「残したい花について」のブログに、8/15のコットンクラブ2ndステージのアンコールに、さらなるサプライズが待っていた、みたいな勿体ぶったことを書いてしまった。アンコールで歌われたのは、さだまさしさんの曲、「奇跡 〜大きな愛のように〜」(1991年)である。
この曲は、『Dear Friends Ⅵ さだまさしトリビュート』の最初に、しかもイントロなしで歌われている。アルバムのノッケから宏美さんの「♪ どんなにー」というテンションの高い歌声で始まるのだ。
アルバム最初の曲がイントロなし、というのはそれまで何があっただろうか、考えてみた。「この道」(ALBUM)、「南の島の忘れもの」(Love Letter)、「真昼の SILVER MOON」(WAGAMAMA)、そしてシングルでは「未完の肖像」が思いつく。が、いずれも歌い出しは中低音であり、どちらかというと静かに始まっていた。ところが、この「奇跡」はいきなり前サビの歌い上げでインパクト大である。
いつもながら、歌詞と曲が一体化した素晴らしいまさしさんの作品。この曲の私が一番好きな部分を、見事に表現したコンサートレポートがあったので引用させていただきたい。2013年の『あなたへ〜いつまでも いつでも』ツアー時のものである。「昭和40年男 Vol.20 俺たちの時代」に宏美さんの特集があったが、その「昭和40年男」のWebサイト>編集部員のぼやき>岩崎宏美 コンサート レポート より。
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2部に入ると、コンサートは壮大さを増していきます。まるで天使が翼を開いていくように、ゆっくりとたおやかに。アルバム『さだまさしトリビュート』から届けられた『案山子』では会場のあちこちですすり泣きの声。地方出身の筆者にもたまらない1曲です。涙涙。そして“あなたの笑顔を守る為に多分僕は生まれてきた”と、シンガー・岩崎宏美の生き様を歌うかのような『奇跡』でバーン!と翼が広がり、クライマックスへ。照明の演出効果もあると思いますが、ほんとうに翼が開いたっ!と感じる瞬間があるんです。
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この「♪ あなたの笑顔を守る為に多分僕は生れて来た」のところのクライマックスをより感動的にするために、その前の「♪ ああ大きな夢になりたい あなたを包んであげたい」のコード進行を、前2回の「♪ ああ大きな愛になりたい あなたを守ってあげたい」とちょっと変えているところがニクい。これは上杉洋史さんのアレンジの妙だ。
前2回は、E♭ - B♭/D - Cm - E♭/B♭ - A♭ - B♭/A♭ - Gm7 - Cm7 -
3回目は、E♭ - Dm7-5 G7 Cm - B♭m7 E♭7 Am7-5 - A♭M7 - Gm7 - Cm7 -
となっている。特に「♪ あなたを」の「を」のベースにナチュラルのAを持ってきて緊張感を高めているところ(まさしさんのオリジナルにはない)がグッジョブである。
この大きな愛の歌について、宏美さんご本人は、東日本大震災や愛犬ベリーが召された折り、どれだけ元気をもらったことか、と述べている。今回、コロナ禍による半年の自粛期間後初のコットンクラブでのライブ。何を歌おうか厳選された上でのアンコールがこの曲だった。宏美さんの絶唱、リフレインの歌詞がわれわれの心に直に響く。
♪ どんなにせつなくても 必ず明日は来る
ながいながい坂道のぼるのは あなた独りじゃない
7分30秒くらいから
(2012.5.23 アルバム『Dear Friends Ⅵ さだまさしトリビュート』収録)