ウィルソンの思い出・3
そうだジュノーと私のことだったな
昔を思うと可哀想な仲間のことばかり浮かんでしまうのだ
フェルナンドがそうだったものでね
気がちょっとばかし・・・ただただ可哀想な 私でもそう思うことがある
修羅のように見られた私でさえあの男には同情した
わかっているよ
ジュノーと私だ
普通の恋愛をしていたと思っている いい加減ではないさ 普通ほどよいものはない
裏切ったのは私だ だが・・・・ジュノーは自分の美しさにこだわりすぎた
私の気持ちを変わらぬものにしようという理由で人魚から不老の力を得たが、もうおわかりか?
彼女はただ老いることを恐れただけなんだ
女だから あれだけ美しければ・・・・・でも、それはやってはならないことだ
そこにこじつけた理屈 それは人間として許されない
いづれ散るから美しさには価値がある
花は命尽きるまで懸命に咲き誇る それが生きること 存在の証明
そのぶん命は短い
それでいいんだ その中で命を燃やせ だから誰もが花の名を覚える 目に鮮やかなその色 香りを記憶に焼き付ける
ジュノーは己の美こそ永遠なれと願った
それを知った瞬間、私の気持ちは冷めてしまった
男ならわかるだろうか
美女を恋人にした喜びは同時にいづれ衰える姿まで愛することでもあるのさ
何があっても・・・・その姿に過剰なまでの自信を持ち、不変とするなら
花は瞬時に魅力を失う 私は彼女を愛せなくなった
それに気づいたジュノーは 己の自尊心を守るために私を殺した
・・・・・・まだ話すか?