英語を勉強しようと海外に渡航し、少し時間が経過して英語が徐々に聞き取れるようになってきても、「なぜか英会話がスムーズに行えない」大勢の人が感じていると思います。

 

英会話がスムーズに行えない理由はたくさんあるでしょうが、大きく分けるといくつかの段階に別れているのではないでしょうか。

 

  1. 「自分の意見を英語で言い表せない」のが初期段階。
  2. 「英語で意見は伝えられるが、単語や表現を言うだけで文章になっていないためなんとなくのイメージしか伝わらない」のがその次の段階。
  3. 「英文で自分の意見が伝えられるが、使う単語や表現は基準から外れていて、意思疎通が完璧に行えない」のが第三段階。
  4. そして「英語で、適切な単語や表現を使えるが会話が弾まない」のが第4段階。

このような段階を経て最終的に英語で話題が次々に変わるような、楽しい会話ができるようになる、私はこのように感じます。

 

主に第4段階にいる方々にとって英会話力アップに多大な影響を及ぼすであろうテクニックが「会話をしながら自分の意見を思い浮かべること」です。しかし第4段階までたどり着くのに相当な努力を要します。ただこのテクニックはその前段階の英会話学習者にも、「会話を弾ませる」という観点において十分に好影響を与えると思います。英会話上達の段階について簡単に触れ、そのあとテクニックの仕組みについて言及しようと思います。

 

各段階ごとの特徴

第1段階

初期段階において問題なのは、絶対的な英単語量や英語表現量が不足しており、自分の中のイメージをどんな形でも英文化できないことです。「英語を勉強することがこんなに大変なんて思ってなかった」という文章を英語で表したいとき、おそらくですが10通り以上(その中には少し意味合いが変わってしまう表現もあるかもしれませんが)の表現方法があります。

 

I didn’t know that it was that difficult to learn English. 

I thought learning English was much easier.

I didn’t see that coming. Learning English is so hard.

English is very difficult to learn. 

I’ve spent lots of time studying English, but it’s not enough.

 

初期段階ではこのような表現のうちどれも思い浮かばないことが想定されます。この段階で必要なことはただひたすら単語力や表現力を身につけることです。 Learning English is very difficult. のうち1つでもわからない、もしくは瞬時に使えない単語がある段階だと英会話をスムーズにこなすことは難しいでしょう。

 

第2段階

 

次の段階では英単語力や英語表現力はある程度身についてきているが、それをしっかり文章化できないのが問題です。

 

English is hard. Very much. More and more time. I will speak English better. 

 

このようにイメージをある程度瞬時に言語化はできるのですが実際きちんとした文章になっておらず、自分の思っていることが十分に相手に伝わりません。この段階に到達するとなんとなく英語が話せるように思えますがまだまだ上達する余地があります。一度自分の英語を録音、再生してみるとそれが英語レベルがまだ稚拙であることに気付けるかもしれません。

 

 

第3段階

 

第3段階における問題点は、ある程度自分の意図を英文化できるようになっているが、文章構造がいまいちであったり、使っている単語や表現がネイティブの基準から外れているため、意思疎通に支障をきたしてしまっていることです。

 

例)単語

rideget in

wearput on

rimocon → remote

 

「車に乗る」と言うとき、英語では get in a car と表現します。しかし「乗る」に引っ張られるとついつい ride a car のように ride を使ってしまうことが考えられます。また wear 「着ている」と put on 「着る」の区別が曖昧だと、「着ていい?」と尋ねる際に Can I wear it? と言ってしまうことにもつながります。また和製英語を英語でも使えると思い込んでいると「リモコン」をそのまま rimocon のように言ってしまいかねません。

 

どのケースにおいても、特に ride a carwear it のケースでは相手次第でこちらの意図を汲み取ってくれることも少なくありませんが、意思疎通に少なからず支障をきたすことになってしまいます。

 

第4段階

 

第四段階まで来ると、普段の意思疎通ではあまり問題は生じないようになってきます。特にこちらの意図を相手方に伝える際には、ある程度話す時間さえ与えてもらえれば問題なく会話が成立します。ただしだからと言って会話を存分に満喫できてるかといえば、そうでもありません。意思疎通とは最低限必要な情報を問題なく交換することなので、この段階ではまだ十分に会話を満喫できません。

 

会話例1

A: I went to Bondi Beach yesterday night.

B: Sounds nice.

A: And me and my friends did rock scissors paper. Jack lost so he dived into the cold sea. It was hilarious. 

B: It should be cold.

A: Yeah so sorry for him. He was completely speechless and in a bad mood. Haha.

B: I don’t wanna do that. I wanted to go there with you. Even if I had, I wouldn’t join the game. 

 

 

会話例2

A: I went shopping yesterday and saw Jenny walking with her boyfriend.

B: Did you know him.
A: I’ve never seen him, and she didn’t tell me about it. But I know she seems different recently.

B: Right.

A: I can’t find good guys, especially in the school. They just look so childish.

B: I like guys here. They try to be nice.

 

どちらの会話例でも B 役は単に相槌を打っているか、会話が盛り下がるような発言をしてしまっています。

 

 

いつもいつも面白い会話ばかりを求めているわけではありませんし、会話内容によってはごく普通の返しになってしまうことを頻繁にあります。しかしいつもいつも月並みの返答ばかりしていては相手もまた自分も会話を楽しむことはできません。

この段階では特に2人きりであればネイティブスピーカーとの会話もそつなくこなせるようにはなっていますが、会話内容の大部分を相手に委ねることになってしまっているのもまた事実です。

 

その理由の大きな理由としてはリスニングに集中しすぎるあまり、会話を弾ませる意識であったり、自分の意見を会話の中で思い浮かべる意識が乏しく、当たり前の回答に終始してしまっていることが挙げられます。そこで冒頭で取り上げたテクニック「話を聴きながら意見を思い浮かべること」が生きて来るわけです。

 

話を聞きながら意見を思い浮かべる

 

私たちが日本を話すときは、無意識のうちに話題をどちらの方向に向かわせれば楽しくなるか、そのときの話題とはそのほかのどのような話題が関係しているか、などを考え、会話内容を発展させていっているように感じます。しかし英語を話す時には、そこまで頭が回らず、ただ単純にそのときの話題に反応しているだけか、もしくは英語のグラマーや単語、表現のことを中心に考えているような気がします。

 

英語を勉強中の人にとって、また日本人はリスニングを苦手としている人が多いので、話を聞きながら自分の意見にも意識を向けることは非常に困難な作業ではあります。しかしグラマーや単語、表現のことばかり考えていては、会話内容やその内容を膨らませることに対する意識が希薄になり、結果として英会話はできているけれど、双方その会話を楽しめずに会話が終わってしまうことにもなりかねません。

 

 

 

まだグラマーや英単語に問題を抱えている英語学習者に対しても同様のことが言えます。彼、彼女らにとって最優先は正しいグラマーや語彙の獲得かもしれませんが、その獲得過程で必ず通る英会話という道を楽しめないと、勉強が辛い、と思うようになってしまうでしょう。

 

英会話がスムーズにできない初期段階、つまり単語力や表現力が乏しい段階ではもしかするとこのことにはあまり気を取られない方が良いかもしれません。しかしそれ以上のレベルに達している方々は、会話をしながら常に自分の意見を思い浮かべ、どのようにすれば会話が盛り上げるのかにも気を払うようにしましょう。