大河ドラマ『翔ぶが如く』の感想、これが最後になります。
第二部の後半は征韓論、西郷の下野、佐賀の乱、西南戦争、そして大久保の最期・・・とてんこ盛りなのでまとめるのが一苦労です
まずは、前回に引き続き征韓論から。
っていうか大体、征韓論って無謀なんですよ。
ドラマの中の西郷曰く、
「戦争になったらなったでいい。ロシア、イギリス、アメリカなど出てきても構わん。焦土になっても本物の日本人ならそこから必ず立ち上がる」
お前、、、
矛盾してるぞォ!!
外国の食い物にされないために幕府倒して奥羽も叩きのめしたんじゃなかったっけ?!
これじゃまるで破壊神です。日本を焦土にしないで下さいませ。
そうさせない為に、心を鬼にして廟議の場で西郷に猛反対(ほとんど罵り合い)をする大久保。
大久保の政敵・江藤と板垣も唖然・・・
ちなみにこの二人は征韓論自体はどうでも良くて、江藤はこれを機会に薩長閥を一掃したい。板垣は議会を作りたくて、太政官政府の力を弱めたい。
しかも土壇場になって、大久保に念書まで出して手を組んでいた岩倉が大久保を裏切る。
あまりにムカついて、岩倉をどついてしまった。そりゃそうだ。この腐れ公家め!
もう征韓論が可決される寸前だったのですが、ここで大久保に天佑あり。こういうのを「持ってる」って言うのかな。
それは、決められない太政大臣・三条実美があまりの神経衰弱にて倒れ、意識不明に。こんなことってあるのね。
この間に朝廷工作をして岩倉を再度抱き込み、征韓論は否決。
西郷とともに江藤、板垣も下野して、大久保の逆転勝利となりました。
だけど大久保は、これで永遠に西郷を失うことになります。
何度もあった別れなのですが、このシーンはキツかったなあ。
さて江藤なのですが、地方からの巻き返しに入ろうと計画していたところ、佐賀の不平士族たちが先に蜂起して、その頭目にまつりあげられてしまいます。これじゃ反乱の首謀者ではないか。これはマズイ・・・
江藤は結局、西郷の支持も得られず、自首を決意しました。
あの自信家の江藤新平がなあ・・・
満開の桜が散る季節、佐賀の裁判所に拘束された江藤に宣告されたのは、梟首でした。
えっ・・・この時代にさらし首?
あまりのことに納得がいかず、暴れる江藤です。
「裁判長!なんだこれは!なんなんだこれは!!」
江藤が最後に見たのは、桜が散る縁側から冷たく自分を見おろす大久保の姿。(わざわざ自分から佐賀まで来ていた)
ああああああああああああああ
江藤先生ーーー!!
※画像はわたしがモザイク処理しました
この表現方法は、現在ではもうNGのようです。配信ページに「現在では不適切な表現方法が含まれます」と注意書きがしてありましたので。
なんで大久保は江藤にここまで過酷な処置をしたのか?
それは口封じで、江藤の鋭い論理で東京の裁判所で弁明などされたら、不平士族の乱に口実を与えてしまうかもしれないから。
→と言うのはまあ分かりますが、斬首とか絞首とか死にさえすれば口封じになるでしょうに、何故さらし首になどされなければならないのか?
ドラマの大久保さんは「他の反乱者に対する見せしめ」と言ってましたが、わたしは、私怨が含まれるんじゃないかと思うのですよねー・・・
自分の行く手を阻む一番の脅威であり、一番自分を苦しめた張本人。そして、かつて自分のミスをあげつらい、辱めた人物。
真相はどうなのでしょう。複数の解釈があるかもしれません。
(もし議論をしても、相手に恥をかかせるような徹底的な論破は自分の身も危なくするのでやめましょうネ★相手に逃げ道を残してあげて勝つのがコツです)
さあ、クライマックスの西南戦争です。
ここに至るまでの事情も長く複雑なので何話にもわたり丁寧に説明されているのですが、とても書ききれないので省略
出陣の日は、薩摩に50年ぶりに雪が降った日だとか。
やはり、何か変事ある時は異常天候になるものなのだな。
そんな折、かねてから病を患っていた木戸孝允が死去。大久保とは色々と衝突もしたけれど、幕末から一緒に政府を作ってきた盟友だった。
たまにネチネチ小言を言うのがムカつくけど、大事なことは何か的確に見抜いて、協力すべきところはちゃんとしてくれる、頭脳明晰な人だった。
(自分も発熱中にこのドラマを見てたので、病気の木戸さんにはめっちゃ共感できました。倒れた三条実美とかも)
ついに前線に西郷登場!!
(犬が可愛い)
(村田新八・・・戦場なのにオシャレだな)
ボガーンって大砲の攻撃を受けて逃げる時も、ちゃんと犬を抱えていくよ(犬に走らせた方が早く逃げるのでは?)
ちなみにこの犬たち、後でちゃんと放してやり自分で鹿児島の家まで帰ったので無事である。
ところで矢崎と千絵のラブロマンスは、この戦場にて実るのでした。一夜限りの逢瀬がかないます。
(実際はそんなこと不可能だと思うけど)
しかし圧倒的な物量を誇る政府軍には流石の薩摩兵児も敗戦が続き、、、ついに西郷は自決します。
このシーン、アコーディオンの悲しい調べが涙を誘う。
敬愛する西郷さんを失くして、もういつでも死ぬ準備ができている桐野利秋。こうなったら弾丸尽きるまでぶっ放すぜ!!
が、彼も直後に戦死します。
せっかく千絵との恋が実ったのに、矢崎も戦死してしまった。でも、千絵のお腹には矢崎の子供が・・・
最終回は西郷さんが亡くなっただけでも随分辛いのに、この後本当のクライマックスがあるのです。
なんか、改めてすごいドラマ・・・っていうかすごい時代だな。
ああ〜〜〜ここ。
ここは個人的に一番辛かったな〜〜
大久保最期のシーンです。
西郷がこの世からいなくなり、自分も身を切られるように辛いのに、世間は「大久保は西郷を殺した男」と、大久保に憎悪の全てを向けます。
過激派の四人が、紀尾井坂にて大久保を待ち伏せ
大久保利通、暗殺
薄れゆく意識の中で走馬灯のように思い出すのはこの時。
二人とも若くて、仲が良くて、一番貧乏で、一番大きな夢を持っていた頃です。
涙腺崩壊
このシーン、
カーン カーン カーン
と(おそらくニコライ堂の)鐘が鳴り響くのがもうダメっすホント・・・
こんな壮絶な終わり方って・・・
しかしドラマの締めくくり方が秀逸で、戦って傷つけ合い死んでゆく男たち、その一方で強く生き残り、子を産み育てる女たちを描写します。
それでも時代は流れ、新しい世代が継承してゆく
っていう未来も示唆されていて、本当に素晴らしい!!
見終わった後、ボーッとしちゃいますよ。
それにつけても、とにかく鹿賀丈史さんがカッコ良かった。(何度言えば気が済むんだ)
おしまい。
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