イーデン・フィルポッツ No.3◇ラベンダー・ドラゴン◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

邪悪なドラゴンはユートピアを実現した賢者だった!

 
 
{E09FCD5C-D35B-4E64-9B74-6788EA96FB5D}


◇ラベンダー・ドラゴン◇ -The Lavender Dragon-
イーデン・フィルポッツ 安田均 訳
 
 
無知と迷信が世界中を支配していた暗黒時代。騎士道の習いにより、諸国遍歴の旅に出たジャスパー卿と従者のジョージ・ピプキン。かれらは、巡礼の終わりにあって、やっと騎士としての勇気を試す冒険に出会った─悪名高き邪悪なラベンダー・ドラゴンから村人を救うのだ!
だが、意外にも出現したドラゴンは、噂とは逆に、知識も教養もある高潔な魂の持ち主であった。しかも、ドラゴンは人里離れた地にユートピアさながらの素晴しい村を治めていた……。ミステリ作家としても著名な英文豪フィルポッツがユーモラスに綴る異色のファンタジイ!
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆        
 
 
騎士のジャスパー卿と従者ピプキンは旅の終わりになってやっと騎士の本懐を遂げるに相応しい冒険に出くわした。非力で不幸な女子どもばかりを狙うラベンダー・ドラゴンを倒すのだ!
 
 
ところが、ラベンダー・ドラゴンは知識も教養もある、理知的な存在だった。ラベンダー・ドラゴンは明け方もう一度会って欲しいと言う。邪悪な存在というドラゴンの概念を覆すラベンダー・ドラゴンに興味を覚え、ジャスパー卿は約束を交わす。
 
 
明け方、出会い頭いきなり上空に攫われたジャスパー卿が降りたったそこはーーー素朴なユートピアだった! ラベンダー・ドラゴンは人里離れたそこに不幸な人たちを集めてユートピアを実現したのだ! 
 
 
ジャスパー卿とピプキンはそれぞれ恋に落ちる。ところが、ラベンダー・ドラゴンの命は尽きようとしていた……
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆        
 
 
「ラベンダー・ドラゴン」です(・∀・)
歴史小説、田園小説、推理小説と多分な文才を発揮すしていたフィルポッツ。なんとファンタジーも書きました。ファンタジー小説も10作ほど書き、本作がその1つです。……というかファンタジーを紹介するの、4年間でこれが初めてじゃない?←
 
 
「ファンタジーといえば魅力的な魔法生物だよね〜」と言わんばかりに本書ではドラゴンが登場。西洋では邪悪の化身と考えられるドラゴンは本作では理知的で人間と友好関係を結びたいと考える高潔な存在として登場します。邪悪と思ったら実は賢者だった。なんて「魔笛」のザラストロかい←
説教師くさいですが←、警句にはどきりとします。人間のこと良く分かっているわ。
 
 
中世の英国が舞台には騎士道が必ず出てきます。時代小説に義と武士道が出るのと同じ。ファンタジー小説なのでコナン・ドイルほど騎士道! 騎士道! とはなりませんが、騙し討ちを良しとしないところやラベンダー・ドラゴン信じるところに騎士道精神を感じました。
 
 
ラストは哀愁が漂っていますが、1番大事なのはそのユートピアがどう維持されるか、よりもそこにいた人たちが離れた場所でラベンダー・ドラゴンから教わったことをいかに体現するか。なのかもしれませんね。
 
 
「ラベンダー・ドラゴン」です(・∀・)/
次は……再び変化球です←