イーデン・フィルポッツ No.4◇誰がコマドリを殺したのか?◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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激しい愛の情熱は憎しみと変わり、1人の女の命を奪った! 一体「誰がコマドリを殺したのか?」

 
 
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◇誰がコマドリを殺したのか?◇ -Who Killed Cock Robin?-
イーデン・フィルポッツ 武藤崇恵 訳
 
 
医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。ノートンは、踏みだしかけていた成功への道から外れることを決意し、燃えあがる恋の炎に身を投じる。それが数奇な物語の始まりとは知るよしもなく。『赤毛のレドメイン家』と並び、著者の代表作と称されるも、長らく入手困難だった傑作が新訳でよみがえる!  
 
 
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医師のノートンは私立探偵の友人ニコルと散歩に出ていると、兼ねてから気になっている女性と出くわした。幸運なことにある出来事からその女性とお近づきになることができた。
 
 
彼女の名前はダイアナ。大執事の娘で「ミソサザイ」と呼ばれるマイラの妹で「コマドリ」と呼ばれる美女だ。ノートンは一目見てダイアナに心奪われた。結婚すれば遺産も医師として成功も約束してくれる聡明な女性ネリーがいたが……ノートンはダイアナにプロポーズする。ダイアナも特にダイアナに好意を寄せていたベンジャミン卿のプロポーズを断ってそれを受ける。
 
 
ところが、ノートンは肝心な話をダイアナにしなかった。遺産の相続はネリーと結婚しない限り相続できず、その望みは今やゼロになってしまったことだ。その事実をよりによってノートンの叔父から聞かされたダイアナは欺かれたことを知り、一気にノートンを憎悪するようになる。そこから夫婦の空気は変わっていった。
 
 
そのうちダイアナの具合が悪くなる。原因は皆目分からず、ノートンもマイラ、ベンジャミン卿夫妻も困り果てる。そのうちダイアナはノートンに毒を盛られていると妄想を抱くようになり手紙を遺し、ついに死んでしまった。が、ノートンはその時ダイアナの側にはいなかったし、そもそも殺害疑惑すら妄想しか思えない。ベンジャミン卿は託された手紙を1年以上しまっていたが、ついにそれがコートラント大執事に知られてしまった。そして埋葬された遺体には大量の砒素が……
 
 
ノートンが殺害!? ありえない! 結婚当日に夫が逮捕されてしまった妻ネリー、その兄ノエル、ノートンの友人ニコルはノートンの無実を証明すべく、反撃大作戦を開始した!
 
 
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「誰がコマドリを殺したのか?」です(・∀・)
作者はイーデン・フィルポッツとなっていますが、これは恐らく出版事情によるもので(バーナビー・ロスと一緒です。多分)、本書も前回と同じく"ハリントン・ヘクスト"名義で出版されました。原題も米国と英国で違く、本書の原題は米国のもので英国原題は「Who Killed Diana?」。論創社からはこの原題でハリントン・ヘクスト名義で出版されています。違う題名の、違う作家名ですが安心して下さい、同じものです。
 
 
本書は題名を一見すると「え、マザーグース殺人?」と思いがちですが、話題として上るだけでマザーグースは歌われません。代わりに「コマドリ」と呼ばれる美女が登場します。
 
 
最初に言います。これは愛と憎しみの物語です。愛と憎しみが物語を動かし、人間を動かし、死と破滅を呼び込んだのです。
愛から一転、憎悪に変わるダイアナが凄まじい。そしてそこから運命の女神が事件に向けて関係者を進ませたと断言します。愛と憎しみは前進の糧になりますが、憎しみの果ては自身の破滅だけです。
 
 
わたしはフィルポッツ作品で散々、度肝を抜かれっぱなしなので次こそ真相を当ててみせよう! と、
「あれ、でもこれ"コマドリを殺したのか?"なんだから死ぬのはダイアナだよね? ノートンを殺そうとして逆に殺されちゃったのか?」とか「いや、それともクリスティーのあの作品やあの作品みたいにノートンとネリーの共犯か!?」とか「ダイアナに未練たらったらなベンジャミン卿を見て、マイラが嫉妬に狂ったか!?」等々、推理してみましたが掠りすらしなかったorz  まさかそんなトリックとは! あの理由はここに活かされたのか……これ、あの作品の変奏じゃん!フィルポッツ作品は「○○(ヒント:漢字2文字。皆さんも1日1回は家や外で見ているかと思います)の登場人物は疑ってかかるべき」なの? そうなの? 
 
 
あとフィルポッツ作品は警察官が悉く不幸せに終わりますが、今回のニコルは探偵なのでなんとか事件を解決できて大団円でした← 途中、全員死亡フラグが見えたのでゾッとしましたが、良かった良かった。
 
 
「誰がコマドリを殺したのか?」でした(・∀・)/
実は次の次もハリントン・ヘクストです← ですが、その前にちょっと前々から気になっていた作品を買って見ました。表紙から謎かけです(*^o^*)/~