超人育成、多次元世界、テレパシー伝承、知能を持った猿ーーーSF多動世界!
◇失われた遺産◇ -Assignment in Eternity-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹・田中融二 訳
ジョーンは、これまでの医学では夢物語とされていた諸能力…コンピュータなみの記憶力、演算能力、読心能力、透視能力…を二人の大学教授とともに開発した。だが、その理論を公表しようとしたとき、三人は恐るべき運命の渦中へ(「失われた遺産」)。この表題作と、新人類の登場を描く「深淵」をあわせ、初期ハインラインの作品2作を収録。
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1.深淵
(Gulf)
……月から指定の場所に超極秘情報が入ったフィルムを送るという失敗が絶対に許されない任務についていたブリッグズ=ギリアド。ところが、その任務は失敗し、その超危険情報のために数多の諜報機関に追われることになってしまい……
2.時を超えて
(Elsewhen)
……フロスト教授は異次元世界を睡眠と暗示だけで自由に行き来できるようになった。それに参加した5人の学生はそれぞれ思わぬ運命を辿る!
3.失われた遺産
(Lost Legacy)
……ある男の透視能力は脳手術をしたのをきっかけに失われてしまった。これからどう研究しようと嘆くコバーンとハクスレイは心理学を研究ふるジョーンを介してその特殊能力を理論的に開発しようとするが!?
4.猿は歌わない
(Jerry Was a Man)
……動物に知能を与え、労働力にしたり、動物と動物を組み合わせて遺伝調節することで様々な動物が作られるフェニックス育種工場。ミセス・フォーゲルは労働に適さなくなった労働猿ジェリーを守ろうと訴訟を起こすが、その結末は如何に?
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「失われた遺産」です(・∀・)
ハインライン流SF多動世界が展開されています。
話の系統としてはハインラインは良くも悪くもアメリカSFです。1や3とか超人として選ばれたら、その他はどうでも良いのかよ……徹底排除と切り捨てが容赦ないです。グリーン夫妻……
2は異次元世界を扱った冒険もので軽快なテンポで読みやすいし、異次元世界の描写はファンタジーらしくワクワクしますが、まさかの誰も戻って来ない、というところが薄ら寒い。今までの人生は!? しかしここでも闘っていますが、そんなに闘うのが好きなんだろうか……闘いや開拓だって一歩間違えれば侵略だって分かっているのだろうか……話はガラリと変わりますが3章の「すべての人がそれぞれの天才を持っている」はいい言葉だと思います。
4はアシモフも扱った「人間とは? 人類とは?」を問うもの。人間を凌駕する(と自認する)火星人も登場して、両者の対比があります。アシモフの場合はロボットと人間でしたが、ハインラインは自然界のもの同士です。別の意味で難しい問題だと思います。
「失われた遺産」でした(・∀・)/
次はメグレと初の単行本です(*^o^*)/~←