イーデン・フィルポッツ No.6◇守銭奴の遺産◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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守銭奴の死によって遺産は数奇な運命を辿る!?

 
 
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◇守銭奴の遺産◇ -Jig-Saw-
イーデン・フィルポッツ 木村浩美 訳
 
 
難解なジグソーパズルのように入り組む謎! 殺された守銭奴の遺産を巡り、遺された人々の思惑が交錯する。『別冊宝石』に抄訳された「密室の守銭奴」が完訳となって新装刊。
 
 
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引退したリングローズは普段はガーデニングに勤しみ、妹メイベルと暮らしている。その妹が新聞で読み上げた悪名高い守銭奴ジャーヴィス・スワン殺害事件を、リングローズが特別目をかけているジョー・アンブラー警部補が担当することになった。しかし肝心のジョーは浮かない顔だ。
 
 
というのもその守銭奴殺しの現場は密室だったのだ。部屋は塹壕で壁には鋼板、鉄扉には6本のボルトが固定されていて入ることも出ることもできなかったはずなのだ。
さらに守銭奴の弟マーティンと地元の不良娘ベラが事件直後に失踪し、死体で見つかる。2人は事件にどう関わっていたのか?
 
 
ジョーとリングローズは守銭奴の甥と姪で遺産の相続人のレジナルドとジェラルディン、そして守銭奴の遺産を本来貰うーーーはずだったが、遺言状ができる前に死なれたために遺産を相続し損ねた秘書のビリー・ボルゾーヴァーと親しくなるが、果たして犯人は……
 
 
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「守銭奴の遺産」です(・∀・)
約1ヶ月ぶりのフィルポッツです。
今作も前回に引き続きジョン・リングローズが登場します。しかも妹のメイベルも登場します。リングローズには及びませんが、なかなか鋭い女性です。「女の勘」ってやつです←
 
 
前回、期待が大きすぎたばっかりにがっくりしたため、今回あまり期待し過ぎないように読んだのですがそれ故にショックが骨身に染みた。
何これ、怖い。こんなのが犯人だったら、誰も信じられない。
これはアレだ。これにも見られた狂信的で一見、聖人並みに良い人だがそれ故に目的が高潔ならろくでなしは殺しても良いと考える、狂ったタイプです。いやー、その二面性、怖すぎる。アレだな。殺人者というのはある意味どこまでも正気なんだな……人間の性格はリングローズが言う通り、ジキルとハイドであり、それによって素行と道徳の中身が違うものなんだな……
 
 
さて、フィルポッツ作品には「その事件を担当する警察官は悉く不幸か、後味悪い結末にぶち当たる」というジンクスがあります(わたしが考えただけですが←)。今回もそれです。って書くと犯人分かってしまったもしれませんが、それでも書かずにはいられない! いやー、ジョー可哀想だわ……だからあんまり仲…以下略← 多分タイプが似ているんだな。この物語の最初にピーター・ガンスの名前が出ますがこれ、伏線です。
と考えるとあの2人もこれこれに登場した2人の変形なんだろうなと思いました。いや、ある意味今回の方が怖いな。黙認しちゃうんだからね。
 
 
フィルポッツ作品は人間性の認識と描写が本当に重厚です。98歳まで生きて様々な人や経験・体験の出逢いが作品にも生きています。
 
 
さて、リングローズものはあとは単行本未収録作品の「チャリィの匕首」が残っています。こちらはいつ読むことになることやら……
 
 
「守銭奴の遺産」でした(・∀・)/
次はオカルト探偵サイモン・アークが三度世界をまたにかけます←(*^o^*)/~