新書野郎 -73ページ目

クジラは誰のものか

クジラは誰のものか (ちくま新書)クジラは誰のものか (ちくま新書)
秋道 智彌

筑摩書房 2009-01
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星川に反論。
★★

聞き書き ダライ・ラマの真実

聞き書き ダライ・ラマの真実 (生活人新書)聞き書き ダライ・ラマの真実 (生活人新書)
松本 榮一

日本放送出版協会 2009-03
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ここにきて、またダライ・ラマ本の続々と出てきているが、これも続編みたいなものの様だ。著者は写真畑の人らしいが、ダライ・ラマ関連の写真集をインドでも出しているそうで、「公認」カメラマンとして何度もダライ・ラマに謁見されたとのこと。写真だけでなく、その声をということで新書なのだが、ノーベル賞受賞者のインタビュー番組が好きなNHKも、某圧力により、ダライ・ラマは放映できないから紙面でということなのかな。石井慧がダライ・ラマの講演会に現れて、質問に立ったとは知らなかったが、政治問題とは別にスピリチュアル系として、ダライ・ラマは定番になっているのだろうか。まさか石井は北京で何がしかの抗議行動の動きをみせて追放された訳ではないだろうが、どうせ辞めるつもりだったのなら、派手にパフォーマンスをして欲しかったな。まあ石井に限らず、リチャード・ギアにしても、ダライ・ラマの「抵抗者」とは一線を画す平和主義に惹かれているのだろう。この「聞き書き」でも、ガンジーばりの非暴力思想が前面に出されていて、「暴動の黒幕」といったイメージを払拭せんとしている。といっても華世界以外では、そんなイメージを定着させるのは不可能というもので、むしろ中共が宣伝する度に逆効果になってしまうものだ。何においても中国政府が言っていることの逆が「真実」であることは、外国人どころか中国人自身も気づいている「お約束」なのだけど、日本の毛沢東主義残党なんかは、その真実を真実としてそのまま捉えるのがお約束。まあ一方ビョークとか外タレのパフォーマンスもお約束みたいなものではあるのだが、結構好きだったMecano の「Dalai Lama」のPVhttp://www.youtube.com/watch?v=FeDVx98aoGMを初めて見たけど、こんな恰好でリスペクトされても、チベット人にはなめているとしか思われんのではないか。

テレビ番外地

テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡 (新潮新書)テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡 (新潮新書)
石光 勝

新潮社 2008-11
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思い出話。

次に不足するのは銅だ

次に不足するのは銅だ メタル資源の限界 (アスキー新書)次に不足するのは銅だ メタル資源の限界 (アスキー新書)
谷口 正次

アスキー・メディアワークス 2008-12-10
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また中国か。
★★

バタヴィアの貴婦人

バタヴィアの貴婦人 [新典社新書] (新典社新書)バタヴィアの貴婦人 [新典社新書] (新典社新書)
白石広子

新典社 2008-06-04
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熟年歴史愛好家の友、新典社新書だが、この著者も1944年生まれの人。しかし、2001年に学習院の文学部を卒業し、2003年に同修士課程修了とのこと。学習院も社会人入試をする時代になっていたのか。この「じゃかたらお春」の研究は著者のライフワークの様で、これまで勉誠から著書も2冊。「じゃかたらお春」も「バタヴィアの貴婦人」とすることで、植民地白人セレブの一員として描いている。初めてみる日本人女性が自分たち白人と違わぬ肌の白さに驚く箇所があるのだが、元々、この「お春」が白人との混血なのであれば、容姿も白人と大して変わらんだろう。親父イタリア人、母日本人とすると加藤ローサみたいな感じか。宮沢りえは父ちゃんオランダ人だが、母ちゃんの血が濃く出ているのに、顔造りは母ちゃんと随分違うな。オランダ人はあれをオランダ人とは認めんだろうが。

ルポ 内部告発

ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか (朝日新書)ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか (朝日新書)
村山 治

朝日新聞出版 2008-09-12
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記者ものだけど、業界紙掲載で読みにくい。

在日一世の記憶

在日一世の記憶  (集英社新書)在日一世の記憶 (集英社新書)
小熊 英二

集英社 2008-10-17
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姜尚中はともかく、小熊英二の名のせいか、辞書の様に分厚い掟破りの新書。さすがに781ページは読むのを躊躇させられたのだが、いつまでも積読ではマズイので、少しづつ片付けて読了。この中でも既に何人か鬼籍に入った人がいる様だが、「一世」のオラヒスは今のうちにやっておかないといけんだろう。最初は学生を使っていたそうだが、使えないのでプロを起用し、小熊が削りに削ったのだとか。後に百科事典並みの完全版が出るのかもしれない。聞き役の院生が使えなかったのは、知識経験の不足もさることながら、日本人が多かったからではなかろうか。姜尚中も、その真偽は問わず、記録としてありのまま残すことにしたとか苦し紛れに書いているが、一世の語る物語は相手が誰かによって大きく異なるものと思える。人選を誰が行ったか知らぬが、総連OBOGばかりなのは気にかかる。名前の知ってる証言者もチラホラいたが、要するに、「市井の在日一世」ではなく、何らかの形で「証言」を既に残し、存在が知られている人たちなのであろう。それが「語るべき物語」を持った人たちなのであろうが、となると、その物語は「規範的」になりがちである。同化を否定し、差別を糾弾し、民族愛を語るといった「規範的な物語」は本人よりも周囲が期待するものなのだろう。実際には日本人と同化たり、朝鮮民族に対し逆差別感情を持った一世も大勢いると思われるのだが、そうした声が記録として残されることはない。逆に、なぜか朝鮮民族に同化し、差別を糾弾し、朝鮮民族主義者となった日本人女性二人が登場している。編者、聞き手にとって、彼女らが「模範的」な日本人なのだろう。日本も韓国も等しく愛すといったユートピア的規範はそこにはなく、一世の「祖国愛」はどこまでもゼロサムゲームである。
★★

加油(ジャアヨウ)……!

加油(ジャアヨウ)……! 五輪の街から (朝日新書 136)加油(ジャアヨウ)……! 五輪の街から (朝日新書 136)
重松 清

朝日新聞出版 2008-10-10
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例によって、このベストセラー作家の作品は一冊も読んだことがないのだが(友だちが死んじゃう映画は最近観た)、これも中国本ということで読了。朝日の五輪リポーターみたいな形で中国に滞留していたらしい。朝日が2002年の時に起用した沢木耕太郎と同じ役割だと思うのだが、印象はかなり違う。重松は沢木の様にアスリートに自己投影できるタチではないので、その作品同様(と言っても読んでないのだが)とにかく市井の人にしか興味がない。この歳で痛風というのも怖いが、最後の方になると、もう飽きたからと観戦放棄する始末。朝日も別に観戦記を書かせようとした訳ではないのだろうが、試合内容とかに触れることは、ほとんどなく、観客の応援風景とかばかり。個々選手が全く無視されているのも五輪ものとしては異色だが、感動したとか、復活したとか沢木ばりに書かれるよりは、こっちに方がしっくるくる。主役は観客だから「加油(ジャアヨウ)……! 」なのだろうが、巷のブログなどみると、これを「チアユー」と読む年配の人が結構多いな。重松は専属記者も通訳も付いているから「ジャアヨウ」と聞こえたみたいだけど、「油」を「ユー」と読むのは上海かどっかかしら。近所の中華屋には「ユーリンジー定食」とかある。まあそんなことはどうでも良いのだが、結局、五輪にしても、その前のサッカーにしても、観客の態度を中国人一般と同一視するのは考え物ということか。連中が日本の試合とかでブーイングするのも、それが一生一大のハレの世界であるからで、観客文化というものが人気のサッカーとか卓球でもほとんど育っていないことには驚かされる。当然ながら、選手や競技を神聖なものとして捉えることはないので、サッカーも雑技団も大した違いはない。著者が愛すのは、こうしたナショナリズムから距離を置いた物見遊山の観客たちであるが、正にそこに自己投影をしているのだろう。気に入らないところは気に入らないと言い、美味いものは美味いと言う。日中関係といった大きな荷物を庶民が背負う必要は全くないのである。
★★

破天

破天 (光文社新書)破天 (光文社新書)
山際素男

光文社 2008-10-17
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ちょうど山際素男さんが亡くなられたというニュースが入ってきたところなので、新書なのに600頁弱の二段組という量に二の足を踏んでいた佐々井秀嶺の評伝を一気読みしてしまった。かなりグロッキー気味である。去年は「チベット問題」も出したけど、両方とも再構成ものだったか。さすがに病身で、この量を書き下ろすのは無理であったろう。山際さん自身が仏教徒だったのかどうか分からぬが、成仏するに余りある仕事を仏教の為にしたのだと思う。この本は性格上、仏教の世俗的部分に焦点が当てられているのだが、そうした非神学性が宗教紛争に揺れる世界に対するアンチテーゼとなっている様な気がする。それこそが「破天」の意味するメッセージなであろう。佐々井秀嶺の俗物性を強調するのも実際本人がその様な人間であるということより、インド仏教徒の頂点に立つ日本人を偉人化したり、救世主化する物語とは一線を画したかったのではなかろうか。女性に対する妄想癖については、ガンジーに関しても著者は書いていたのだが、こういうものは「脱神格化」の手段なのかもしれない。秀嶺の女性遍歴については、あくまで自己申告の範疇かと思うが、そこに何がしかの意図が含まれているのか、単に本人にサービス精神があっただけなのか。秀嶺の俗物性はおおよそ日本の宗教家のイメージとは外れるものだが、日本人がインドに行ってインド人の改宗事業に勤しむという構図には違和感を禁じ得ない。それを可能としているのもインド人の宗教感であるが、インド人が宗教に寛容であると同時に不寛容であるということも言えるのだろう。この本も非宗教的な様で、其の実、宗教書の手法がとられていることが分かる。
★★

銃に恋して

銃に恋して―武装するアメリカ市民 (集英社新書)銃に恋して―武装するアメリカ市民 (集英社新書)
半沢 隆実

集英社 2009-02
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著者は共同の元ロス支局長。その前のカイロ時代から、パレスチナ、アフガン、イラクの「戦場」も取材してきた人だという。本人にとっては、アメリカの銃規制の問題はオバマより関心があることだったのかもしれない。銃がアメリカ人にとって思想問題に直結するのも、その建国神話と関係あるのだろう。となると、白人男性の銃も持つ論理を有色人種が銃殺される論理と結びつけるのは歴史的事実と現実の混同ということになるのか。銃の保持を禁止されることで去勢された気分になる人はたしかに存在するだろう。少なくとも中絶問題の様な国を二分するイシューではない様で、銃規制反対はリベラルの中にも多いという。犯罪者、精神疾患者の銃規制に反対する立場をNRAはとっている訳ではないので、批判の声もそう大きくならないらしい。たしかにバージニア工科大の事件なども個人的な原因に帰すことが可能なのだが、事件後に、逆に反銃規制の声が高まるというのは考えさせられる。しかし、それ以上に危険なのは、警察の発砲がほぼ野放しという状態ではなかろうか。ちょっとでも疑問点があれば、まず撃ってから対処するということは徹底されている様で、当然ながら疑問の基準は警察が握っている。対テロ対策で、英国警察も下手にその作戦を導入した為、ロンドンでは無実のブラジル人が警察によって殺害されるという事件も起きた。私は徒歩の途上とかでの理由のない職質は全て断る主義なので、これが米国や英国であったら、命が幾つあっても足りやしない。米国の反銃規制組が悪の標本としているのが日本であって、NRAは日本が警察国家であって、拷問は当然であって、警察は年二回の調査により、家族構成から、娘の性体験の相手、人数まで把握しているのだという。銃犯罪が少なくとも、そんな警察国家にはなりたくないだろうというのが連中の主張。なぜ、息子ではなく娘の性体験の相手、人数なのかよく分からんが、職質でそんなことを聞かれ、答える人がいるのかもしれん。しかし、それでも、まず撃たれてしまったら、お話にならない訳で、警察のあらゆる発砲が免責される国の方が警察国家なのだと思うのだが、どうだろう。
★★★