イーデン・フィルポッツ No.2◇赤毛のレドメイン家◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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代々赤毛を受け継ぐレドメイン家の男が犯した殺人……しかし死体は煙のように消え、殺人犯は幽霊のように現れて!?

 
 
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◇赤毛のレドメイン家◇ -The Red Redmaynes-
イーデン・フィルポッツ 宇野利泰 訳
 
 
1年以上の月日を費やして、イタリアのコモ湖畔における三重四重の奇怪なる殺人事件が、犯人の脳髄に描かれる精密なる「犯罪計画書」にもとづいて、一分一厘の狂いもなく着実冷静に執行されてゆく……!? 三段構えの逆転と、息もつかせぬ文章の味は、万華鏡の如く絢爛として緻密であり、サスペンスに富み、重厚無類のこくがある。ミステリ史上に燦然と輝く長編推理小説の傑作。
 
 
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ダートムアに休暇に来ていた警視庁探偵のマークは偶然見かけた女性に心を奪われる。その直後、殺人が起こり、犯人は逃走中という凶事を知らされたマークは休暇を返上し、その被害者の屋敷を尋ねる。彼を迎えたのは偶然見かけたあの女性だった!
 
 
女性ジェニーは殺された男、マイクル・ペンディーンの妻で、殺人犯のロバート・レドメインの姪でもあった。恋心も手伝ってマークは調査にあたるが、しかし犯人のロバートどころかペンディーンの遺体すら見つからない。捜査は頓挫してしまう。
 
 
数ヶ月後、行方知らずだったロバートがその兄ーーーレドメイン家の次男ペンディゴと接触した。姿を見せたのだ。一体今までロバートはどこに潜んでいたのか? ロバートはペンディゴとの2人っきりの会談を望んだ。すると今度はペンディゴが姿を眩まし、マークはまたもロバートを見つけ出せず、他の有力な手がかりを見つけることもできなかった。そのうち、ジェニーはペンディゴに雇われていた美しく、野心家なボート運転手ドリアと結婚してしまい……
 
 
ジェニーはイタリアに住む叔父ーーーレドメイン家の長男アルバートを頼り、イタリアに移っていた。なんとそこでもロバートの姿を目撃してしまい、ジェニーは災厄がまだ終わっていなかったことを悟った。アルバートは悩んだ末、ニューヨークに住む元探偵のガンスを頼る。一方でジェニーはマークを呼び寄せ、二人三脚で事は好転するかのように見えたが……
 
 
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「赤毛のレドメイン家」です(・∀・)
 
 
本書は古典本格推理小説の傑作として名高い上にあの江戸川乱歩がベスト10の中で1位に選んでいます。わたしは何より前回の真相に「ええ……( ̄Д ̄;;」とげんなりしていたため、次こそ殺人犯! と期待して読みました。
 
 
前作の時も読んでいて思いましたが、フィルポッツの文章って綺麗ですよね。推理小説というよりも純文学を読んでいる気分になります。特に前半。マークとジェニーの恋や、ドリアとの牽制とか。英国作家ってクリスティーなら恋愛小説、カーなら歴史小説、ドイルならSF小説等々、推理小説以外の別ジャンルを書いている作家が多いですが、それが彼らの推理小説を、謎解き以外の面でも面白くさせています。ヴァン・ダインがフィルポッツを評価する理由が分かった気がします。
 
 
本書はは江戸川乱歩の大絶賛文が掲載されています。万華鏡のようだと評し、印象が二転三転すると書いています。
確かにその通りだ。
最終盤にガツンとやられました。そういうことだぅたのか!? 確かに最初と最後では全く印象が変わります。最初に抱いた印象で読後感の気分が様変わりします。わたしはゾッとしたタイプです。
わたしも伊達に推理小説読んでいないし、遺体が見つからないと聞いて、「すり替えかなぁ〜? どっちかは生きていたりして」と思いましたが、その答えですら半分以下しか合っていなかったorz というか本当に大事な答えはそれではなかった。
うわー……あんたには完全に騙された……というかなんて気の毒なんだ……←この気の毒な人の名前言ったらほぼ犯人モロバレなので伏せます。第一印象、返せ←
 
 
今回の探偵役はピーター・ガンス。引退した探偵で、今回は死にません← 話して早々にマークが自分の感情に先走りすぎて誤った結論を導き出したことを見破ります。超人タイプではなく、長年の人生経験を積んで聡くなったタイプのようです。これからの時代で登場する探偵のスタイルですね。
 
 
「赤毛のレドメイン家」でした(・∀・)/
次は久々の海外文学! 映画にも名を残した、あの女を取り巻くゴシック・ロマンです(*^o^*)/~