『赤×ピンク』  桜庭一樹 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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赤×ピンク (角川文庫)/桜庭 一樹
¥540
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***この本は2009年10月に読了しました***
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を―彷徨のはて、都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、そのサバイバルと成長と、恋を描いた、最も挑発的でロマンティックな青春小説。
(Bookデータベースより)


゛まゆ十四歳"の死体

わたしは生命力が弱い
生きることそのものに偏差値をつけたら42ぐらいなんじゃないかと思うんだ



いきなりこんな記述から始まる第1章。どんな話が始まるのか予想つきませんでした。
六本木にある廃校で夜な夜な繰り広げられる少女達による非合法キャットファイト「ガールズブラッド」。
主人公はその「ガールズブラッド」に出ている3人の女の子。まゆ、ミーコ、皐月。
脆く、か弱く、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子達。
もしかしたら設定からして受け付けない人もいるかもしれません。
自分はとりあえず何でも受け入れる姿勢で読み始めるので問題なかったです。



少女達はそれぞれさまざまな悩みを持ち、それを表現する出来ないでいる。
と、言うよりは敢えてはっきりと表現をしていなかったりする。
直接的な表現が少ないの部分もあるのに、なぜかするりと心に沁み込んで来る。



そして全編に漂う閉塞感。そんな中、「檻」が彼女達が持つ閉塞感を非常にうまく表しているようだった。
心の檻の中で繰り広げられている戦いと、現実の檻の中でキャットファイトをする彼女達の対比。
少女たちは「今」を生きるために闘う。身体の痛みよりも、心の痛みと向き合い闘う。
答えを探すため、己を知るため、自分が自分であり続けるために。



少女から大人になっていく過程の、彷徨える姿がとても繊細に描かれているようで素敵だった。
いつも不安定なのに、でも一生懸命にみんなそれぞれ自分の居場所を探す。
長いようで短い、でもとても濃密な青春の一ページと言う名の瞬間を切り取った作品。



3人の少女たち、きっとそれぞれの関係が「赤×ピンク」なのだろうか。
それぞれが時に「赤」になり、時に「ピンク」の色合いを魅せる。三者三様。
赤からピンクへ。そしてピンクから赤へ。



「檻」の戦いの中に求めたのは、救いか、愛か、希望か、それとも自分自身なのか。


「檻」から出て行くこととは、

彼女達が見つけた帰る場所とは・・・。





個人的には良かったです。が、万人受けはしなそうかな。
読むときはコーラを飲みながら、もしくはコーラを冷蔵庫に用意して読んでみるのも良いかも知れません。
変な設定ですし、登場人物も変で、ヘンタイで。でもなぜか読後は妙な元気をもらえた作品でした。
唯一?まともな武史がいいアクセントでした。



ほんじゃ、おやすミルコ

またあしタムラ



★★★★



その他の桜庭一樹作品
『少女七竈と七人の可愛そうな大人』  ◇『赤×ピンク』



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