新書野郎 -72ページ目

日本にオバマは生まれるか

日本にオバマは生まれるか (PHP新書)日本にオバマは生まれるか (PHP新書)
横江 公美

PHP研究所 2009-02-14
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新書各社のオバマ本も出揃った観があるが、PHPは松下政経塾出身のこの著者を起用か。ブラッドリー効果の説明もあるが、早々と見切り発車した幻冬舎などと違って、ギリギリまでマケインの芽もあるとしていたのかもしれない。タイトルも後発ゆえのひねりが必要となったみたいだが、タイトルの命題に関しては最後の数ページでとって付けた感じ。それ以外に日本についての言及はほとんど無しといっても過言ではない。せいぜい、著者の専門であるシンクタンクについて、日本にはアメリカ式のがないと書いているくらい。オバマメインであることは変わりないが、その黒人性よりもシカゴという地域に注目している。そして著者の興味はやはりジェンダーにある様で、ミシェルのファッションについて詳細に言及している。これはアメリカのメディアにも再三書かれていたものなのであろう。その意味で「おじいちゃん」のマケインよりもペイリンに注目していて、これもその政治性よりも、如何に「規格外」政治家であるかを書いている。著者のみるところヒラリーがオバマ政権入りを決意したのも、ペイリンと天秤にかけたからだそうで、自身の史上初「女性大統領」の身は成らずとも、ペイリンが史上初の「女性副大統領」の座に着くことを阻止したのだという。万が一マケインが勝ったとしたら、高齢のマケインの再選は難しく、任期途中でのペイリン昇格もありうるし、いずれにしても4年後には実績を踏んだペイリンと対戦しなければならないう計算もあったとのこと。オバマが勝つと、自分の出番は8年後で、年齢的に厳しくなるが、とりあえず「女性初」の称号だけは他人に譲れないということらしい。著者が留学中にフェミニズム運動の生き残り教授の授業を受けたという話は面白い。たしかに、ノーブラで腋毛未処理の女性はこの世代の人にたまに見かけるが、腋関係はフェミニズムというより、剃る文化圏と剃らない文化圏がある様な気がする。著者の指摘通り、ペイリンやヒラリー、ミッシェルの扱いをみても、アメリカという国では女性に関して保守的な眼が存在していると言ってよいだろう。
★★

ジャーナリズムの可能性

ジャーナリズムの可能性 (岩波新書)ジャーナリズムの可能性 (岩波新書)
原 寿雄

岩波書店 2009-01
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1925年生まれか。つうかナベツネの政界再編も「9条ジャーナリスト」もジャーナリストの政治関与ということでは変わらんのでねえの?

偽善エコロジー

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)
武田 邦彦

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勇気ある人だね。
★★

地球の目線

地球の目線 (PHP新書)地球の目線 (PHP新書)
竹村 真一

PHP研究所 2008-12-16
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武田のとバランスをとったのかな。

ゆったり泊まりたい癒しの湯治宿案内

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野口 冬人

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変わったものは何もないが、わりと実用的。

進化するグーグル

進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)
林 信行

青春出版社 2009-01-07
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ちょっと気がついたんだけど、グーグルとアップルは盛んに新書のテーマになっているのだけど、マイクロソフトを扱った新書というのは読んだことがない。この本を含めてグーグルもアップルのソレも、会社の意向を汲んだPR本であることは間違いないのだけど、MSはもはや、そんなものを必要としない位置にあるのか。ビルゲイツの提灯本は幾つか出ている様だが、MSの内情を扱ったノンフィなどもあまりお目にかかったことがない。市場で独占的地位を握ってしまえば、PRもそれほど必要ではなくなるし、むしろ逆効果になるのかもしれない。もはやMSはITの旗手と言うより、帝国主義者として見られているのだが、その意味では、「反帝国」イメージが使えるアップルに対し、グーグルは新たな帝国として「反帝国主義者」たちに挑戦を受ける身になってしまっている。グーグル八分からストリートビューと消費者の思わぬ抵抗は始まっているのだが、それを補って余りある革新イメージを創り出さねばならないというプレッシャーは相当なものだと思う。その点、基幹部門を押さえたMSとの差は顕著である。進化せねば生き残れないグーグルはMSと帝国の棲み分けをやめて、帝国同士で大戦になってほしい。その廃墟から革命勢力が台頭してくるというものだ。

進学格差

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)
小林 雅之

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「格差もの」にしては硬質な方。
★★

よい世襲、悪い世襲

よい世襲、悪い世襲 (朝日新書)よい世襲、悪い世襲 (朝日新書)
荒 和雄

朝日新聞出版 2009-03-13
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世襲とは関係ない話が多かった。

フィンランドの教育力

フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書)フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書)
Riikka Pahkala

学習研究社 2008-11
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フィンランド教育ものも、ようやく打ち止め観が出てきたが、この著者は夫の転勤に伴い来日したそうだが、フィンランドで小学校教諭の経験があるということで、「フィンランド式ドリル」を学研から出したそうな。その流れで、「聞き下ろし」の新書なのだが、副題の「なぜ、PISAで学力世界一になったのか」の答えなど何も書いていないし、第一、冒頭からして、そんなことフィンランドでは話題にもなっていなかったなど言っている。おそらく「フィンランド式ドリル」もフィンランドで普遍的なものというものではないのだろう。当たり前だが、現地で暮らしている人たちにとっては、自分たちの教育が特別なものであるという意識は全くない。教師として働いていたなら、尚更、優れている点より問題点の方が記憶に残るだろう。この著者が言っていることはフィンランド全体の教育というより、自分の学校の実情といったところ。 日本では子どもをインターナショナルスクールに通わせているそうで、これには不満があるそうだ。一方、日本の学校については批判めいたことは全く言わず、むしろ評価している。中国人とかインド人、韓国人などの親からみた日本の学校といった本は幾つか読んだが、この人は自分の子どもを通わせてはいないとはいえ、随分と日本の教育に対して肯定的に思える。それもこれも、日本の教育が良いとか悪いではなく、日本がフィンランドの教育というものを大変肯定的に捉えているので、日本との比較によって自国の優位性を説明する必要がないといった余裕から来るものではなかろうか。日本人から遅れていると思われていると感じている国の人たちは、何とか自分たちの国の優秀性を誇示せんとするのだが、どっちが良くてどっちがダメという二項対立論は西欧や北欧ではもう廃れている様だ。中島義道も書いていたが、西欧では多様性を重んじる理念が行き届いた為、むやみに他国の批判はせず、相手を認めることに価値観が与えられるのだという。その為、批判の対象は人権という狭い範囲に絞られてしまう。人権問題で日本が責められることは皆無でないにせよ、同じ先進国で民主主義国家である日本を批判することは、人種差別と看做されるおそれがあるのかもしれない。こうなってくると、「反日」だの「嫌韓」だの、好きな様にやりあっている「東アジア」の方が健全にも見えてくるから不思議だ。

ラテンアメリカ経済成長と広がる貧困格差

ラテンアメリカ経済成長と広がる貧困格差 (創成社新書)ラテンアメリカ経済成長と広がる貧困格差 (創成社新書)
丸谷 雄一郎

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創成社新書も結構コンスタントに出してくるな。ラ米は最初の「国際シリーズ」に入ってなかったが、企画自体は2006年に立てられていたのだとか。その間、BRICsだの、左派政権続出、そして金融危機と色んなことがあった訳だが、「経済成長と貧困格差」というキーワードは変わらなかったか。著者はメキシコシティ生まれという人だが、メキシコとの出会いは小学生の時、LAからメキシコ国境を越えてその貧しさを実感してからだという。マーケティングが専門らしいが、そうした縁で中南米経済もフィールドにしているとのこと。しかし、中心に書かれているのは「南米」の方で、ラ米経済の牽引車たるブラジルの記述が多い。とはいえ、アンティグアバーブーダとかまで無視することはなく、ちゃんと「ラテンアメリカ」の仲間に加えている。繋ぎのコラムは映画で統一しているが、コラム休憩を挟むのは新書では珍しい。生まれ故郷であるメキシコよりもブラジルに肩入れしている感じだが、メキシコはやはり「北米」経済圏という意識で控えめなのかもしれない。中南米で白人国と言えるのはアルゼンチンだけで、チリとコスタリカはその実、混血というのはその通りで笑ってしまった。まあアルゼンチンも実際は怪しいものだが、ウルグアイも含めて「白人」を標榜する国の方が生活水準高いのは事実だから、人種差別というより、経済格差の意味合いが強いのだろう。1950年代頃はまだアルゼンチンの方が西欧諸国より所得水準が高かったそうだ。その後ドンパチやら何だで低迷している間に西欧は無論、日本にもあっという間に追い抜かれその差は開く一方。メキシコがかろうじてOECDに入っているが、「中南米諸国」は30年来次の候補国になると見られながら、韓国、ポーランド、チェコといった新興国に先を越されてしまっている。BRICsでブラジルが台頭してきたのは正に30年来の悲願である訳だが、非西語の異端国家ブラジルを中心にまとまるのは難しい。むしろ政治的にはここの陰の主役は最貧国でありながら先進国であるキューバである。植民地の負の遺産は革命によってしか払拭できないのか。
★★