フィンランドの教育力
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フィンランド教育ものも、ようやく打ち止め観が出てきたが、この著者は夫の転勤に伴い来日したそうだが、フィンランドで小学校教諭の経験があるということで、「フィンランド式ドリル」を学研から出したそうな。その流れで、「聞き下ろし」の新書なのだが、副題の「なぜ、PISAで学力世界一になったのか」の答えなど何も書いていないし、第一、冒頭からして、そんなことフィンランドでは話題にもなっていなかったなど言っている。おそらく「フィンランド式ドリル」もフィンランドで普遍的なものというものではないのだろう。当たり前だが、現地で暮らしている人たちにとっては、自分たちの教育が特別なものであるという意識は全くない。教師として働いていたなら、尚更、優れている点より問題点の方が記憶に残るだろう。この著者が言っていることはフィンランド全体の教育というより、自分の学校の実情といったところ。 日本では子どもをインターナショナルスクールに通わせているそうで、これには不満があるそうだ。一方、日本の学校については批判めいたことは全く言わず、むしろ評価している。中国人とかインド人、韓国人などの親からみた日本の学校といった本は幾つか読んだが、この人は自分の子どもを通わせてはいないとはいえ、随分と日本の教育に対して肯定的に思える。それもこれも、日本の教育が良いとか悪いではなく、日本がフィンランドの教育というものを大変肯定的に捉えているので、日本との比較によって自国の優位性を説明する必要がないといった余裕から来るものではなかろうか。日本人から遅れていると思われていると感じている国の人たちは、何とか自分たちの国の優秀性を誇示せんとするのだが、どっちが良くてどっちがダメという二項対立論は西欧や北欧ではもう廃れている様だ。中島義道も書いていたが、西欧では多様性を重んじる理念が行き届いた為、むやみに他国の批判はせず、相手を認めることに価値観が与えられるのだという。その為、批判の対象は人権という狭い範囲に絞られてしまう。人権問題で日本が責められることは皆無でないにせよ、同じ先進国で民主主義国家である日本を批判することは、人種差別と看做されるおそれがあるのかもしれない。こうなってくると、「反日」だの「嫌韓」だの、好きな様にやりあっている「東アジア」の方が健全にも見えてくるから不思議だ。
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