- ガール (講談社文庫)/奥田 英朗
- ¥580
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***この本は2009年11月に読了しました***
わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな。滝川由紀子、32歳。仕事も順調、おしゃれも楽しい。でも、ふとした時に、ブルーになっちゃう(表題作)。ほか、働く女子の気持ちをありえないほど描き込み、話題騒然となった短編集。あなたと彼女のことが、よくわかります。
(Bookデータベースより)
「もうガールじゃない、か。由紀子はため息をついた。
わかっている。三十二といえば、若さが売り物にできる歳ではない。男はともかく、女はそうだ。」
5編の短編集からなるこの作品は、おもな主人公として30代半ば前後の働く女性にピントを当てている。
以前読んだ「マドンナ」 は40代前後の男性中心で、こちらは30代前半から半ばまでの女性が中心。
給料が旦那より高く、体育会系の男のメンツなんてクソ食らえのバリバリキャリアウーマン
マンションを買った親友に触発されて、独身のまま都心にマンションを検討するOL
自分よりさらに6歳も年上の先輩OLを反面教師にしつつも励みにしちゃうOL
離婚後、女手一つで子供を育てながら、久しぶりに希望通りの営業部へ復帰したワーキングマザー
ひと回りも年下のイケメン新入社員に恋心を抱いてしまった先輩指導員OL
仕事内容も、女性としての立場も違うさまざまなタイプの女性達が主人公。
彼女達に多く見られる共通点は、自分を偽らず、男に媚びず、むしろ男に負けてたまるかと奮起する強い女性として描かれているところ。
もちろん主役以外の女性達の中には男に媚び、猫なで声を出したりする子がいたり。
年齢だって新入社員のような若い子もいれば、38歳になってもなお20代の子達と対等にはしゃいじゃうお局様のような人も出てきたり。
まさに其処彼処に居そうな感じの女性達がいっぱい登場。
よくよく見れば自分の周りにもいるなー、こんなガールたち。
そんな親近感にも似た感じで、ときに共感し、ときに感嘆し、ときに教訓としながら楽しく読めました。
「人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても。
女は生きにくいと思った。どんな道を選んでも、ちがう道があったのではと思えてくる。」
テンポは著者のほかの短編集と同じ。上げて、落として、また上げる。ただその度合いがまた絶妙。
マイナス発言ばかり引用しちゃってますが、何だかんだ最後はどの物語もほんわか心温まります。
男尊女卑が根強い会社と言う組織で働いていくこと、恋愛、結婚、出産、育児・・・、いろいろな問題に焦りと不安を滲ませ、さらには年齢と言う強敵とも闘いながら、それでも前を向いて逞しく生きていく。
女性のことがよくわかる良本!と言い切りたいところだけれど・・・
ときに意外な一面を見せたり、些細なことで一喜一憂したりする彼女達をみていると、結局は、あぁ、やっぱり女心は難しいな、なんて思ったり(笑)
それでも、女性からの評価も高いし、まるで女性が描いたみたいとまで言われてる作品だし、ほんと勉強になります(笑)
そんなこんなで今後も時折読み返してみたいと思う作品です。
「ヒロくん」 「マンション」 「ガール」 「ワーキング・マザー」 「ひと回り」の5編を収録。
♪ oh girls just want to have fun ♪
♪ girls-they want to have fun ♪
★★★★
その他の奥田英朗作品
◇『真夜中のマーチ』 ◇『イン・ザ・プール』 ◇『マドンナ』 ◇『空中ブランコ』 ◇『ガール』
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