本日のサマリー
「タイポグリセミア現象」というものがあります。
これは、文章中に含まれる、
単語の最初と最後の文字さえ正しければ、
読むことが可能になるという現象のことです。
「タイポグリセミア現象」を応用すれば、
インパクトのある「バズ文章」をつくることも可能です。
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コラムニストの尾藤克之です。
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読書をするとき、ただ漫然と読みはじめている人はいませんか。もちろん、楽しむときの読書はそれでもいいのですが、限られた時間で本を読まなくてはいけないとき、いくつかの方法を加味することで読書のスピードや吸収力が一気に加速します。
「タイポグリセミア現象」というものがあります。
これは、文章中に含まれる、
単語の最初と最後の文字さえ正しければ、
読むことが可能になるという現象のことです。
2018年3月、富山県内にある、
和菓子店「中尾清月堂」の広告のコピーが、
文字の順番が入れ替わっているのに、
問題なく読めてしまうことから、
SNS上で話題になりました。
「これはお見事」「秀逸な広告で不思議」
などの反応が上がりました。
中尾清月堂は富山県内に4店を展開し、
どら焼き「清月」を改良したことに合わせて、
「北日本新聞」の折り込み冊子に広告を出しました。
「みまなさに だじいな おらしせ」
という書き出しではじまります。
みまなさに だじいな おらしせ。
こたのび なかお せいげどつうが
ぜたっい に ばれない ように
どやらき の リニュアール を
おなこい ました。
※ ちみなに この ぶんしょう の じんゅばん も ばなれい ように いかれえています。
正しい文章は次の内容です。
みなさまに大事なお知らせ。
この度 中尾清月堂が
絶対にばれないように
どら焼きのリニューアルを
行いました。
※ちなみに この文章の順番も ばれないように入れ替えています。
広告に使われた要素が、「タイポグリセミア現象」です。
人は単語を一つの集合として視覚的に認識します。
脳が単語を瞬時に予測して、
補正して読むことができるのです。
文章のリズムを変えないことと、
単語の最初と最後の文字は正しいものにすることで
「タイポグリセミア現象」は発生します。
この現象については未だに科学的に解明されていません。
「なぜ読めるのか」「理解できるのか」という点について、
まだ解明されていないのです。
「タイポグリセミア現象」を応用すれば、
インパクトのある「バズ文章」をつくることも可能です。
では、夏目漱石の『吾輩は猫である』で実験してみましょう。
<原文>
わがはいは猫である。名前はまだ無い。
<タイポグリセミア現象>
わはがいは ねでこある なえまは まなだい。
いかがでしょうか?
それっぽくは見えませんか。
あなたが、
心を豊かにする1冊に出会えることを
お祈りしています。
尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員
※11月に18冊目となるバズらせて稼ぐ文章術 (秀和システム)を上梓します。
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