「五月病」〜心と体のバランスを見直す時間〜

新しい環境や生活の変化に少し疲れが出やすいこの季節。
知らず知らずのうちに感じる“だるさ”や“やる気の低下”は、
もしかすると「五月病」のサインかもしれません。

 

今回のふれあい広場では、
● 五月病とは何か?
● 自分に気づき、整えるヒント
● 日常に活かせるリラクセーションやストレッチ
など、やさしく学び、ふっと軽くなるようなひとときをお届けします。

「なんだか最近、気分が晴れない…」
「自分のペースを取り戻したい」
そんな思いを感じている方にぴったりの内容です。

お気軽にご参加ください。
はじめての方も大歓迎です!

 

五月病は切り替えのチャンス!

「チューニングイン」という言葉を使って人間の

「気分」や「視点」の切り替えをチャンネルにたとえるなら、

それは私たちの内的な意識状態の数だけ存在するとも言えます。

実際に「何チャンネルあるか」と考えると、

明確に数えることは難しいですが、

いくつかの分類視点から大まかに想定することは可能です。

以下に参考となるモデルを紹介します。

 

自分を整える心のチューニング

安らぎ、回復チャンネル

自己受容チャンネル

共感・つながりチャンネル

創造・発想チャンネル

意義・未来チャンネル

集中・行動チャンネル

 

 

自分を崩すチューニング

自己否定チャンネル

比較・嫉妬チャンネル

不安・過去反芻チャンネル

怒り・攻撃チャンネル

無感覚・シャットアウトチャンネル

過緊張・過活動チャンネル

実際に日常で「いま、どのチャンネルにいるか」

「どのチャンネルに切り替えたいか」を意識する際の参考にもなります。

 

新年度が始まり、慣れない環境に少しずつ疲れを感じ始める5月。
「なんとなく気分が落ちる」「やる気が出ない」

そんな“五月病”の背景に、実はSNSの影響があるかもしれません。

 

■ SNSが引き起こす脳と心のバランス崩壊

SNSは、私たちの“関心”に応じて、

予測できない報酬(variable reward)「いいね」や通知、

スワイプによる更新を絶えず与えてきます。
これはカジノと同じように、脳内のドーパミンを

刺激し中毒性を高める設計です。

ドーパミンが増えると「左脳(言語・論理)」が活性化しますが、

過剰になると「右脳(感性・創造性)」が抑制され、

心のバランスが崩れてしまいます。
その結果、集中力や思考力、満足感が低下し、

感情の揺らぎに耐えづらくなるのです。

 

■ 「関心がある情報」があなたを縛っている

人間の脳は「未解決の情報を放っておけない」

性質があります(ツァイガルニク効果)。
・健康が気になる人は、延々と健康法を検索し、
・社会が気になる人は、ニュースを追い続け、
・仕事に敏感な人は、他人の成功例に心を奪われます。

こうして、関心のある情報こそが、最も深く自分を縛る罠になっているのです。

 

■ SNSと五月病の深い関係

新生活による無意識のストレスに、SNSが拍車をかけています。

  •     他人との比較による自己否定

 SNSは“幸せのハイライト”だけが並びます。

 うまくいかない自分とのギャップが、孤独感や無力感を生みます。

  •     情報過多による脳疲労

 大量の断片的な情報は、記憶力・集中力を低下させ、疲労や抑うつにつながります。

  •     つながり疲れと即レスのプレッシャー

 SNS上の人間関係に過敏になり、「見られている自分」ばかりを意識してしまいます。

  •     夜間のSNSで睡眠の質が悪化

 寝る前のスマホ使用は脳を興奮させ、眠りの質を下げ、心身の回復を妨げます。

 

■ 回復のカギは「自分に戻る」こと

情報に向けていた意識を、自分の呼吸・体・感覚へと戻してみましょう。
それは、「整える」という行為の核心です。

・SNSから意図的に離れる
・「比べない」姿勢を意識する
・顔を合わせて話す機会を大切にする
・ホメオストレッチなどで、自律神経を整える
・不調が続く場合は専門機関に相談する


◆ 最後に

大切なのは、「心地よい無関心」を自分に許すことです。
「知らなくていいことは、知らなくていい」
「今すぐ変わらなくてもいい」
そんな知的な節制こそが、情報過多の時代を生き抜く力になります。

整えるとは、「関心から離れて、自分に戻ること」。
その第一歩として、今日一日はスマホを置いて、脱力してみませんか?

 

「フグ」は福(ふく)に通じるため、「福を招く魚」として

縁起が良いとされます。節分に「福は内」と唱えることと

「フグ(福)」を食べることが結びつき、

「福を呼び込む」象徴になります。

毒を持つ魚でありながら、

きちんと処理すれば食べられるという

「危険と幸運の紙一重」も、

災いを退け福を得る節分の意味合いに重なります。

からかさ小僧は、一つ目で舌が長く、

一本足の唐傘(古い傘)に命が宿った姿。

古道具や日用品に魂が宿る「付喪神(つくもがみ)」の一種です。

長い間使われていた傘が人間に捨てられ、

怨念や執念によって妖怪になったとされます。

「物を大切にせよ」という教訓が秘められていますね。

ろくろ首は、普段は普通の女性、

夜になると首が異様に長く伸びる妖怪です。

また、ろくろ首の正体に気づかれないよう、

日中は人間として普通に生活していることもあり、

隠れた本性や、日常の裏に潜む異質なものを表してるようです。

この器に描かれたろくろ首の様子は、

自分の身を伸ばしてでも世話を焼く、

献身的な姿を皮肉交じりに表しているのかもしれません。

いづれもユニークで食卓を温かくしてくれるものですね。

今年の有田陶器市では、

ひときわ目を引く小皿に出会いました。
それは、鯛の姿がユニークに描かれた手塩皿。

愛嬌のあるその表情に思わず笑みがこぼれ、

手に取った瞬間に「これは連れて帰らねば」と感じた2枚です。

鯛といえば「めでたい」の語呂合わせでも知られる、

お祝い事に欠かせない魚。
しかもこの皿には、なんとエビまで添えられているのです。
鯛とエビ。祝いと鯛。どちらも長寿や福を連想させる縁起物の代表格。
まるでお皿そのものが「喜び」を表しているかのようでした。

手塩皿としてはもちろん、ちょっとした漬物や薬味を盛るのにもぴったり。
手のひらにおさまる小さな器に、「脱力」が凝縮されていると感じます。

陶器市の楽しみは、こうした「偶然の出会い」にあります。
量産品では味わえない、作り手の遊び心が

食卓に彩りと笑顔を添えてくれます。

 

 

「めでたい」とは、たんに祝祭の言葉ではないと思います。
それは、日々の暮らしを見つめ直し、小さな幸福を見逃さぬ姿勢そのもの。

使うたび、眺めるたびに「めでたさ」とは何かを問いかけてきます。
 

 

芍薬は「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とも称えられ、

日本女性の美しさの象徴とされてきました。

その姿はまさに、凛として優雅。

開花の瞬間を見逃すまいと、毎年この季節を心待ちにしています。

品種によっては淡い桃色から、濃い紅色、さらには純白の花まで、

咲き始めから終わりまで少しずつ表情を変えていくのも芍薬の魅力。
花の命は短くても、その一瞬の輝きが、なぜか心を和ませてくれます。

この花に出会うたび、日々の慌ただしさの中でも

「今、この瞬間を大切にしたい」と、教えられているような気がします。

 

 

ゴールデンウィークの光に包まれて、

アマリリスが美しく咲きました。
太くしっかりとした茎の先に、大きく華やかな花を咲かせる姿は、

見る人の心に元気と希望を届けてくれます。

アマリリスは、冬のあいだ静かに力を蓄え、

春の訪れとともに、そのエネルギーを一気に開花へと向けます。
この過程は、私たちの心の成長ともどこか重なるものがあるように思います。
時に休み、内側にエネルギーをたくわえ、

そして「今だ」というときに自分らしく咲く。
アマリリスの生命力は、そんな自然な流れを教えてくれているようです。

ストレスケアの視点からも、"がんばり続ける" だけでなく、

"静かに自分を整える" 時間を持つことはとても大切です。
アマリリスのように、自分に優しいリズムで歩みを進めていきたいですね。

この季節、ふと足を止め、花々の姿に心を向けることも、ささやかなリラクセーションのひとつ。

 

 

 

 

 

―科学的根拠とこれからの取り組み―

認知症は今後ますます増加が見込まれる深刻な社会的課題です。日本では、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されており、予防への取り組みは急務となっています。こうした中、注目を集めているのがストレスケアのアプローチです。

 

ストレスと認知症の関係性

慢性的なストレスは、脳の海馬(記憶を司る領域)の萎縮を引き起こすことが数々の研究で示されています。特にストレス時に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモン)の過剰な影響が、神経細胞の可塑性を低下させ、認知機能の劣化につながるとされています。

● 米国の研究(Lupien et al., 1998)では、コルチゾール濃度が高い高齢者ほど海馬の体積が小さく、記憶力も低いことが報告されています。
● 日本の大規模疫学調査(JAGES研究、2022)では、ストレス対処能力が高い人は認知症発症リスクが約20%低下するという結果も出ています。

 

ストレスケアの具体的効果

ストレスケアは単なる「気分転換」ではなく、脳と自律神経の健全性を保つ科学的な予防法です。中でも以下の要素が認知症予防に有効とされています。

 

1. 自律神経の安定化

副交感神経を優位に保つことは、脳血流を安定させ、脳機能を守る上で重要です。ホメオストレッチは、交感神経過緊張状態を緩和し、記憶や判断に関わる前頭前野や海馬の機能低下を防ぎます。

 

2. 習慣化による前頭葉刺激

定期的なストレスケアにより、生活の予測性と安定性が高まり、前頭葉の活性が保たれることが分かっています。これにより、感情コントロールや実行機能の維持が可能になります。

 

3. 心理的安心感による炎症反応の抑制

慢性ストレスは脳内に微細炎症を引き起こし、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの沈着と関連するという報告があります。ストレスケアにより心理的安心感が得られることで、脳内の炎症反応を抑える可能性があります。

 

バランスセラピー学におけるブレインバランスメソッド

ストレスケアに特化したブレインバランスメソッドでは、筋緊張緩和や脳幹活性を通じた自律神経の調整が重視されています。認知症の予防的介入として、次のような成果が期待されています:

  • 熟睡感の向上(深い眠りは認知機能回復に不可欠)
  • 孤立感の軽減(人とのふれあいによる情緒安定)
  • 感情表現の促進(ストレス蓄積の予防)

ストレスは静かに進行する「見えない脅威」です。認知症予防には、早期からのストレスケア習慣の構築がカギとなります。

 

「ストレスを整えることは、脳の未来を守ること」
これからの予防戦略には、ストレスケアの視点が欠かせません。

 

現代の職場では、多くの人がストレスを抱えながら働いています。
厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、「仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている」労働者の割合は、5年連続で60%を超えています。

コロナ禍以降、リモートワークや感染不安、職場環境の変化が加わり、ストレスを感じる人の割合は過去最高水準で推移しています。

ストレスの主な要因(複数回答)

  • 「仕事の量・質」:55.7%
  • 「対人関係(上司・同僚など)」:37.0%
  • 「仕事の失敗、責任の発生」:30.2%
  • 「将来のキャリア・雇用不安」:27.8%

これらは単なる一時的な悩みではなく、長期的・慢性的に人の心身を蝕む要因です。メンタル不調による休職者や離職者も増加傾向にあり、企業や社会全体にとっても大きな損失となっています。

 

なぜ今、ストレスケアが必須なのか

このような背景の中、自分自身の心身のバランスを整える「セルフケア」の重要性はかつてないほど高まっています。
しかし、職場では「頑張って当然」「我慢が美徳」といった価値観が根強く、ストレスに対する適切なケアが行われないまま蓄積されるケースが多いのが現状です。

 

ホメオストレッチのように、自律神経や身体の緊張に直接アプローチする方法は、科学的にも理にかなったストレスケア法として注目されています。
定期的なケアにより、

  • 心身の緊張をゆるめる
  • 睡眠の質や回復力を高める
  • 感情の安定や集中力の維持
  • 自己認識の向上と行動の柔軟性

といった効果が期待されます。

 

ストレスケアは、未来を変える“予防と回復の文化”です。

 

日本では高齢化が進行し、要介護者数が年々増加しています。

  • 要介護(要支援)認定者数の推移(全国)
    • 2019年:約666万人
    • 2023年:約708万人(※2000年の約2.8倍)
      → 年間約10万人ペースで増加
  • 在宅介護の負担増加
    家族による在宅介護が中心で、介護離職者も増加傾向。
    • 2022年時点で約10万6千人が介護を理由に離職
    • 「ワーキングケアラー」(働きながら介護):約365万人

【ストレスケアの必要性】

介護者は、身体的・精神的・社会的ストレスに直面します。

  • 身体的:睡眠不足・腰痛・慢性疲労
  • 精神的:怒り・悲しみ・不安・罪悪感・孤独
  • 社会的:キャリア断絶・人間関係の希薄化・経済的不安

これらは「介護うつ」「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に繋がるリスクがあります。


【ストレスケアの具体的な効果】

ストレスケアは、単なる気分転換ではなく、科学的に実証された心身の自己回復力を高める方法として重要です。以下のように役立ちます。

自律神経の安定

  • ホメオストレッチで副交感神経が優位になり、過緊張・不眠を改善。
  • 介護中に怒りや焦りを感じたときに、「自分を落ち着かせるスイッチ」として機能。

感情のコントロール

  • ストレスケアにより、自己受容が高まり、罪悪感や自己否定感からの回復が早まる。
  • 感情が安定すると、介護者と要介護者との関係も良好になる。

客観的な視点の回復

  • ストレスケアで状況の整理や気づきが得られる。
  • 「ひとりで抱え込む」から「他者と共有する」方向へ意識をシフトできる。

持続可能な介護の基盤づくり

  • 定期的なセルフケアにより、長期介護の中での自分のペースを保てる。
  • 「介護をやめたくなる前に」ケアすることで、継続的な支援が可能。

高齢社会の中で、介護の担い手自身が健康でなければ、良好な介護は持続できません。
だからこそ、「介護者自身のケア=ストレスケア」は、介護制度の“見えない柱”です。