有名案件(悪い意味で)
5月12日
我々の業界では、あっちこっちから何度も何度も資金付けの依頼がある案件を、持ち回り案件、あるいは有名案件と呼びます。
例えば代々木の反社が絡む不動産ブリッジ案件は、もうかれこれ数年にわたり10回以上依頼情報が入っています。
このような案件には必ず、自分がキーマンなどと意味不明なことを言っている人物が存在します。
時間の経過とともに、転売先もころころ変わって、今度は本当、今度は本当と、まさに蕎麦屋の出前です。
自称キーマンは、自分だけが纏める力があると言いますが、このような人物が取り纏めたというような話を聞いたことがありません。
最近、この件で、元ノンバンクの社員だった人物から次のようなメールが来ました。
『ブリッジ案件となります。
物件金額○○億円、期間は最長2か月です。
金主には○億円(月利○%換算)をお渡しします。
手数料については○億円を貴社以降にお渡し致します。
買主名も既に確認済です。(○○○○提携企業)
御存知と思いますが、数年前の発砲事件や権利関係による裁判、詐
買主面談、出口での確定日付付売買契約書等、そろう前提でのお話
御検討を頂ければ幸いです。』
メールが来た10秒後に、この案件に資金提供を考える投資家はいないからお取扱い不可ですと断りました。
このメールをくれた人物の名誉のために言いますが、この人物は成約案件が多い人物で、ブリッジには明るくないからダメ元でメールをくれたのだと思います。
でも、このメールの中にある「手数料○億円」と言うような文言が魅力的に映るからでしょうが、こんな事件モノの案件に関係して、無駄な時間を費やしている人が多いのも、このような案件の常です。
まさにインチキM資金の如くです。
そもそも、このような事件モノ案件に資金アレンジをしたら、その資金が反社の周辺に流れるのは、なんだかんだ理屈をこねても必至です。
つまり資金提供してくれる投資家や投資会社も、何かの拍子で問題が起きれば、反社にお金が流れることが分かりながら資金提供したと言われても言い訳することができないぐらい、この代々木の案件位になると有名で、清廉潔白な案件にすでになっていると判断したと釈明すること自体が無理なのです。
でも不思議の不思議は、このような案件ばかりを案件として持ってくる人がいることです。
そもそも、案件の経緯を知れば、素人が手を出して良い案件かどうか常識で考えても分かるはずでなのにと思います。
この種の案件は六本木にも存在します。
まあ、いずれは誰かが綺麗にして開発までこぎつけるのでしょうが、私はこの種の案件は一切お断りしています。
こんな案件を取り扱わなくても、資金調達のサポートを希望するまっとうな顧客や案件は、本当にいっぱいあるのにと思います。
このような有名案件は不動産のブリッジ案件に限ったことではありません。
銀座にある会社の資金調達案件もそうですし、大阪のスーパーの手形割引案件もそうですし、もう破たんしたから実名を上げますが、雑誌出版社のインフォレストも、上場企業のインデックスもそうでした。
両社とも、私の周辺から10回はオーバーにしても、10回近く、あっちこっちから依頼があって、前者は代表者とも何度も面談していますし、後者は依頼された条件通りの資金をアレンジしましたが、まさにドタキャン王で、インデックス案件でドタキャンされたコンサルタントはいっぱいいるのではないでしょうか。
だいたい有名案件の会社はほとんど破綻します。
最近よく出回っているのは、某美容系会社の案件です。
「今回依頼する資金調達ができ、今の時期を脱すれば銀行が融資してくれることが決まっている」と聞いてから、もう1年以上経っているのに、今でも同じ文言で、先日も私が所属する社団に相談が来ました。
相談を受けた社団の担当者はこの案件が有名案件と知らず、私に相談が来たので、即断ってもらいました。
だいたい、粉飾バリバリな上、本当の代表者が分からない、実にふざけた会社です。
私だけでも4回来ているから、きっとあっちこっちに情報を垂れ流しているのだと思います。
資金調達が厳しい会社の経営者の方にぜひ認識していただきたいのは、資金調達のアレンジを依頼する相手は、本当によく吟味された方が良いということです。
あっちこっちに相談するのは、保険をかける意味もあるのかもしれませんし、ダメ元と思ってのことかもしれません。
有名案件になればなるほど、まっとうなところから資金調達ができなくなるのは金融の世界の常識です。
ぜひご留意いただきたいと思います。