真説ミリアムの魔術書・武術家たちの誇り (THE REAL FIGHTERS)  -24ページ目

帝国は長いお話です

それなので、別ブログにするか考える今日この頃。


ストーリーの中で4年くらい経過します。

サナはいつまで修羅界にいるの? ってことになってしまいます。


リースロット帝国はファンタジー色がかなり強くなります。今まで書いてきたものの中では珍しい、と自分で思ってしまう。


さて・・・?


魔法の光


「ハ・ティム、明るくできるか?」


入り口から差し込む日光はここまでは届かない。そうなると剣より魔法の出番となる。


リューゲンが声をかけたときにはすでに詠唱は済んでいたので、ハ・ティムが念を送った先、その手にある杖の先端から光の玉が生まれていた。


光が三人の顔を照らす。


「さすがスペルユーザー。一人は欲しいよな」


「時間はかけられないよ。二人とも早くね」


ハ・ティムはトーンの高い声で言った。その声はやや中性的で、彼はそのことをコンプレックスに思っているが仲間ふたり、リューゲンとターシルからは”気にするな”と一蹴された。


彼らに仲間入りした頃、約一年前だったか。


「傭兵とかやってると細かいことに頓着していられなくなる」とは言うが・・・子供の頃からの悩みを軽く見られても、とは思う。



少しは気楽になったか、なんて思わないで欲しい。

幾度となく女のフリをさせられた。逃げるためとはいえ・・・・。



「さっすがスペルユーザー! なんでもあり!」


「リューゲンはいつか殺すよ。僕がもっと強い魔法を覚えたらね・・・・」


「自分のことを僕、っていってるうちは無理だ」


「だよなあ? ターシルもそう思うだろ?」


無口なターシルが茶々を入れるのは珍しかったが、リューゲンとターシルの息の合った部分をさりげなく見た気はした。


大陸を回っていた頃。まあ、命懸けの脱出中に大した余裕だったと思う。


三人がこんなところに潜った理由はひとつ。

マリアのために氷を大量にとるためだ。


ハ・ティムだけではスペルユーザーが足らない。こと治療魔法より攻撃系の術を得意とするハ・ティムは治療魔法の習得が遅れがちである。


僧侶はどうしても必要だ。マリアという高僧に出会えたのは幸運だったが、そう簡単に傭兵あがりの男たちについて行くほど軽い女ではない。


杖の先の光。こうしている間にも、術者の精神力は奪われていく。


(スペルユーザーも楽じゃないんだよ、と言ってもまた笑われるんだろうね)



リューゲンたちのパーティー


愛とかどうなんだろうな。そういう話はしたことがない。



俺も話さない。



そんなこと言ってたらたまらないんだ。



もう普通の人間ではないから。



これって悲しいのか。



知らないな。戦うだけだよ。



・・・・・・・・・・・・・・


コルシオンで食べたもの、て砕いて粉々になった氷にシロップをかけて、また一工夫したような甘いものよ。


作れるかしらね?




・・・・・・・・・・・・・・・


たまんないんだよ。もう人間じゃないんだ。


あんたも、あんたも俺ももう戻れない。



瓦礫の王よ。廃墟の国で何を見た?





・・・・・・何を見た?


あんたは皇帝じゃない、王でもない、人殺し、人殺しだ。


そして俺も。

誰も楽に死ねないのさ。永遠に、そうさ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「・・・・・・あれは・・・・・ずっとずっと昔。あんたの心にも魔女の心にもまだリューゲンたちはいなかったはずだ。そんな昔」



見えたのは洞窟。


リューゲン、ターシル、ハ・ティムのパーティーが暗がりの中、奥へと進んで行くところだった。











ウィルソンの思い出・3


そうだジュノーと私のことだったな

昔を思うと可哀想な仲間のことばかり浮かんでしまうのだ


フェルナンドがそうだったものでね

 

気がちょっとばかし・・・ただただ可哀想な 私でもそう思うことがある


修羅のように見られた私でさえあの男には同情した


わかっているよ

 

ジュノーと私だ


普通の恋愛をしていたと思っている いい加減ではないさ 普通ほどよいものはない



裏切ったのは私だ だが・・・・ジュノーは自分の美しさにこだわりすぎた


私の気持ちを変わらぬものにしようという理由で人魚から不老の力を得たが、もうおわかりか? 

彼女はただ老いることを恐れただけなんだ


女だから あれだけ美しければ・・・・・でも、それはやってはならないことだ


そこにこじつけた理屈 それは人間として許されない


いづれ散るから美しさには価値がある


花は命尽きるまで懸命に咲き誇る それが生きること 存在の証明


そのぶん命は短い


それでいいんだ その中で命を燃やせ だから誰もが花の名を覚える 目に鮮やかなその色 香りを記憶に焼き付ける


ジュノーは己の美こそ永遠なれと願った


それを知った瞬間、私の気持ちは冷めてしまった


男ならわかるだろうか


美女を恋人にした喜びは同時にいづれ衰える姿まで愛することでもあるのさ


何があっても・・・・その姿に過剰なまでの自信を持ち、不変とするなら


花は瞬時に魅力を失う 私は彼女を愛せなくなった


それに気づいたジュノーは 己の自尊心を守るために私を殺した


・・・・・・まだ話すか?



ウィルソンの思い出・2


心の地獄を彷徨ってる若いのがいてな。あいつはいい奴だから心が壊れた。


あいつは私よりかわいそうだ。いいや、私は本来可哀想でもなんでもない。そこは取り消すよ。

同じなのは利用されたということだ。


実力をね。人殺しなんてまともな人間のすることではないんだ、本当さ。


何千、何万という命を奪って生きている私たちがまともじゃないのだ。


あいつは狂った。


人間である証拠だよ。



*このまま(続)