富士楽器テレビCM「四季」編のテーマソングである。作詞が横山武さん、作曲は富士楽器の社長さんの塩見卓史さん。塩見さんは、「桜色 - 桜咲く日々に -」「心の声」も作られている。社長さんは、よほど宏美さんのファンでいらっしゃるのだろう。このご自身の3作の他に「手紙」もCMに使われている。
なぜか、今日取り上げる「想い出の扉」だけが未CD化である(ですよね?)が、幸い富士楽器のホームページで全曲聴くことができるので、ご存じない方はまずはお聴きいただきたい。
木立の道の四季の移り変わりの美しい映像と共に、宏美さんの優しい歌声が流れるCMも視聴できる。
歌詞の世界は、少しユーミンの「卒業写真」に似ている。ーー夕暮れの街で、彼の変わらない横顔を見かけたが、声をかけず見送る。想い出の扉を開けるより、胸の中でやさしく温めたいーーという内容である。違うのは、「卒業写真」は「あなたは変わらないのに自分は変わってゆく」という切ない気持ちが前面に出ているが、この曲は最後の「♪ 星空に抱かれ/私は、今/新しい風と/光の中/歩くの」という歌詞から分かる通り、主人公はあくまで明るく前向きなところだ。
曲調も宏美さんの歌唱も、その内容に合わせて、明るく爽やかである。1コーラス目はピアノと控えめなストリングスだけで、リズムレスである。間奏から徐々に盛り上がり、2コーラス目は8ビートが刻まれる。最後のハーフでクライマックスに達する。サビはずっとファルセットで軽やかに歌われているが、ラストの「♪ 歩くの」のひとことのみ、宏美さんは地声で歌い切っている。それは、主人公の前向きな決意を表しているのではないだろうか。後奏に「パッヘルベルのカノン」が引用されて曲を閉じる。
この曲がいつ発表されたのか、ホームページでも判然としない。「心の声」(2006年)と「手紙」(2004年)の間に配置されていることから推して、2005年前後の作品だろうか。ご存知の方がいらしたら是非情報をお寄せいただけるとありがたいです。
(2005.7.1 富士楽器 テレビCM「四季」編 テーマソング)
【追記 2020.7.19】anax-hiromii さんから情報いただきました。未CD化ではなく、非売品CDが存在するとのことです❣️発表日も修正させていただきました。どうもありがとうございます😊