自己実現に関連する先駆的研究者は、

ゴルトシュタインとロジャーズ、ユング、

フランクル、マズローなどがあげられます。

 

ゴルトシュタインの教え子であるロジャーズは、

人が自己の内に潜在している可能性を

最大限に開発し実現して生きることとし、

「健全な人間は、人生に究極の目標を定め、

その実現のために努力する存在である」としたことで、

自己実現という言葉を使っています。

 

マズローの欲求段階説は、教育や経営の分野で利用されています。

「欲求段階説」において、自己実現の欲求を5階層の最上位に位置づけました。

・人間は自己実現に向かって絶えず成長する。

・自己の可能性を最大に引き出す。

これがマズローの「自己実現理論」です。

 

ユングは人が自らの「自己」を見出していくプロセスを「自己実現」と表現しました。

「うまく働いていない機能」を洗練したり強化したりしていく過程であり、

この生をいかに自分らしく生きるかというプロセスになります。

 

フランクルは、自己を中心とした欲求から描かれる成功の

・組織で高いポストにつきたい、

・起業して大成功したい、

・人から尊敬される成功者になりたい

を追い求めるのではなく、

自己超越を心がけ目の前にあるすべき事に没頭するような生き方を説いいます。

自分を忘れ、心のベクトルが自己を越えた存在に向けられることを、

フランクルは「自己超越」と呼んでいます。

そして、成功とは、自己超越の結果に過ぎないと述べています。

生きる意味を実現する自己超越の先に、私たちが求める成功があるとしたのです。

 

「成功を目指していけない。成功はそれを目指し目標にすればするほど、

遠ざかっていく。幸福と同じく、成功は追求できるものではない」。

 

成功は、自分個人より重要な何ものかへの個人の献身の果てに生じた

予期しない副産物のよう結果として生じるものだからであると説いています。

 

フランクルのいう「自己超越」という概念は、

ストレスケアに通底する哲学でもあります。