オカルト探偵、悪魔を求めて今日を世界を飛び回る!
◇サイモン・アークの事件簿 III◇ -The Third Casebook of Simon Ark-
エドワード・D・ホック 木村二郎 訳
悪魔と超自然現象にまみえるため、世界を渡り歩く謎の男サイモン・アーク。狂信的な信仰行為で知られる痛悔修道会の儀式の最中、多数の同輩がいる中で一人の信者が刺殺された事件、呪いのナイフや女妖術師が引き起こしたとおぼしき殺人、警戒厳重な古城からのナチス戦犯の消失……いずれ劣らぬ奇怪な事件に、オカルト探偵が犀利な推理力で挑む8編を収録した、瞠目の第三短編集。
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1.焼け死んだ魔女
(The Witch Is Dead)
……伝統的な女子大学ハドスンヴィルで生徒が次々と原因不明の病に倒れた。大学側は自らを魔女と謳うマザー・フォーチュンを疑うが、その彼女は魔女裁判のように焼け死んだ!?
2.罪人に突き刺さった剣
(Sword for a Sinner)
……サンタ・マータという小村には痛悔派というあまりにも残忍なキリスト教の分派が存在する。その儀式の最中、たくさんの信者がいた中で1人の信者が殺された!
3.過去から飛んできたナイフ
(The Weapon out of the Past)
……その家は250年前、ロンリー・ツリーの闘いが勃発した時、投げたナイフが消失するという珍事が発生した。そのナイフが250年の時を経て20世紀の人間を刺し殺した!?
4.海の美人妖術師
(The Soceress of the Sea)
……長い金髪で絞め殺した男。彼は最近海で出会った美女に魅了されていた。まさか人魚に殺された!?
5.ツェルファル城から消えた囚人
(Prisoner of Zerfall)
ベルリンのツェルファル城にはナチス戦犯ヴィッテルベルクが収監され、米国、英国、フランス、ソ連の4カ国が監視している。そのヴィッテルベルクが運動用の中庭から姿を消した!?
6.黄泉の国への早道
(The Way Up to Hades)
……ロックスター、レイジャーはコンサート中に悪魔を呼び出して見せると豪語した。それがサイモン・アークの耳に入った時、悪魔がレイジャーをエレベーターから消して見せる!?
7.ヴァレンタインの娘たち
(The Virgins of Valentine)
……2月14日にあやかってヴァレンタイン・イベントを開催している町ヴァレンタイン。そのイベントの最中、1人の男が12人の娘の誰かによって殺された!?
8.魂の取り立て人
(The Stalker of Souls)
……最近誰かに尾行されているのではないかと恐怖する男。助けを求められたわたしはサイモンに電話をかけようとするが、その前にその友人は死んでしまう。その友人は若い時に悪魔と契約を交わしたと言うが……!?
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「サイモン・アークの事件簿 III」です(・∀・)
悪魔を求めて世界中を飛び回る(自称)2000歳、元エジプトの僧侶サイモン・アークと編集者のわたしによる怪奇事件簿第3弾です。
年齢不詳のサイモンは清々しいほど何も変わっていませんが←、わたしは編集者になりたてだったり、それなりに偉くなったりしています← 奥さんシェリーと口論しながらもほいほいサイモンについてきて良き記述者になっています。プレゼントで機嫌を伺うあたり、ニックに似てきましたね(笑)
本書もアメリカ国内はもちろんのこと、ベルリン、ストックホルムまで飛んで行きます。そしてサイモンの顔の広いこと! 2ではサイモン自身からは明かされることのない過去がちらりと明らかになります。
今回も現在の魔女、時間を超越したナイフ、消えた囚人、本物の悪魔等々登場します。その色々な怪異が人為的なものだと明らかになりますが、サイモンだけは本当に超越した存在だと思えてくる……
サム先生の不可能犯罪事件簿の時も思いましたが、不可能犯罪やオカルトものになると明かされたトリックに「なんだ、たったそんなことかよ!?」と時々物凄くがっかりすることがありますが、今回2がまさにそれでした。「そんなことでオカルト生まれちゃったの!?」みたいな。題材は面白かったのに……まだ「そんな簡単なトリックだったのか!」と感嘆したかった……6がまさにこの感想でしたがこちらはそれを見落としていた! とハッとしました。
案外不可能犯罪や怪奇現象ってなんでことのないきっかけやそれを摩訶不思議あるいは奇跡と思いたい人の思惑で生まれるものなんですね←
「サイモン・アークの事件簿 Ⅲ」でした(・∀・)/
次はハインライン、短篇集、第2作です(*^o^*)/~