チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる -8ページ目

チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

 

あなたは今、X社の購買担当として、

新工場の空調設備の購入を検討中です。

 

実績を持つ企業数社から見積もりをもらい、

各社からのプレゼンテーションも受けているところです。

 

A社、B社…、それぞれ自社の特徴をアピールしてきます。

効率、使い勝手、耐久性、価格、納期、等

それぞれ一長一短あって、どこに決めるべきか悩ましい。

 

そんな中、X社に納入実績が無いR社のプレゼンは、

他社とは随分違った内容でした。

 

*    * *

 

当社製品は全社平均に比して消費電力が2%少なく、

さらに今期モデルは新素材の採用で耐久性も増加している、

その他の性能も他社に引けを取るものではない。

とはいえ、正直申せば、

他社と明確に差別化できる程とは思っていない。

 

実は今朝、当社の岐阜工場の連中から、頑張ってこいと、

励ましのメールをもらって、こちらにやってきた。

 

バリアフリー社会の実現に向けて

様々な取り組みを進めておられる貴X社の活動を、

わが社は前々から注目してきた。

 

社内でバリアフリー化を進めるにあたっては、

X社の取組みの数々を参考にしたと担当からも聞いている。

 

バリアフリーのテーマ、とりわけ障害者雇用については

我々も長く意識的に取り組んできており、当社岐阜工場の

障害者雇用比率は県下で1,2を争うレベルとなっている。

 

今回の設備はまさに、この岐阜工場で製造されるものなので、

貴社からの発注となれば、工場の連中も張り切って、

間違いなくいい仕事をすると思う。

 

同じ未来の実現を胸に抱くものとして、

貴社の活動に貢献できるのであれば嬉しい。

 

*     *  *

 

さて、X社の購買担当として、あなたはどうするか。

 

これまで実績の無いR社が、価格や性能面でも差別化要素が

見当たらないとなると、普通であれば選ばれる確率は

相当に低いと言うべきでしょう。

 

とはいえ、

このプレゼンテーションを聞いてしまったいま、

あなたは、R社を他社と同列で見る訳にも

いかなくなっているのではないでしょうか。

 

それは、

あなたがR社の“岐阜工場の連中“とある種の繋がりを

意識するようになっている、

 

話を聞いているうちに、

そういう力が働きはじめている為だと、

考えることができます。

 

最終的にあなたがR社を選択するかは別として、

ひとつのストーリーがあなたの内側に

静かな変化を起こしている、

 

つまり新しく「関係」を生み出していると

言うことは出来ると思います。

 

こんな風に、

ストーリーは「関係」を創造する力を持っています。

 

だけど、

そんな都合のいい話はそうそうないでしょう、と

あなたは思っているかもしれません。

 

その問いへの答えを含めて、

このテーマ、次回に続けます。

 

 

構造化されたストーリーが

「類推」の基盤として働き、

それが思考の質を高めていくと前に書きました。

 

そうであるならば、

日々積み上げている無数の「体験」を、

“構造化”されたストーリーに編集していくことで、

私たちの思考の基盤は強化されることになります。

 

“体験という資産”に磨きがかけられる訳です。

 

今回は、私が企業向けの研修で提供している

“体験”から“構造化ストーリー”へと編集する

3つのステップを、ご紹介しようと思います。※

 

少し長くなってしまいますが、

お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

3つのステップとは、

1)再生(振り返り)

2)構造化

3)5段落への落とし込み(再ストーリー化)

です。

 

1)の再生は、過去を振り返って語ること。

つまりストーリーテリングです。

 

出来れば2-3人の仲間と代わるがわる語って

お互いに聞き合うといいのですが、

 

ここでは文字起こし機能の付いたボイスメモを使って、

一人で進める方法をお伝えします。(MS ワードの

ディクテーション機能で出来ます)

 

予め問いを3つ用意しておきます。内容は、

 

①    現在の自分(仕事力、性格、自信、評価、等)に

つながっている重要な体験を一つあげる。 

それはどんな体験だったか?

②    場面場面で何を考え、何を感じたのか?

③    改めて、その体験から得られたものは何か?

 

語る際は、後輩とか友人とか、

どなたかの顔を思い浮かべ、その人に向けて語る様にします。

 

その様にするのは、自分では分り切っている部分も

あえて言語化しておくためです。

 

ひとつの問いに対して5-7分を目安に、

思いついたまま言葉にしていきます。

 

語るうちに問いと直接繋がらない話が浮かんでも、

それを含めて語っていきます。

 

時間は目安なので、オーバーしても構わず、

浮かんできたものは全て語りきる様にします。

 

ステップの2番目は構造化です。

1)で語った内容を文字化し、これを編集していく作業です。

 

構造化の中身はここまでに述べて来た通りなので、

重複は避けますが、

以下2つの点には、意識を向けておく必要があります。

 

一つ目は

“達成”に貢献した要素をすべて表に出すことです。

 

体験を客観視して、

貢献要素とそれらの因果関係を洗い出す、

すなわち“構造”をしっかり捉えることです。

 

二つ目は、

“心の風景”に意識を向けることです。

 

ストーリーは“出来事の風景”と“心の風景”の両方から

出来ています。

 

そして、

ものごとを成功させたり、達成したりする上では、

この両方の課題が克服できていなければいけません。

 

…と、心に決めて取り組んだ、

…が力強く背中を押してくれた、

…に慰められた、等の心の状態も

“構造”の一要素になるものです。

 

3ステップの最後は

5つの段落に落とし込む“ストーリー化”の作業です。

 

5つとは、

 

(1)   背景・経緯

(2)   課題の出現、新展開の開始

(3)   事態の展開、意図と感情の変動

(4)   決着、クライマックスシーン

(5)   体験が自分にもたらしたもの、意味づけ

 

実際には順番が変わったり、

部分的に省略されたりもするので、

この通りにならないケースは多いのですが、

ここでは基本形として示しておきます。

 

重要なのは体験を、

ここで示した5段落の枠組みに落とし込んでいくことです。

 

“構造化”作業で引き出された“出来事”と“心”の諸要素を

(2)(3)(4)のストーリーの中に

反映させるようにします。

 

(1)(2)で見えていたものが

(3)(4)で大きく変わったり、

新事実が出てきたり、

脅威に打ち勝ったり、と、そんな具合に

展開させていくことになります。

 

ここの作業は少し骨が折れるものですが、

しばしば新たな発見を生みだす最重要プロセスです。

 

ここまで終えたら(5)に進みます。

 

成功の要因を一言でまとめたり

その体験が自分にもたらしたものを確認したりします。

体験の意味が、

ここで最終的に言語化されることになります。

 

多くのケースでは、

一連の作業を通じて発見されたものが(5)に反映され、

新たな意味を帯びた体験として記憶に残ります。

 

ここは、やってみて初めて気づく部分ではあるので、

是非体験してほしい、としか言いようがありません。

 

ある程度の仕事経験を積まれた方なら、

 

・社会人になりたての頃の学び

・試練を乗り越えた体験

・充実を感じた協働体験

・忘れられない葛藤体験

・管理職としての苦労、

 

などを上の手順でストーリー化すると

思いもよらなかった色々な発見が起きてきます。

 

体験をストーリーという形の形式知にしておく事は、

独自の知識資産の形成に間違いなくなると思います。

 

なお、ここまでで、

気づかれた方も多いかもしれませんが、

 

編集されたストーリーは、

後輩や同僚に知を継承するメディアにもなります。

 

後輩たちが無駄な回り道をしないようにしたり、

彼らに新しい発想の材料を提供したり出来る

大きな貢献ポテンシャルがあると思います。

 

その観点を入れて私の1日の研修では、

後輩や同僚に語りやすいサイズとして、

ワンストーリー800-1000字を目安に作ってもらっています。

 

以上、

今回はストーリー化の3ステップを紹介いたしました。

 

ご自身の「知」のアップグレードの為にも、

また、自分の経験の知を世の中に役立てていくためにも、

 

多くの実践者が、自身の体験をストーリーにしていく、

こうした作業に取り組んで下されば、と思います。

 

 

 

※上記は「ストーリー伝承力」という1日の研修として

実施しているものです。

 

「類推」の質を高める上で重要なのは、

 

“目標達成の形”、

“その達成に貢献する要素”

そして、

“それらの関係が示された全体構造”である、

 

という話を前に書きました。

 

現実に「類推」を働かせようとする際は、

この「目標(達成形)」のところが、

重要になります。

 

海外旅行に持っていくものは?

 

魚釣りに揃えなければいけないものは?

 

火事になった時に絶対に持って出るべきものは?

 

こんな形で“目標”が与えられると、

私たちの脳は“検索”を始めます。

 

魚釣りによく行く人なら、

揃えるべきものがスラスラと出てくるでしょうが、

 

5年前に行ったきり、

という人だと、

半分くらいしか出てこないかもしれません。

 

ストーリーも事情は同じです。

 

三つ巴の激戦の末に受注に成功した。

 

チーム力が漸く発揮できるようになってきた。

 

長年の技術的課題がやっと解決された。

 

受注、チームワーク、問題解決の様な

「目標(達成形)」が明確にされていると

 

それに関連する頭の中の「知」が

結集されやすくなります。

 

逆に言うと、

「経験」(これは自分の実体験のみならず、

先輩から聞いたストーリーとか、本で読んだ

歴史の出来事なども含みます)があっても、

 

上の構造が整理されていない記憶のままでは、

「類推」が働きにくい、すなわち

肝心な場面で「知」が十分活用されない

可能性が大きいのです。

 

そうは言っても、と

 

感じる方はおられるかもしれません。

 

「達成に貢献した要素」と言われても、

単にラッキーだっただけ、

とか

何だかよく分からないけれど、

お客さんが急にウチから買いたい、と

言ってきた

 

の様に、

実際によく分からないことの方が多い。

 

そういう経験は、使いものにならないのか。

 

また、こんな疑問もあるかもしれません。

 

現在のチームの関係はとても良いのだけど、

特にチームワークをよくしようと

目標を持ってやってきたわけではない。

 

日々の仕事を一緒になって頑張った結果、

いいチームになっただけであって、

これは日常の集積としか、言いようがない。

 

はい。

 

いずれも重要なポイントを突いています。

 

というのも、

それらのケースこそが、

「構造化」の作業が重要になってくるものだからです。

 

一つづつ考えていきましょう。

 

ラッキーな受注、

よく分からないけど、買いたいと言ってきた、

というケースは現実に起きているけれど、

 

モノゴトはすべて因果関係で繋がっていて、

「構造化」の作業は、

それらの点と点を線で結ぶ作業です。

 

そこには調査・分析・仮説づくりといった作業が

入ってきます。

 

だから受注した後に、

「ウチを選んで下さった決め手は何だったんですか?」

と尋ねたり、

 

上司とか同僚とか、協力企業の担当者とかと

「どこが良かったんだろうね」

と意見を出しあって、

 

達成への貢献要因、

そしてそれらの連結構造を、

自分なりに解釈しておくことが、

とても大事になってくるのです。

 

現実に本当のことを突き止めることは

難しいかもしれません。

しかし、

 

経験を自分なりに消化し、自分なりの仮説で

解釈していくことが、ここで大事な点なのです。

 

これはチームワークとか、人間関係の場合でも

同様に言えることです。

 

すなわち、いいチームとか、

強い信頼関係といった”達成“形を

“目標”の位置に置いてみた際に、

個々人のどんな行動や姿勢が、

 

また、

チームに起きたどんな契機が、

その状況の形成に寄与してきたか、

 

そこのところを探っていくことで、

以降の「類推」に貢献する

構造化されたストーリーに

再構築していくことが出来るからです。

 

その際に肝心なのが、

「振り返り」と「編集」ですが、

 

それらは次回以降に続けます。

 

 

 

 

 

私たちが何か課題を解決しようとか、

未知の領域でチャレンジして行こうとする際、

 

そこで発揮される思考の良し悪しは

頭の中にストックされている既知のストーリーの

「質」と「量」に、強く影響されている、

という話を前回書きました。

 

さらに思考の基盤には「類推」があり、

その「類推」に寄与できる形でストーリーが

頭の中に入っていることが重要である、

という話も致しました。

 

では、どのような形で既知のストーリーが

ストックされていることが望ましいのか。

 

ストーリーには色々な要素が入っています。

 

フィリピンでは、

訓練所のいくつかが治安の悪い場所にあって、

そこに行くときは

いつもビクビクしたものだった…

 

社会福祉省の担当局長は痛風持ちで、

タクシーを借り切って東京を案内したが

実際は殆ど視察にならなかった…

 

確かにストーリーの一部ではありますが、

ガーナで案件を推進する際には、

これらは一切役に立たなかった情報です。

 

内容が入ることで、お話としては面白く

なるのかもしれませんが、

「類推」の視点から言えば

全く不要な内容と言うべきでしょう。

 

つまりこれらの情報は、

話の骨子から削ぎ落しても構わないわけです。

 

では何を骨子として残しておく必要があるのか。

 

ポイントは

“目標達成の最終形“と

”達成に貢献する諸要素“からなる

ストーリーの全体構造が示されていることです。

 

すなわち、どのような形で目標を達成し、

その達成に貢献した要素がどのようなもので、

それら諸要素がどのような結びつきで最終形に辿り着いたのか。

 

これらがストーリーの中に示されていることが、

求められているものなのです。

 

ストーリーがこの“構造”を持っていることで、

ストックされたストーリーは

新たな事態に出会った際の”参照先“として

有効なものになり、

 

未知の事態の最終決着形をイメージしたり、

そこに到達するためにポイントとなる対象や行動を

現実文脈の中に探っていくことが可能になります。

 

勿論全く同じ状況というものはあり得ない訳で、

私たちはあくまで“似た”ケースとして、

必要部分を参照しながらも「類推」を通じて、

思考の質を高めることが可能なのです。

 

フィリピンで社会福祉省が実施していた

人材育成のプログラムを

ガーナでは欧州のNGOと協力して進めようか…

の様なアイデアは、

類推から展開させていく一例です。

 

こうした構造を持っているストーリーが

頭の中にストックされていることの強みは、

 

何と言っても

未知の領域のゴールイメージを描いたり、

ポイントとなる諸要素を想定出来る様になることと

言っていいでしょう。

 

私たちが“経験者の強み”として意識している「知」の

かなりの部分は、

 

ここで述べた“達成形”と

“達成に貢献する要素群“、

そして

“それら諸要素間の関係”を包括したストーリーが

ストックされたものであると私は考えています。

 

商社に勤務していた私が、

一番商社マンっぽく動きまわっていた

‘90年代半ば頃、

 

フィリピンで取り組んだ婦人職業訓練の

プロジェクトが方々で高く評価され、

利益も結構出せたこともあって、

珍しく

鼻高々の気分になったことがありました。

 

当時、そして今もですが、

同国のシングルマザーの就労環境は厳しく、

そんな社会問題の解決に一役買うプロジェクトに

自分が貢献できたことは、少なからず

“やりがい”も感じることが出来た案件でした。

 

その翌年、

アフリカ・ガーナへの駐在を命じられた私は、

そこでも同様にシングルマザーが

社会問題になっている事実を知って、

 

早速推進に動きました。

 

ですが残念ながら

“二匹目のドジョウ”とは行きませんでした。

 

フィリピンでは、社会福祉省の女性開発局という部署が

20年以上も女性の能力開発に取り組んでいて、

システマチックにカリキュラムを開発したり、

指導者を養成する仕組みが出来ていました。

 

訓練を受けた卒業生たちの就職を支援したり、

独立して“路上裁縫業”の様な事業を始める人に向けた

融資なども小規模ながら行っていました。

 

そんな“ソフト”面での体制が、訓練プロジェクトの

成功には、重要な要因となっていました。

 

ガーナでは労働省職業訓練局が

対応する事業を行っていると聞いたので、

省の担当副大臣にアイデアを話したところ、

大いに乗り気になってくれました。

 

これはいけるかな、

と一度は盛り上がったのですが、

結局実現は叶いませんでした。

 

ガーナにはフィリピンの様に

指導者を養成する制度も無ければ、

卒業生を支援できる仕組みもありませんでした。

 

現実のオペレーションを考えると、

こりゃあー厳しいなあ、となって

結局頓挫してしまったのでした。

 

さて、私の商社時代のエピソードを長々と

書いてきましたが、

ここでお伝えしたかったのは、

 

私たちが何か行動を起こそうとしたり、

直面した課題の解決策を探ったりする際に、

それまでに経験したり、見聞したりしてきた

既知の類似したストーリーを参照し、

これをフル活用している、という話です。

 

上のケースでは、自分自身のフィリピンでの

“成功体験”をモデルとして、

その「成功に寄与したファクター」を整理して、

新たな事態に向けた“行動リスト”を作って

実際に行動を起こしていたのでした。

 

ガーナという新しい土地に入って私がやっていたのは、

「社会福祉省女性開発局」に相当する部門を探し、

その組織を動かすキーパースンと繋がりを作り、

 

プロジェクトを成功させるキーファクター

たとえば、

指導者を養成する仕組みを調べたり

卒業生を社会へと送り出す仕組みを確認したりして、

 

いわゆる案件のフィージビリティーを

チェックする、ということをやっていたのでした。

 

実はガーナでは、

労働省が人材の育成を欧州(確かオランダだった?)の

NGOにかなり委ねていて、そこと連携することも

考えたのですが、結局そこまではやりきれない、

と判断して、

最終的にファイルを閉じることにしました。

 

さて、

おそらく色々と仕事をしてきた方々にとって、

上の様な経験はゴマンとあって、

特段新しい話ではないと思います。

 

どの様な世界でも自分の“成功体験”や、

“手痛い失敗体験“が

何かをしようとするときの参照先となって、

行動や判断の基盤になっていることは

日常的に起きていることだからです。

 

だからこうした

“参照できるストーリーの数”と

“そのそれぞれのストーリーの質”が、

“行動や判断の質”に影響することは、

極めて当然であるはずなのですが、

 

不思議なことに、人材開発領域で

このことは意外なほどに注目されていません。

 

何らかの課題に直面した際に、

現実のどの点を焦点化し、どこに注意を向けて

何から手を着ければいいのか、とか、

 

未経験の領域で何かを始める際に、

どこを起点に発想を始め、

どう全体像を描いていくか、などは、

既存知識からの類推がなければまず不可能なのに、

 

その“既存知識”に注意が向けられることは

殆どされてきていないのです。

 

これまでその“既存知識”部分は

“経験知”とか“暗黙知”という形で、

いわゆる“科学で取り扱うことが出来ない”、

“システマチックなアップグレードは困難な”

そんな領域として見られてきたと感じます。

 

しかし昨今の認知科学の発達によって、

この“既存知識”の質と量のアップグレードによって

個々の思考力や想像力が大いに開発可能であることが

徐々に分ってきています。

 

ここでのキーワードは「類推」です。

つまり、思考というものの中核に「類推」があり、

その類推に寄与できる形で過去の経験や

歴史のストーリーが頭の中にストックされていることが

重要であることが分かってきているのです。

 

ではその“類推に寄与できる形”とは

どんなモノなのか。

 

次回以降に続けます。