がない事の隠喩と捉える向きもある。
冬月コウゾウ
冬月コウゾウ
誕生日は4月9日[3]。企画段階では45歳だったが、最終的にはゲンドウより10歳ほど年長という設定。一人称は、「俺」。趣味は詰め将棋。
NERV副司令として数少ないゲンドウの理解者であり、彼の本当の目的を知るただ1人の人物。元は京都の大学教授で、形而上生物学を研究していた。この頃学生だったユイやゲンドウと知り合う。セカンドインパクト後は一時期モグリの医者をしており、その時に招集された国連調査団でゲンドウと再会、彼とユイが結婚したことを知らされた。
潔癖かつ正義感にあふれた人物で碇ゲンドウやゲヒルンを毛嫌いし、セカンドインパクトの真実を公表しようとしたが、ジオフロントで開発中のEVAを見せられ、ゲンドウの誘いに応じ行動を共にする。主にNERVの実務面を担当しているが、ゲンドウの不在時には代わって作戦指揮を執ることも多い。物語後半にてゼーレに拉致されるが、加持の助けでNERVに無事帰還している。
碇ユイに好意を抱いていたが、思いを打ち明けた事は一度も無かった模様(厳密な話をすれば彼女への思いが恋愛から来るかは不明)。ユイの消失前、ゲンドウも知らない彼女のエヴァに対する真意を告げられていた。その時に乳幼児だったシンジも居た。
チルドレン(EVAパイロット)に対して特別関心は無かったが、ゲンドウ不在の時にシンジとアスカにパイロットとしての本分を直接諭した事はある(第九話)。その中でユイの面影を残すレイだけには、ゲンドウとは別の心情を持っていた事が明かされている(ビデオフォーマット版第弐拾参話)。
機関内での立場はゲンドウより下ではあるが、かつての師・教え子の関係やゲンドウの計画への賛同およびゲンドウへの信頼などから司令である碇を「碇」と呼び捨てにしている。冬月がゲヒルンに加わって以降は、一回り年下のゲンドウに「冬月」と呼び捨てにされていたが、劇場版でゲンドウは最後にセントラルドグマに向かう際に「冬月先生」と呼んだ。最後はユイの幻影を迎え入れて補完される。最期の言葉は「碇、君もユイ君に会えたのか?」という、ゲンドウヘの問いかけの言葉だった。
新世紀エヴァンゲリオン2(PSP版)における彼のシナリオでは、ユイへの思いがより強く描かれており、大学時代に読んだユイの論文を元に「精神と肉体の分離」を自らを実験台に試みる。この論文は人類補完計画の雛形とも言える理論でもあった。実験によって冬月は自分の意思でヒトの精神世界にアクセスする術を身につけ、そこでユイとの再会・対話を果たす。最終的に現世を捨てて精神世界にとどまり、ユイと共に人類の行く末を見届けることを決意する。残された肉体はL.C.Lへと還元された。
名前の由来は、大日本帝国海軍秋月型駆逐艦「冬月」から。名のコウゾウについては、語呂の良さからついたもので由来はない。外見・容姿は声を演じた清川本人がモチーフとなっている。モデルは『謎の円盤UFO』のフリーマン副官[要出典]。
なお話の中では冬月が京都のどの大学で教鞭をとっていたかは分からないが、劇場版パンフレットでは京都大学で教鞭をとっていたとの設定記述がある。所属は形而上生物研究室。