2019年6月の読書まとめ
平山夢明ほか「瞬殺怪談 業」

最短一行、最長でも2ページで終わる怪談のマシンガン150話超え。
タイトルは「業」、シリーズ早くも5冊目である。
当初は再録大半だったものが、ここ最近はオール書き下ろしとなり、作家には厳しく読者には嬉しいシリーズとなった。
百物語より多い話数を一気読みするもよし、少しずつスキマ時間に読み進めるもよし。
印象的だった話を下記に。
おいでよ/おどろおどろしい声だったら、たぶん想定内で怖くないのだ。楽しそうで、いかにもフレンドリーだからこそ恐ろしいのだ。
宿/過不足なくかゆいところに手が届くというのか、脳みそを心地よく搔いてくれるかのような、綺麗にまとまった話が素晴らしい。
覚えている風景/思い出さないことは、たぶん幸福なのだろう。
スナカケババ/呪いを投げているのだろうか…?
古井戸/神々しくも禍々しく、もったいない(?)
橋の上から/子供たちの口調がヒヤリと怖い。
溢れ髪/人体から抜け落ちた髪の毛は、どうしてこんなにおぞましいのか…。
上半分/ビジュアルがショッキング!
訳あり人間/心霊と狂気の境目でねじれていく心…。
ヤシの木/それが当然であることが恐ろしい。
頭突き/そうと気づく瞬間に、ゾッ。
注意事項/書かれていないところこそが怖いという、新しさ。
初盆/たまに聞く話ではあるが、恐ろしさと悲しさが半端ない。
ゆきの手痕/怪異との距離感が、グッと縮まる瞬間がサブイボ!
ブラックライト/時間経過が恐ろしい。
乗り遅れ/おかしみと悲しみ。
不肖わたくしも執筆しておりますので、詳しくはこちらを↓
我妻俊樹「忌印恐怖譚 みみざんげ」
不条理怪談ジャンルの第一人者による、最新怪談。
印象的だったものを下記に。
血まみれ入道/これは、時とともに力を失っていく的な?怪異がどこか哀れ。
若い男/時空が歪んでいる(…?)の、だろうか…。
人違い/もしも我が身に起きたらと思うと背筋がひんやり…。
待合室/突如、日常が変容する恐怖たるや。
モーニング/モノクロームの映画のように、印象的な一瞬。
ベンシン/それは忠告、それとも呪いなのだろうか…。
マリン/もはや魔物の類なのかも。
屋上の話/いかようにも想像できることが、かえって恐ろしい。
制服たち/悪夢の如きファンタジー世界…!
川奈まり子「一〇八怪談 夜叉」
丹念な取材力に定評ある著者の新シリーズ。
百八の煩悩の数だけ集められた怪談は、最長2ページの見開きにギュッと人の恐ろしさが詰め込まれ、岩井志麻子の現代百物語にあった波乱万丈ぶりを想起させる味わい。
私的お気に入りを下記に。
第六話 最初から生霊だったとしたら……。/タイトルでネタバレなのがもったいない…その、区別のつかなさが恐ろしい。
第七話 首が後ろ前の鳩/心霊的なところも、not心霊な著者の実体験もサブイボ立ちそう。
第ニ一話 興味津々オバケ/ほほえましい、と思ってから気づいたときのギャップがきつい。害意は無さそうだけど、やはり気味が悪いよなぁ…。
第四四話 人形たちのいるところ/一生、忘れられなそうな不気味な光景。
第七九話 呼ぶ声/好かれるのも良し悪し!
第九四話 お粥の顔/目が美しいところで思わずゴールデンカムイのあのキャラクターを想像してしまった。

