東芝、原発から洋上風力発電・水素社会へ | 夢老い人の呟き

夢老い人の呟き

願い望むは願望  夢は寝てみるもの 儚く叶わぬもの
  人に夢と書き儚  夢に人と書き夢人 
    夢と人の中に老いが入り夢老い人  儚く老いる独り言

原発で巨額の損失を出した東芝。

 

 

 

9.11事件以降、原発には大型旅客機の体当たりに耐え、例えシビアアクシデントが起きようとも緊急避難を要しない安全性・冗長性が求められ、設計要件の変更、建設費の高騰となりました。日立の英国 “「ウィルファ原発」” 撤退にも表れているように新規原発の建設費は兆円単位となりました。

 

 

原発の建設コスト高騰は電力単価を押し上げ、もはや再エネに太刀打ちできず、世界のエネルギー別発電量を見ると太陽光発電にも風力発電にも抜かれています。

 

出典:新たなステージを迎えた世界の自然エネルギー

 

 

 

そして東芝は再エネ事業に本腰をいれることとなりました。

 

詳細はニュース記事をお読みいただきたいと思いますが、風力発電と水素に力を入れてゆくとのこと。

 

 

水素についてはすでに“東芝エネルギーシステムズ”が事業を行っており、今年3月、福島県浪江町に“世界最大級の再エネによる水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」”を開所しております。

ここでは20MWの太陽光発電の電力を用いて、世界最大級となる10MWの水素製造装置で水の電気分解を行い、毎時1,200Nm3(定格運転時)の水素を製造し、貯蔵・供給します。

余計なことですが、原発被災地に住民を戻すためには“200万円の移住一時金”などではなく、このような将来性のある事業を展開し、除染をしっかりすることでしょう。

 東芝の車谷暢昭社長は、オンラインで毎日新聞のインタビューに応じ、洋上風力発電への参入に強い意欲を示した。政府が公募中の案件で、「(発電に使う)風車で(事業の)権利を取りたい」と語った。東芝は再生可能エネルギー関連の売上高を、2030年度に19年度比3・4倍の6500億円にする目標を掲げている。国が将来の主要燃料と位置づける水素関連のビジネスにも力を入れる方針だ。

 ――再エネ事業強化の一環で11月に洋上風力への参入を表明しました。

 ◆秋田、千葉両県の海域で事業者選定の公募が始まった。風車の部品について開発の権利を取りたい。既に商社や電力会社など主な事業者が名乗りを上げており、我々も投資を進めたい。

 ――風車は海外メーカーがリードしています。

 ◆国産の競争力のある製品を作っていきたい。公募期間に間に合うように21年度上期の早い段階で事業を開始したい。ノウハウがある外国企業との部分的な協業も検討している。

 ――再エネ関連の売上高目標は具体的にどう達成しますか。

 ◆再エネの電気を安定的に供給するための送配電システムが売り上げの相当部分を占めることになるのではないか。燃料電池など水素発電の関連事業も含めて想定より大きなビジネスになる可能性がある。

 ――水素ビジネスで東芝の強みは。

 ◆燃料電池で既にトップレベルの技術を持っている。だが、現時点で数百億のビジネスを1000億円に成長させるのは簡単ではない。多少コストがかかっても開発を支援してくれるような政策転換が必要で、政府と議論をしていかなくてはならない。米国や欧州などで水素関連企業の上場が相次いでいる。売上高100億円程度の企業でも、時価総額が1兆円に上るケースもある。市場は過熱気味だが、それだけ将来性があるということだ。水素がクリーンエネルギーの本命と言えないこともない。

出典:https://www.toshiba-energy.com/hydrogen/topics/fh2r_ceremony.htm

 

 

ここで目指すのは“Power-to-Gasシステム”で、再エネ電力により水素を製造しそれを貯蔵・輸送し、水素発電、水素電池車、産業用途に使用するものです。

出典:福島から未来を照らす! 水素エネルギーの最前線

以下引用

「FH2RはPower-to-Gasシステムと呼ばれるもので、このPower-to-Gas分野では、ドイツをはじめとする欧州が先行しており、日本はやや遅れを取ってきたのが現状です。CO₂排出量の削減について、電力セクターだけでは目標値を達成することが出来ないため、交通や産業といった様々なセクターでも同時に対策を行う必要があります。最適な方法が模索されている中、電気分解を利用して、再生可能エネルギー由来の電力を水素というエネルギーに転換できる『Power-to-Gas』が切り札と見込まれています。我が国もこのPower-to-Gasシステムの基盤技術を磨かなければ、CO₂排出量の削減と再生可能エネルギー利用の拡大はできません。また、水素エネルギーシステムで欧州などと伍して戦っていくこともできないでしょう。世界に先駆けたFH2Rへの期待をひしひしと感じています」

引用終了

 
なおPower-to-GasシステムについてはついでにCO2も利用してメタンを生成して、天然ガスに利用するというアイディアもあります。

出典:https://www.hitachi-hri.com/keyword/k102.html

 

 

 

洋上風力発電については、まだ日本ではあまり普及していませんが、一昨年完成した英国の Walney Extension では659メガワットの発電能力となっています。

 

ここで使用されているタービンは三菱重工とデンマークのヴェスタス社との合弁会社のMHIヴェスタス社製ですが、三菱重工と東芝が国内で切磋琢磨することとなれば、日本の風力発電も一気に加速するかもしれません。

 

 

また遠浅の海岸の少ない日本、“浮体式風力発電”が増える可能性もあるかと思いますが、送電は海底ケーブルのみならず、水素や“ナトリウムの形でのエネルギー輸送”も可能です。

メガフロートで洋上ナトリウム製造工場というアイディアもありますが、資源の少ない日本、いろいろなアイディアが生まれる事が大切だと思います。

出典:海水から作る新燃料