ハリントン・ヘクスト No.1◇テンプラー家の惨劇◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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次々と殺されるテンプラー家の者の死を見つめる黒衣の男は死神なのか?

 
 
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◇テンプラー家の惨劇◇ -The Thing at Their Heels-
ハリントン・ヘクスト 高田朔 訳
 
 
イングランド南部の丘陵地に宏壮な屋敷を構える名門テンプラー家を突如襲った黒い影。渓谷の小道で、石楠花の咲き乱れる湖岸で、ロンドンの裏通りで、一族皆殺しを図るかのように次々に凶行を重ねていく謎の殺人者に、警察もまったく為す術がなかった。事件ごとに現場付近で目撃される黒衣の男の正体とは?そもそも犯人の目的は何なのか?数多の恐ろしい謎を秘め、運命の歯車は回り続ける。バーザン&テイラー『犯罪カタログ』や森英俊『世界ミステリ作家事典』が「類例のない傑作」と口を揃えて激賞するヘクスト=フィルポッツの異色ミステリ。
 
 
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イングランド南部にあるキングスクレセットは齢70歳のサー・オーガスティンが当主のテンプラー家の屋敷だ。跡取り息子のマシュー、妻ヘレン、息子のトム、娘のペトロネル、サー・オーガスティンの上の弟の子どもで軍人のモンタギュー、サー・オーガスティンの下の弟の子どもで神父のフェリックス。一族の人数は随分と減ったが、巨大の富があるテンプラー家は平和に暮らしていたーーーあの時までは。
 
 
フェリックスが侵入者と格闘したことが始まりだったのか? その直後、マシューが遺体で発見された。殺されたのだ。武器はドイツ製の拳銃でかつてドイツ人と決闘を行なったモンタギューと間違えられたのか? しかしその推理もトムとモンタギューが殺されたことによって打ち消される。
 
 
フェリックスが目撃した、遺言状を漁っていた謎の黒衣の男、サー・オーガスティンの命の恩人を誘い込み、事故死に見せかけて殺した謎のパーヴィスは同一人物だ! 何者かがテンプラー家の跡取りを根絶やしにしようとしている! だが、一体誰が……フェリックスの友人であり、警部であるミッドウィンターはこれ以上の惨劇を防ぐため、友人を守るため、力を尽くして捜査に当たるが……
 
 
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「テンプラー家の惨劇」です(・∀・)
 
 
ハリントン・ヘクストは一時、一気に読んだイーデン・フィルポッツの変名です。フィルポッツ・カテゴリに入っていますが、決して間違えたわけではありません←
 
 
ハリントン・ヘクスト名義作品他には「誰が駒鳥を殺したのか?」、「怪物」があります。前者は翻訳や出版事情でフィルポッツ名義になっていますが、後者は忠実にヘクスト名義になっています。
 
 
さて、本書。一家皆殺しがテーマです。ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」、バーナビー・ロスの「Yの悲劇」と同じくテンプラー家の一族が次々と殺されます。その中には子どもも含まれているのだからより残虐です。
 
 
最初に書きます。書かないとここから先、話が続かないので。……犯人お前かあああ!!!! いや! 確かに怪しいとは思った! 「こう見せかけて……こうかも!」と思ったし、「いや、きっとそれは偽装工作なのかも……」と思ったし! いや……狂っています。なんて異常な、狂信的な動機! あの作品並みの衝撃を食らいました……しかしつくづくこの立場の人が可哀想だ……
 
 
犯人が分かると話の雰囲気が殺人が絡んだ1人の人間の運命叙事詩に見えてくるんだから不思議です。解説でもありますが、推理小説の雰囲気じゃないんですよね。警察は出てきますが、裁きを下したのは警察じゃないし。これ以上書くとネタバレになりますので割愛。読めば分かります←
 
 
解説は「フィルポッツ問答」という名前の対談で、興味深い考察が満載です。結構面白かったです。「ああ〜、なるほどなぁ!」とバスの中でしきりに感嘆しました←
 
 
「テンプラー家の惨劇」でした(・∀・)/
実は次回もハリントン・ヘクストだったりします(*^o^*)/~