銃に恋して | 新書野郎

銃に恋して

銃に恋して―武装するアメリカ市民 (集英社新書)銃に恋して―武装するアメリカ市民 (集英社新書)
半沢 隆実

集英社 2009-02
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著者は共同の元ロス支局長。その前のカイロ時代から、パレスチナ、アフガン、イラクの「戦場」も取材してきた人だという。本人にとっては、アメリカの銃規制の問題はオバマより関心があることだったのかもしれない。銃がアメリカ人にとって思想問題に直結するのも、その建国神話と関係あるのだろう。となると、白人男性の銃も持つ論理を有色人種が銃殺される論理と結びつけるのは歴史的事実と現実の混同ということになるのか。銃の保持を禁止されることで去勢された気分になる人はたしかに存在するだろう。少なくとも中絶問題の様な国を二分するイシューではない様で、銃規制反対はリベラルの中にも多いという。犯罪者、精神疾患者の銃規制に反対する立場をNRAはとっている訳ではないので、批判の声もそう大きくならないらしい。たしかにバージニア工科大の事件なども個人的な原因に帰すことが可能なのだが、事件後に、逆に反銃規制の声が高まるというのは考えさせられる。しかし、それ以上に危険なのは、警察の発砲がほぼ野放しという状態ではなかろうか。ちょっとでも疑問点があれば、まず撃ってから対処するということは徹底されている様で、当然ながら疑問の基準は警察が握っている。対テロ対策で、英国警察も下手にその作戦を導入した為、ロンドンでは無実のブラジル人が警察によって殺害されるという事件も起きた。私は徒歩の途上とかでの理由のない職質は全て断る主義なので、これが米国や英国であったら、命が幾つあっても足りやしない。米国の反銃規制組が悪の標本としているのが日本であって、NRAは日本が警察国家であって、拷問は当然であって、警察は年二回の調査により、家族構成から、娘の性体験の相手、人数まで把握しているのだという。銃犯罪が少なくとも、そんな警察国家にはなりたくないだろうというのが連中の主張。なぜ、息子ではなく娘の性体験の相手、人数なのかよく分からんが、職質でそんなことを聞かれ、答える人がいるのかもしれん。しかし、それでも、まず撃たれてしまったら、お話にならない訳で、警察のあらゆる発砲が免責される国の方が警察国家なのだと思うのだが、どうだろう。
★★★