- イン・ザ・プール (文春文庫)/奥田 英朗
- ¥530
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***この本は2006年2月頃読了しました***
「いらっしゃーい」。
伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。
色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。
プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。(Bookデータベースより)
自分も変だが、こいつはもっと変だ。
「いらっしゃーい」甲高い声で迎えるは、色白でデブ、ボサボサの髪にサンダル履き、患者への注射フェチ「医学博士・伊良部一郎」。
アシスタントの看護婦は、茶髪・美形・巨乳、胸元や太ももを露にする露出狂、クールで愛想ゼロのマユミちゃん。
おれも伊良部先生のとこに通院しようかな・・・(・∀・)
もちろんマユミ看護婦もいてもらって♪
注射なんぞどーぞ、いくらでも( ´艸`)
ってな感じ、読み終わると本当にそんな気にさせられます(・ω・)
神経科の医者なのに、その医者本人が無神経ってところがすでに面白いですな♪
伊良部シリーズ第一弾です。短編集で、サクサク読めます。
伊良部の元に訪れる患者は、皆ちょっと変ですが、現代人らしい悩み・思い込みを持つ人ばかりです。
思い込みを自分でどんどんエスカレートさせていくのを、そこまでないだろっとあまり思わずに読み進めれるのは、伊良部との楽しいやり取りが成せるワザかと。
そんな変な人たちが最初は戸惑い、怒りや不満を持っていたのが、いつの間にか徐々に伊良部によって、治療(?)されていく。
まったくこいつは名医なのか、迷医なのか。。。
でも訪れる患者はどこかで、安心したい気持ちを求めていたりしていて、伊良部の自由気ままで無邪気な子供のような振る舞いに羨ましがり心癒され、安堵しそして病気が治っていく。
病状や症状は皆別ですが、それぞれの患者のどこかしらに共感できる部分が多いんです。
そして、読んでいる私も伊良部とのやり取りで患者と同じように癒され、読みながら笑みがこぼれてしました。
現代人は多かれ少なかれ何かに悩み、思い込み、不安や恐れと戦い続けている。
それは決して現代だけではないんだろうけれども、高度に発達した機械・技術や溢れるばかりの情報が常に身の回りを囲んでいる現代だからこその、「心の病」と言うべきものが多くなってきているんだろう。
おれも悩み、苦しみ、辛くなったときは、きっと本書を読み返したくなることだろう。
悩みを、何の心配もなく打ちあけられ、否定されず全てを受け入れてくれる駆け込み寺があるって、とても幸せなことなんだ。
どの章も、最後の3,4行に全てが凝縮されています。
きっと心に暖かい風が吹き抜けると思います。
★★★★★
ドラマも映画も観てません(ノω・、)
その他の奥田英朗作品
◇『真夜中のマーチ』 ◇『イン・ザ・プール』 ◇『マドンナ』 ◇『空中ブランコ』 ◇『ガール』
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