日本書紀は、720年に完成した、日本最古の国家的な歴史書です。
そこでは、日本の始まりが神武天皇の即位として描かれています。
神武天皇が即位した日は、
「辛酉年正月朔日」と記されており、
これを現在の暦(太陽暦)に換算した日が、
紀元前660年2月11日とされています。
この日付が、建国記念日の根拠となりました。
明治時代に描かれた神武天皇
建国記念日を迎えると、
「日本はどのように始まったのか」という問いに立ち返ることになります。
そのとき、必ず登場するのが神武天皇の東征です。
東征とは、日本書紀に描かれている、
初代天皇とされる神武天皇が、
国を治める拠点を求めて西から東へ進んだとされる物語です。
神武天皇は、日向(現在の宮崎県付近)を出発し、
瀬戸内海沿岸を進みながら、
最終的に大和(奈良)の地に至ります。
そして、国を治める存在として即位します。
これが、日本書紀における「国の始まり」です。
ただし、この東征は、
現代の歴史学において、史実として確認された出来事とはされていません。
日本書紀の神武東征は、
事実の記録というよりも、象徴的な物語として語られています。
西から東へ進むという構図は、
単なる移動の話ではなく、
周縁から中心へ、
混沌から秩序へ、
争いの地から治まりの地へ、
という意味を重ねて描かれています。
日本書紀が伝えたかったのは、
勝敗や征服そのものではなく、
秩序が整い、治まりが成立していく過程でした。
そのため、神武の東征では、
正統性、継承、調和といった価値が、繰り返し語られています。
この背景を踏まえると、
建国記念日が「建国の日」ではなく、
「建国記念の日」とされている意味も見えてきます。
それは、
これまで積み重ねられてきた時間と、
その中で生きてきた人の営みに、
目を向けるための日なのだと思います。
参考:『日本書紀』『古事記』(岩波文庫)





