イーデン・フィルポッツ No.5◇闇からの声◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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聞こえた悲鳴は殺された死者の声ーーー恐怖で子どもを殺した非道な者たちを裁け!

 
 
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◇闇からの声◇ -A Voice From the Dark-
イーデン・フィルポッツ 橋本福夫 訳
 
 
隠退した名刑事リングローズが旧領主邸ホテルで聞いた、姿なき者の闇からの声。それは、恐怖におののく子供の悲鳴であった。不審に思った彼が事情を調べてみたところ、同宿の老婦人から予想だにしない事実を知らされる──「その子供は亡くなったのですよ。このホテルで、一年以上も前に」と。名編『赤毛のレドメイン家』と並んで、推理小説史上に不滅の光芒を放つ、必読の傑作!
 
 
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数々の功績を挙げて隠退したロンドン警視庁の名刑事リングローズ。リングローズは昔、仕事で冤罪を晴らした友人の招待を受けてイギリス海峡にある旧領主邸ホテルにやってきた。
 
 
長逗留のベリアズ夫人とも付き添いスーザンとも気が合いそうだし、楽しい旅行になりそうだ。ーーーと思って眠ったら部屋の中で子どもの声が聞こえて目が覚めた。ビットンという人物によって恐怖にかられた子どもの悲鳴だ。
 
 
子ども好きのリングローズは怒りにかられて翌朝早速調べるが、部屋の中はもちろんのこと、旧領主邸ホテルにもそれらしい子どもがいないのだ。これは一体どうしたことだ? 不審に思ったリングローズは亀の功より年の功とベリアズ夫人に聞いてみると、
 
 
「その子どもは亡くなったのですよ。1年以上も前に」
 
 
驚くリングローズにベリアズ夫人とスーザンは話した。その子どもは現ブルーク卿の甥で、死んだ兄の子どもであるルドヴィク少年で、ビットンの手による恐ろしい人形の顔に恐怖して死んでしまったのだと。
 
 
少年を死に追いやっておきながら裁きを逃れてのうのうと生き延びるビットンに怒りを感じたリングローズは準備と推理を行う。従僕ビットンにルドヴィク少年に対する私怨があったとは考えにくい。まさかブルーク卿が……? リングローズは持ち前の推理力、観察力、人間力をフル活用し、変装してビットンとブルーク卿と接近するが……
 
 
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「闇からの声」です(・∀・)
1ヶ月ぶりのフィルポッツです。久しぶり〜……と思ったけどあんまり久しぶりじゃないな←
 
 
フィルポッツを読み始めて約3ヶ月。ついに1番知られている本作に行き着きました。夜、死んだはずの子どもの声が聞こえる……という英国によく合うオカルト風味なミステリーです。それに元名刑事のリングローズが犯人であると思われる人物に直に会って調査する……というのが本筋です。
このリングローズはフィルポッツが書いた推理小説の主人公中、唯一再登場する探偵です。再登場するわけですからいつかの作品みたいに死ぬことは無いわけです← 良かった良かった。……しかしリングローズは元とは言え刑事ですからもしかしたら裏切られるかも!? と思ったのですが……
 
 
……だめだ。期待し過ぎた!
本書を読むとき、「赤毛のレドメイン家」「誰がコマドリを殺したのか?」並みのどんでん返しと衝撃を期待したのですが……その期待が大き過ぎたのか、「なんだ、結局こうなるのか……」感が半端なかったです。容疑者は前半部分から特定できてしまったし、再登場することを知っているから「大丈夫、死なない死なない」と思ってしまったし……
 
 
というかビットンもロックベリィもペラペラ話しすぎだし、もしリングローズが悪人だったらどうするんだ……と思いながら読みました← リングローズが事件に関わった経緯が特殊過ぎて「リングローズは実はルドヴィク少年と死んだ父親を知っていて、その真相を探るために旧領主邸ホテルに行ったんじゃないか?」とか考えたのでつい……ちなみにリングローズみたいなタイプは犯罪者になったら無敵だと思います。人心を掌握できる、という点において。
 
 
読んでいてリングローズにルドヴィク少年らの話をしたベリアズ夫人が「なんか怪しい?」と思っていましたが、意外なラストでした。2人ともなかなかの策士です。一本取るってきっとこういうことですね!ラストが意外だったのでそれは良かった。
 
 
「闇からの声」でした(・∀・)/
次はサム先生の活躍、第5弾です(*^o^*)/~