新書野郎 -74ページ目

中国という世界

中国という世界―人・風土・近代 (岩波新書)中国という世界―人・風土・近代 (岩波新書)
竹内 実

岩波書店 2009-02
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去年、PHPから新書を出したのには驚いたが、古巣、岩波に戻ってまた新作新書。1923年生まれか。上の世代の中国畑の人たちは、あらかた毛沢東と魯迅に会いに逝ってしまったろうし、著者とて、自身が培ってきた「中国という世界」と現実中国の矛盾から解放される日はそう遠くないのかもしれない。そうしたことを意識してか、靖国は、オリンピックは、国家分裂は、未来はとチュウゴクに投げかけられる疑問にオトシマエを付けておこうというのが、この新書のコンセプトらしい。自分が理解している「中国」と日本人の概念としての「チュウゴク」は別物である意識がある様で、最近の現実中国は、この中国学の泰斗をもっても、「チュウゴク」としか思えない異世界なのかもしれない。そこで、著者のイメージにある「中国という世界」を引っ張り出してくる。それは現在の沸騰する経済、その前のパンダと人民服、それ以前の「新中国」といったイメージとは異なる戦前の支那学の視点がある様に感じた。「チュウゴク」とは、「現代中国」と区別する表記であると同時に、「中国」に変換しきれない「支那」の表象でもあるのだろう。山東育ちの著者が、南方に「中国」を見出すのも、北には「革命」の気運が感じられなかったことが所以となっている様だ。夷荻政権に抗する南の革命という著者が描く構図は、清朝のみならず、日本を夷荻に準えているのだろう。面白かったのは、最後に著者が今までのイキナリ罵られた体験を体験を書いていること。3つのうち2つは中国で、まあこれはよくある話なのだが、著者が若く、中国語も達者でなければ、イキナリ罵られるのが日常であったかもしれない。そして最後の一つが京都のサウナで日本人研究者に突然罵られたというもの。なんでも、著者の文革論調に影響されて文革礼賛をしてしまったが為に、後になって恨まれてしまったのだとか。京都のT教授って、誰か。まさか竹内好ではないだろうが、いずれにしても日本人離れした人だ。1960年に上海に行った話なども興味深いのだが、四川大地震で、市当局が見舞金を払おうとして親が拒否して暴動になったという見舞金の額が人民元六万元(一元=160円と換算して九六0万円)って何時の時代のレートだ。プラス三万八千元(六0八万円)の社会服務費だったら、計千五百万円ちょっとか。中国でそれだけ貰えるなら、親としても悪くはないんじゃないかな。先生はこれを少ないと理解した様だが、まさか日本円で143万くらいとは思いもしなかったろう。
★★

西洋哲学の10冊

西洋哲学の10冊 (岩波ジュニア新書)西洋哲学の10冊 (岩波ジュニア新書)
左近司 祥子

岩波書店 2009-01
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オツムが足らないから、普段、哲学だの思想だのの本を読むことはないのだが、ジュニア新書なら分かるかもしれんと思って読んでみた。たしかに、ちくま新書の「名著」シリーズよりは読みやすい。プラトンからラッセルまであるが、イマドキの高校生でも、哲学書を読みたいココロの子はいるだろう。ちょっと前には女子高生の哲学少女も話題になったな。旧制中学の時代は原書で読む生徒がゴロゴロいたんだろうが、哲学書はわざと難解に翻訳する傾向があるので、実際、原書(とか英語版)の方が理解しやすいものだったりもする。その意味では「ジュニア用翻訳」もあって然るべきであろう。そうしたことをダイジェストで試みているのがこの本なのだが、ルソーの「告白」はもう一度チャレンジせいてみたくなった。ニーチェは「暇つぶしで読書するのはダメだ」とか言っているそうだが、ハイデカーの解説では「人生は暇つぶし」であることも容認している。まあニーチェの言うコトなど、どうでも良いのだが、著者が自分の思惑通りに読者は読み取るものだと思う程、傲慢なものはない。読書の主体性は著者ではなく、読者自身が握っているものだと考えれば、読書も長く続くと思うよ。
★★

東アジアの文芸共和国

東アジアの文芸共和国―通信使・北学派・蒹葭堂― (新典社新書26) (新典社新書)東アジアの文芸共和国―通信使・北学派・蒹葭堂― (新典社新書26) (新典社新書)
高橋博巳

新典社 2009-01-08
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この新規参入組も新典社新書つうのも、ターゲットをオーバー70の文芸族に絞っている感じだ。いずれも幻冬舎以上に大文字でスカスカなのだが、老人が1日で読める量か。とはいえ、老人のたまり場である図書館にはあまり置いていないし、街の本屋に置いてある可能性も低い。なんと電子書籍対応なのだそうだが、読者想定は別だったのだろうか。ということで、朝鮮通信史ものなのだが、岩波みたいに「日韓交流の源流」とか持ち上げている訳でもなく、結構、現代目線で書いているので面白い。当時は漢文で筆談という形なのだが、それでジョークを書きあうなんて高度なことが出来たのか。日本側が中国って偉そうにしてるけど、オランダの方が一夫一妻制度で文明も進んでいるみたいだよとか言ったら、韓国がやんわりと大人の態度でたしなめたとのこと。小中華主義で、日本より道徳的優位に立つと考えていた(それは今でも全く同じ状況なのだが)韓国は、「東アジア」の価値観を根底から否定する様な日本側の発言にかなり動揺したんではないかな。というのも、この時期の朝鮮通信史は韓国で「史実」として信じられている様な進んだ文化(大陸経由)を日本に教える為に派遣されたものではない。韓国の言う通りの事情なら、日本が中国に出したみたいに、韓国に留学生を派遣すれば済む話。中国も日本も知った北学派の人は、素直に自国の後進性を認めたりしているのだが、その実態が国民に伝わることもなく、20世紀を迎えてしまう。
★★

マリーシア

マリーシア (光文社新書)マリーシア (光文社新書)
戸塚啓

光文社 2009-01-16
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光文社新書も去年の「4-2-3-1」の評判が良かった様だが、その二匹目のドジョウを批判本で狙ってきた。「さおだけ屋」なんかもそのパターンだが、こちらは自己否定ではなく、はっきりと「4-2-3-1」」がナンボのもんじゃいとタンカをきっているので、この辺は「サッカー・ライター」界の競争社会を窺わせる。そこで著者がその対抗馬として出してきたのが「マリーシア」なのだが、要は欧州に南米で対抗ということ。「4-2-3-1」の杉山茂樹も南米を完全に無視していたのだが、こちらも欧州サッカーは黙殺。杉山のシステムとサイド攻撃偏愛主義もどうかと思うが、サッカーは理論ではなく、個々の力と割り切っているのが戸塚。ここでいう個々の力とは個人技ということでなく、如何に試合を優位に運ぶかというマリーシアであって、その手段は退場にならない程度までは許容される。実際に倒されて立ち上がらないとか、審判に執拗にアピールするといった行為が利に適ったものなのかどうかは分からないが、時間を進めるということ以上に、相手、もしくは審判への心理的圧力といったものを計算している様だ。そうした本場のマリーシアをJリーグのブラジル人選手に語ってもらうのだが、フランサ、フェルナンジーニョ、ボッティ、ジャーン、ぜ・カルロス、エジミウソンなど、チームはバラバラ。皆、一堂に会して話している様に見えるのだが、これはブラジル人Jリーガーが集まる店かなんかか。同じ質問をそれぞれにぶつけているのかもしれんが、ブラジル人の答えも結構似たり寄ったりではないの。来日22年のエジソン(今は川崎でコーチか)だけは、さすがに日本人っぽくて、チームワークが大切、昔の選手はもっとガッツがあったとか言っている。ブラジルは貧しいからマリーシアが発達したが、恵まれている日本人の子には難しいだろうというのが共通した意見。それでも教えることはできるとのこtだが、フランサが、日本にはどこでも学校があって、子どもたちは皆、毎日学校に行くけど、ブラジルでは、学校に行ってきますと言って、ショッピング・センターとかに行く子どもが多いとか言っているのは笑った。それは自分のことか。ちなみにフランサはぶっちぎりで、ブラジル人Jリーガーが選ぶマリーシアナンバーワンだそうだが、日本人では大久保嘉人が最多得票か。
★★

小林多喜二

小林多喜二―21世紀にどう読むか (岩波新書)小林多喜二―21世紀にどう読むか (岩波新書)
Norma Field

岩波書店 2009-01
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日本語のせいじゃないけど、ちょっと分かり難いな。
★★

香港の都市再開発と保全

hk.jpg香港の都市再開発と保全―市民によるアイデンティティとホームの再構築 (九大アジア叢書 12)
福島 綾子

九州大学出版会 2009-03
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大学出版会唯一(たぶん)の新書進出である「九大アジア叢書」も久しぶりだな。著者はもちろん自己調達だけど、読者と併せての自給自足率も高そうだ。著者は文化保存学というのが専門の人の様で、利東街とか、スターフェリー船着場など保存運動を通した香港アイデンティティの解釈。単著としてあるが、大部分の内容は香港人の友人から聞き取ったものをまとめただけとしている。如何にもそんな感じの本ではあるのだが、著者にとって、そうした協力的な香港人との出会いが一番の収穫であった様だ。そこでお決まりの、日本人は外国人に非協力的だ。私は日本を故郷だなんて思えないといった返す刀な陳腐なステレオタイプに毒されてしまうのだが、はたして香港人が日本人と比べて外国人に協力的かというと、それは首を傾げざるをえない。ぶっちゃげ著者が「香港人の友人」にとって、利用価値があると思えた日本人女性であったということに過ぎないのではないかとも思う。日本人が国内の多様性に眼を向けないという批判は、自分がそうであったということである。もっとも、国内の外国人が日本人と交流したいと思っているかというと、一概にそうだとも言えない。同世代の異性とかなら付き合いかとも思うだろうが、巷の「国際交流会」にはヒマな爺婆しか出てこない。実際には多くの外国人は生活に追われているので、日本人と付き合うヒマがあれば、アルバイトをしたいだろうし、疲労困憊した身では日本人と話すなど面倒なことである。香港人が日本人と友人付き合いすることはあっても、域内の外国人マジョリティであるフィリピン人、パキスタン人、大陸人などを友人とすることは少ない。そんな事情を知ってか知らずか、著者は自分のアイデンティティとホームを見つめなおすきっかけになったということでメデタシめでたしなのだが、研究者なのに、日本が国内の多様性に眼を向けないとか、外国人の存在を見えないものとするとかよく言えるよな。私はその手のものをテーマにした研究者がゴマンといて、その手の本もゴマンも出ているので、いささか食傷気味だというのに。
★★

宮沢賢治のちから

新書で入門 宮沢賢治のちから (新潮新書)新書で入門 宮沢賢治のちから (新潮新書)
山下 聖美

新潮社 2008-09
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賢治まで「ちから」本か。
★★

800字を書く力

800字を書く力 (祥伝社新書 102)800字を書く力 (祥伝社新書 102)
鈴木 信一

祥伝社 2008-01-25
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本なんて通読で十分。

姜尚中の青春読書ノート

姜尚中の青春読書ノート (朝日新書)姜尚中の青春読書ノート (朝日新書)
姜 尚中

朝日新聞出版 2008-04-11
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東京は滅びるって、どこに根拠が。
北の将軍様と同じ様なことを言っている。
★★

オタクはすでに死んでいる

オタクはすでに死んでいる (新潮新書)オタクはすでに死んでいる (新潮新書)
岡田斗司夫

新潮社 2008-04-15
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時代が変わっただけなのに。