先週は、人の脳には「7枚前後のお皿=短期記憶の限界」があることを紹介しました。
今回は、そのお皿がどのように使われ、どんな情報が長期的に残っていくのか、
さらに「忘れっぽさ」と「睡眠」との関係について考えていきます。。
7つまでしか覚えられないのはなぜ?
心理学では「マジカルナンバー7±2」と呼ばれ、一度に覚えておける情報は平均で7個前後とされています。
数字やかな文字は7つ前後までなら覚えられますが、それを超えると忘れやすくなります。
一方で「ひとつの物語」としてまとめて覚えれば、それも1つの“お皿”に収まります。
数字なら「3792485」で7桁が限界、短い物語なら「昔話1つ」で1チャンク、
買い物リストも7品目くらいまでなら暗記可能。情報は「どうまとめるか(チャンク化)」によって、
お皿に置ける量が変わるのです。
記憶に残るかどうかの基準
① 脳は「残すべきもの」を選び取るフィルターを持っています。
② 感情が伴うか → 感動や驚きがあれば強く残る
③ 繰り返されているか → 九九や歌詞のように自然に定着
④ 必要性があるか → 今日必要な予定は優先される
⑤ 目的や計画と関連しているか → 興味や目標に合うと残りやすい
忘れっぽさの正体
最近「物忘れが増えた」「記憶力が落ちた」と感じる方も多いでしょう。
もちろん加齢の影響もありますが、実は情報過多そのものが原因の場合も少なくありません。
スマホやSNS、ニュース、動画から毎日大量の情報が流れ込み、脳は「お皿7枚」ではとても処理しきれません。
その結果、不要な情報をどんどん捨てるようになり、「思い出せない=脳の正常な防御反応」でもあるのです。
睡眠と記憶の関係
脳は眠っている間に、日中のお皿に乗った情報を整理し、必要なものを長期記憶へ移し替えます。
① ノンレム睡眠(深い眠り):情報を定着させる時間
② レム睡眠(夢を見る眠り):記憶を整理・再構築する時間
しかし、寝る直前までスマホや動画を見続けると、脳は情報でいっぱいのまま布団に入るため、
整理が追いつかず、記憶が定着しない・眠りが浅い・翌日ぼんやりするといった悪循環に陥ります。
脳には7枚のお皿しかなく、その上に置けるのは限られた数の情報です。
感情・繰り返し・必要性・目的というフィルターを通ったものだけが、本棚(長期記憶)にしまわれます。
そして、その作業をしっかり行うためには良質な睡眠が欠かせません。
「忘れっぽい」と感じるのは、必ずしも脳の衰えではなく、情報過多や睡眠不足のサインかもしれません。
脳に余白を与え、夜にはスマホを閉じ、安心して眠ることこそが、現代社会に必要なストレスケアの習慣なのです。
ふれあい広場のご案内
今月のふれあい広場では「不眠」をテーマに取り上げます。
情報過多と眠りの関係や脳温、そして心身を休める工夫について学べる時間です。
眠りに悩む方も、より良い睡眠習慣を身につけたい方にも有意義な時間となります。
眠れない「あるある」リスト
心と頭のあるある
1. 布団に入った途端に 昼間の出来事や失敗を思い出してクヨクヨする。
2. 明日の予定を考え出して 頭が止まらなくなる。
3. 「早く寝なきゃ」と思えば思うほど 余計に目が冴える。
4. どうでもいいことや嫌な体験が 頭の中でエンドレス再生。
体のあるある
5. 足がムズムズして 寝返りばかり打つ。
6. 暑いのか寒いのか分からず 布団をかけたり外したり。
7. ちょっと喉が渇いて水を飲みに行き、 目が完全に覚める。
8. 寝返りの音やパートナーのいびきに イライラする。
翌日のあるある
9. 「やっと眠れた」と思ったら 目覚ましが鳴る直前。
10. 寝不足の朝に「今日は昼寝しよう」と思うが、結局できない。
昼間は眠いのに夜になると また目が冴える。