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コラムニストの尾藤克之です。
『ちょっとしたことで差がつく 最後まで読みたくなる 最強の文章術』を出版。
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最近、慣用句が注目されています。「大人にふさわしい言葉を身に付けたい」というニーズがあるためです。慣用句とは二つ以上の単語が連結して、異なる意味で定型句として使われるものです。使いこなせれば文章の質もアップし表現力も豊かになります。
慣用句は、長い間使われてきた便利な言葉ですが、意味を間違えて使われている場合が多いので、注意が必要です。
ここでは、私が文章術やライテイングの講座などを通じて、一般的に間違えやすいと思われる慣用句を紹介します。中には、すでに定着し誤用とは思えないような慣用句もありますが、知っていると知らないとでは大違いです。
自信がない方は辞書を見ながら意味を理解して使うようにしましょう。理解すればあなたの語彙力は間違いなくアップします。5つのサンプルを用意しました。皆さんはわかりますか。
①「煮詰まる」の間違った使い方
A氏:なかなかアイデアが浮かばない。
B氏:さすがに「煮詰まって」きますね。
「煮詰まる」は、成果やいいアイデアが出ない手詰まりな状況で使われがちです。本来は、議論や考えが出尽くして結論が出る状態のことです。なので、結論が出る寸前に使うのが正解です。
②「吝さか」の間違った使い方
A氏:社長から出張依頼。今回は土日を返上だ!
B氏:社長命令なら「吝かでない」のでは?
「吝かでない」は「やむを得ない」の意味に使われがちです。正解は「喜んでする」こと。この文脈では、「土日返上でうれしい」という意味になってしまいます。
③「お眼鏡にかなう」の間違った使い方
A氏:君の企画はとても良かった。
B氏:「お眼鏡」にかなって光栄です。
「お眼鏡にかなう」とは、「目上の人に評価される」という意味です。もともとは、「お眼鏡=拡大鏡」で是非を判断したことから派生した言葉です。なお、よく聞く「お目にかなう」は誤用です。
④「綺羅星のごとく」の間違った使い方
A氏:あそこにいるのは当社の経営陣です。
B氏:「綺羅星のごとく」ですね。
「綺羅星のごとく」は「綺羅、星のごとく」と読むのが正解です。「地位や権勢」を意味しますが、同時に「うわべだけの人」にも使います。綺羅とは薄い絹糸の服のことです。
⑤「合いの手を打つ」の間違った使い方
A氏:前奏が始まったら「合いの手を打つ」ように。
B氏:合いの手を打つのは難しいです。
このように「合いの手を打つ」を使う人がいますが、この場合の正解は「合いの手を入れる」です。手拍子や声かけのことです。合いの手は手拍子ではなく、楽曲そのものをさします。
今回は、間違いやすい慣用句を、会話調にしてわかりやすく説明しました。言葉は年月とともに解釈や意味合いがかわりますが、基本的な慣用句は覚えておきたいものです。
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