『真夜中のマーチ』  奥田英朗 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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真夜中のマーチ (集英社文庫)/奥田 英朗
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***この作品は2010年4月に読了しました***
自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
(Bookデータベースより)


自称青年実業家のヨコケン、そして勤め先は一流商社なのにダメ社員なミタゾウ。二人は、ひょんなことからタッグを組み裏の世界の金を強奪しようと企むが、そこへ謎の美女クロチェが現れ邪魔されてしまう!
そのクロチェが別の企みを持っていて、それは、なんと10億円を強奪しようというもの。
ヨコケンとミタゾウは、自らクロチェの企みに乗って3人で10億円強奪に挑む!が・・・・。




さらりと読めちゃう割には、青春やら恋愛やら犯罪やら詐欺やら会社と言う組織の悲哀やらがちゃんとあり、それらが、うまく絡み合って明るく楽しくテンポの良い作品に出来上がっています。
作中に出てくる登場人物達は、インチキ青年実業家に、落ちこぼれ社員に、我儘女に、ヤクザに、中国マフィアに、詐欺師・・・と言った人たちだけなのに、ですよ。
ここらへんはやっぱりうまいですねー。



一流商社のダメ社員、ミタゾウは何だか、著者の「イン・ザ・プール」 から始まる伊良部シリーズの伊良部を彷彿とさせるキャラでした。
その他の登場人物全員が何だか憎めない感じなんですよね。中国マフィアやヤクザまでもが。
そして題名も「真夜中のマーチ」、マーチってつけちゃうところがまた洒落てます。


主人公の三人は、三人ともどこか孤独を抱えているのに、それを重過ぎないタッチで描かれています。
章が分かれていて、それぞれの視点から展開していくのですが、バラバラだった三人がいつの間にか、妙な一体感と言うか連帯感みたいなものを持っていることを自覚していきます。
孤独だった心がどこか軽やかに安らいでいく。
それぞれ別の理由でそうなっていくのですが、読んでいて優しい気持ちになれたりしました。



こういうジャンルはクライム・コメディと言うのでしょうか。
伊坂幸太郎氏の「陽気なギャングが地球を回す」 もそうでしたが、こういう作品は堅苦しいことを考えず、軽い気持ちで楽しく読み進めるのが一番ですかね。
特にこういう作品にご都合主義的な突っ込みは野暮と言うものでしょう。
最後のオチのまとめ方や、ラストのほっこり感はやっぱ巧いですなぁ。



それにしてもキリバス共和国、行きたくなるなー(´∀`)



★★★★



その他の奥田英朗作品
『真夜中のマーチ』  ◇『イン・ザ・プール』  ◇『マドンナ』  ◇『空中ブランコ』  ◇『ガール』




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