"Getting Better" | タコさんの庭

タコさんの庭

ビートルズの歌詞和訳に挑戦

"Getting Better"

Writers : credited Lennon-McCartney (by Paul McCartney  )

Artist :  The Beatles

Recorded : 1967/3/09, 10, 21, 23 EMI Studios

Released : 1967/06/01(UK) 1967/06/02(US) 1967/07/05(JP)

      「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」A面4曲目

2009/09/09「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」[Remastered] 

2017/05/26「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND (SUPER DELUXE) 」

         Disc1 (2017 Mix)

         Disc3 (Take 1 - Instrumental And Speech At The End) 

                                   (Take 12)

         Disc4 (Mono)

 

ポールの本 「The LYRICS」には載っていませんでした。

  <歌詞和訳>"Getting Better" 邦題 "ゲッティング・ベター"       

         前より良くなっている

[Intro]

It's getting better all the time

    今すべての時間が良くなっている

 

[Verse 1]

I used to get mad at my school (No, I can't complain)
The teachers that taught me weren't cool (No, I can't complain)
You're holding me down (Ah-ah)
Turning me 'round (Ah-oh)
Filling me up with your rules (Fool, you fool)

    昔はよく学校でむかついていた(否(いや) 僕に文句は言えない)

    僕を教えた先生たちが冴えない奴だった(否(いや) 僕に文句は言えない)

    君らは僕を押さえつけて (あぁ)

    180度僕を変えようとした (おぉ)

    君らのルールを僕に詰め込んでいた(馬鹿げてる 君ら馬鹿なんじゃない)

 

[Chorus1]

I've got to admit, it's getting better (Better)
A little better all the time (It can't get no worse)
I have to admit, it's getting better (Better)
It's getting better since you've been mine

    認めざるをえない 前より良くなっていることを(良くなった! )   

    すべての時間が少し良くなっている(これ以上良くなることはできない )

    認めるしかない 前より良くなっていることを(良くなった! ) 

    良くなってる あなたが僕のものになってから

 

[Verse 2]

Me used to be angry young man
Me hiding me head in the sand
You gave me the word
I finally heard
You're doing the best that I can

    僕って奴は 前はよくキレる未熟者だった

    僕って奴は 現実から目をそむけていた

    あなたが僕にその言葉を授けた

    やっと僕の耳に届いた

    今あなたが 僕の可能性に最善を尽くす

    

[Repeat Chorus1]

I've got to admit, it's getting better (Better)
A little better all the time (It can't get no worse)
I have to admit, it's getting better (Better)
It's getting better since you've been mine

    認めざるをえない 前より良くなっていることを(良くなった! )   

    すべての時間が少し良くなっている(これ以上良くなることはできない )

    認めるしかない 前より良くなっていることを(良くなった! ) 

    良くなってる あなたが僕のものになってから

 

[Post-Chorus]

Getting so much better all the time

It's getting better all the time (Better, Better, Better)
It's getting better all the time (Better, Better, Better)

    すべての時間がこんなに良くなっている

    今すべての時間が良くなっている (良くなった! 良くなった! 良くなった! )

    今すべての時間が良くなっている (良くなった! 良くなった! 良くなった! )

 

[Verse 3]

I used to be cruel to my woman
I beat her and kept her apart from the things that she loved
Man, I was mean, but I'm changing my scene
And I'm doing the best that I can (ooh)

    昔はよく自分の女につらくあたっていた

    僕は彼女を叩いた それに 彼女が好きだったことからずっと彼女を引き離していた

    なんとも僕はひどい奴だった でも今の僕は自分の状況を変えて

    自分の可能性にベストを尽くす(うぅ)

 

[Chorus 2]

I admit, it's getting better (Better)

A little better all the time (It can't get no worse)
Yes, I admit, it's getting better (Better)
It's getting better since you've been mine
Getting so much better all the time

    僕は認める 前より良くなっていることを(良くなっている)

    すべての時間が少し良くなっている(これ以上良くなることはできない )

    そうだ 僕は認める 前より良くなっていることを(良くなっている)

    良くなってる あなたが僕のものになってから

    すべての時間がこんなに良くなっている

 

[Outro]

It's getting better all the time (Better, Better, Better)
It's getting better all the time (Better, Better, Better)
Getting so much better all the time

    今すべての時間が良くなっている (良くなった! 良くなった! 良くなった! )

    今すべての時間が良くなっている (良くなった! 良くなった! 良くなった! )

    すべての時間がこんなに良くなっている

 

 

????

1967年1月、「サタデー・タイムス」紙のジャーナリスト、「ハンター・ディヴィス」(当時30歳)に、公認のビートルズ自伝を書く事が許されました。

その自伝「ビートルズ」という本に「It's getting better」という項目があります。

ハンター・ディヴィス著「増補完全版 ビートルズ 下」 小笠原豊樹・中田耕治訳 175ページ

「イッツ・ゲッティング・ベター」
 また別の日の午後のこと。初めての春らしい日の午後、ポールは愛犬マーサを連れて散歩に出掛けた。「サージェント・ペパー」のための新曲作りの仕事があったが、ジョンはまだ現れていなかった。
 ポールは、マーサをアストン・マーチンの中に追いやると、自分もその場に乗りこみ、エンジンを始動させようとしたが、車は動かなかった。動かそうとして、どんどんと二つ三つ叩いてみたが、あきらめて、アストン・マーチンから下りると、窓を黒く塗ったミニ・クーパーに乗りかえた。一回目でエンジンは動き出した。ハウスキーパーの男が、大きな黒い門を開けると、ポールは脱兎のごとく飛び出したので、ファンたちはあっと言った。出て来たことをファンたちが感づくまえに、ポールは走り去っていた。

 プリムローズ・ヒルまで飛ばして行くと、そこで車を停め、鍵もかけないまま乗り捨てた。ポールは決して車にロックしない。
 マーサがあたりを走りまわり、太陽が雲の切れ目からのぞいた。とうとう春になった、とポールは思った。「だんだん良くなってくるぞ(イッツ・ゲッティング・ベター)」と独り言を言った。
 それは天候のことではあったが、このフレーズにポールは思わず微笑した。というのも、それはジミー・ニコルの口癖の一つであったからで、以前オーストラリアに行ったとき、いつも冗談半分に真似し合った文句だった。

 以前、リンゴが病気になって、演奏ができなかったとき、オーストラリア巡業の一部でジミー・ニコルがリンゴの代りを務めたことがあった。ビートルズのだれかがジミーに向かって、調子はどうだい、乗ってきたかい、うまくやっているかいなどと尋ねるといつも、彼の返事というのが、「だんだん良くなってくるよ(イッツ・ゲッティング・ベター)」であったのだ。

 その日の二時、ジョンがやって来て、新しい歌を作ることになったとき、ポールは、「『イッツ・ゲッティング・ベター』って唄を作ろうや」と言い出した。そこで二人は仕事にとりかかった。二人は、弾いたり、歌ったり、アドリブを入れたり、ふざけ合ったりした。曲の形がどうやらととのってきた頃、ポールが歌った。「ぜひ認めてくれよな、だんだん良くなってくるって(イッツ・ゲッティング・ベター)」
「きみは、『イッツ・ゲッティング・ベターって認めろ』って言ったのか」 

それからジョンもそれを歌った。そうこうして、朝の二時まで続いた。

ハンター・ディヴィスの本「ビートルズ」の初版は1968年、ビートルズとして活動している間に出版されました。(ビートルズの解散は1970年)

 

"Getting Better" は、

ある日の午後、ミニクーパーで、ポールが愛犬マーサプリムローズ・ヒルに行き散歩した時につぶやいた言葉から生まれた曲なのですね。

でもポールは、プリムローズ・ヒルで「It's getting better」と自分がつぶやいた事を覚えていませんでした。

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 416ページ

 ビートルズの伝記作者、ハンター・デイヴィスは一九六七年春にボールの自宅近くのセント・ジョンズ・ウッドで、愛犬マーサを連れた彼と一緒にプリムローズ・ヒルを散歩した様子を詳しく記述している。そのとき、ポールはジミー・ニコルの口癖だった "It's getting better"のフレーズを思い出したのだった。ニコルは一九六四年に五日間だけ、デンマークとオーストラリアで病気のリンゴの代役を務めたドラマーだった(*実際は六月四日から十三日までの十日間、他にオランダと香港とオーストラリアでの六公演を務めている)。ジョンが曲作りに現れたときには、ポールはこのタイトルに合う曲を作っていた。そのアイデアが浮かんだ瞬間をポールは記憶していない。

ポール「あの曲を作ったことしか覚えてないよ。アイデアはアイデアに過ぎないから、いちいちいつ浮かんだかなんて覚えてない。でも、曲作りの過程は覚えてるよ。コードを見つけて曲が浮かんだところから、僕の記憶は始まる。そこが重要なポイントなんだ。最初の思いつきは僕にはさほど重要じゃない。"ゲッティング・ベター"は、僕の音楽室にあるビンダー、エドワーズ&ヴォーンによる魔法のピアノから生まれたんだ。素敵な音色のピアノだった。蓋を開けると、ちょっと外れかかったような魔法の音が鳴る。しかも、あのペインティングが楽しいだろ。これは前向きな明るい歌。 自分を励ますために、前向きな主題の歌をときに書いてみるんだ。それに、どうせ他人の耳に入ることになるなら、みんなも励ます歌にしようと思う。これもそんな曲の一つ。

 

[Chorus1]

I've got to admit, it's getting better (Better)
A little better all the time (It can't get no worse)
I have to admit, it's getting better (Better)
It's getting better since you've been mine

    認めざるをえない 前より良くなっていることを(良くなった! )   

    すべての時間が少し良くなっている(これ以上良くなることはできない )

    認めるしかない 前より良くなっていることを(良くなった! ) 

    良くなってる あなたが僕のものになってから

 

妄想したのは、ジョンと洋子さんです。

「洋子が僕のもの(パトロン)になってからすべての時間において良くなった事を認めざるよえない、認めるしかない。」??

 

It can't get no worse」は、ジョンが考えた歌詞だとポールが言っています。

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 417ページ

「僕が "Getting better all the time (*どんどん良くなる一方だ)" とやっていると、ジョンが例のぶっきらぼうな調子で "It couldn't get no worse (*これ以上ひどくなりようがない)" と答えたので、『これはいける!』って思ったよ。こういうことがあるから、ジョンと曲を作るのは楽しいんだ! 似たようなことは他にも何度もあったよ。"シーズ・ リーヴィング・ホーム" のギリシャ風コーラスも、彼の応答なんだ。僕らの作曲手法の一つだね、僕がきちんと曲を練っておくと、そこにジョンが入って来て、カウンターパンチみたいにメロディを返してくれる。これは僕らにとってはよくある普通のことだったんだ。

「It can't get no worse」二重否定になっているので、訳には迷いました。

二重否定を生かして訳しました。

「これ以上良くなること(悪くならないこと)はできない」つまり「今が最高に良い」を妄想しました??

二重否定で訳さなければ「これ以上悪くなるはずがない」だと思います。

皆さんの思うように聞いてくださいね。

 

 

[Verse 2]

Me used to be angry young man
Me hiding me head in the sand
You gave me the word
I finally heard
You're doing the best that I can

    僕って奴は 前はよくキレる未熟者だった

    僕って奴は 現実から目をそむけていた

    あなたが僕にその言葉を授けた

    やっと僕の耳に届いた

    今あなたは 僕の可能性に最善を尽くす

 

Me」について、ポールは話しています。

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 417ページ

 文法を無視した歌詞はチャック・ベリーの影響だと思っていたけど、スラングで歌詞を作ったのは実はむしろジャマイカ的な影響だったんだね。一度ヴァースに入れてみたら、ぴったり合った、 "I used to be an angry young man" いう正しい言い方より、"ME used to..." の方がしっくり来るだろ。"ain't never done no wrong" みたいに、エルヴィスを始めとする先例を僕らは常に見習っていたわけさ。もし学校で『それは文法的に間違っていないかね?』と言われたら、『ええ、でも格好いいでしょ?』と答えるよ」。

「Me」から始まる歌詞を、ポールは格好いいと思っているんですね。

格好いい訳にしなくてはいけませんアセアセ 難しい…

 

「Me」で始まる歌詞は、 "Things We Said Today" にも出てきました。

"Things We Said Today"[Bridge]

Me, I'm just the lucky kind
Love to hear you say that love is love
And though we may be blind
Love is here to stay and that's enough

    僕ってやつは 本当に運がいい人間だ

    「ラブ・イズ・ラブ」と君が話すことに耳を傾けていたい

    僕たちは気づいていないだけで

    愛は根付いていて それで充分なのかもしれない

 

Me used to be angry young man」を、"Things We Said Today" と同じ訳にしました。

僕って奴は 前はよくキレる未熟者だった」

 

 

Me hiding me head in the sand」の

「hide one's head in the sand」は"Run For Your Life" にも出てきました。

その時は「あなたの頭を砂でかばって」と訳しました。

"Run For Your Life" [Chorus]

You'd better run for your life if you can, little girl
Hide your head in the sand, little girl
Catch you with another man
That's the end ah, little girl

    もしあなたにできるなら 自分の命のために逃げた方がいい かわいい人

    あなたの頭を砂でかばって かわいい人

    他の男と一緒のあなたを見つけたら

    それで終わってしまう かわいい人

 

以下の意味があります。

参考辞書 英辞郎より

hide one's head in the sand

表現パターン [put, hide, stick, have, bury] one's head in the sand

  1. 砂の中に頭を突っ込む
  1. 〔問題や嫌なことなどに対して実質的な対処をせずに〕現実[困難・差し迫る危険]を無視する[を直視しようとしない・から目をそむける・に目をつぶる・に立ち向かおうとしない・から逃げる]、知らぬ[知らない]ふりをする、見て見ぬふりをする

 

"Getting Better" の

「Me hiding me head in the sand」は、

「僕って奴は 現実から目をそむけていた」と訳しました。

"Getting Better"のこの歌詞から連想したのは、"Strawberry Fields Forever" の歌詞です。

"Strawberry Fields Forever" でジョンは「現実から目をそむけて生きることは簡単だけど… 大変になってきている。でもいつか解決するだろう」と歌っている気がします??

[Chorus]

Let me take you down
'cause I'm going to Strawberry Fields
Nothing is real
And nothing to get hung about
Strawberry Fields forever

    僕に君を離れた所へ連れて行かせてくれないか

    僕が今ストロベリー・フィールズに行くから…

    なにも現実のものはないんだ

    だから 過去にしがみつくことは何もない

    ストロベリー・フィールズ・フォーエバー

[Verse 1]

Living is easy with eyes closed
Misunderstanding all you see

It's getting hard to be someone
But it all works out
It doesn't matter much to me

    生きることは 君が見るものすべてに 違う解釈をしたまま

    目をつぶっていれば簡単だ

    その人になるには 大変になってきている

    だけど すべて解決するさ

    それは僕にとって それほど重要ではないんだ

 

 

angry young man」について、ポールは話しています。

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 416ページ

"angry young man" の部分は、ジョンと僕の学校教師に対する気持ちを表した。二人とも気持ちは同じだったからね。生徒を叱り過ぎたり、理解が足りなかったり、どうしようもない先生がいるだろ。そのことを言ってるんだ。

 

 

「You gave me the word」(あなたが僕にその言葉を授けた) の「the word

から妄想したのはジョンでした。

今までの曲でジョンの"The Word"がありますが、"Getting Better"と"The Word"の繋がりは感じませんでした。

私が妄想した「the word」は、

1966年11月9日小野洋子さんの個展に、ジョンが行った時に見た「yes」という単語です。「You gave me the word」(あなたが僕にその言葉を授けた) は、その日の出来事を歌ったのではないかと妄想しました??

バリー・マイルズ著「ビートルズ・ダイアリー」松尾康治訳 212ページ

 

オノ・ヨーコとの出会い
オノ・ヨーコ
彼女の個展『アンフィニッシュト・ペインティングス・アンド・オブジェクツ』の初日の前日、ヨーコはインディカ・ギャラリーの共同オーナーのジョン・ダンバーにジョンを紹介された。
ジョン:「ぼくはこの驚嘆すべき女性が来週個展を開くというのを聞いていた。それは黒い袋に人が押し込められていたりする、ちょっとしたハプニング・アートのようなものだった。だからぼくは個展のプレビューに行った。オープニングの前の夜にね。ぼくは入って ―― 彼女はぼくが誰で何者なのかを知らなかった ―― 中をぶらぶらと見ていた。ギャラリーにはくつろいで寝転がっている何人かの芸術家気取りの学生がいた。ぼくはびっくりしたよ。そこには200ポンドで売られているリンゴがあって、ぼくはそれが素晴らしいと思った。彼女の作品のユーモアをすぐに感じ取れたんだ。決してアバンギャルドやアンダーグラウンド・アートの知識が豊富である必要なんてなかったんだ。でも、そのユーモアはぼくを直撃した。台の上に新鮮なりんごがある(これはアップル社を作る前のことだ)。それはりんごが腐敗するのを見るための200ポンドだったんだ」
「でも、自分がそのアーティストに賛同するか反対するかを決めたきっかけは、実は違う作品だった。それは壁に掛けられている絵を見るための梯子で、その端にチェーンと小型望遠鏡のついた無地の白いキャンバスのように見えた。それは入口のドアの近くにあった。ぼくは梯子を上って、小型望遠鏡を覗くと、とてもちっちゃな"イエス"という文字が見えた」
「そう、だからぼくはこのアーティストに賛同したね。ぼくはほっとした、梯子を上って小型望遠鏡を覗いたら、 "ノー" とか "ファック・ユー" とか何とか言われなかったっていうのはとてつもない安心感を与えるんだ。それが "イエス"と言っていたのが、とても印象深かった。ジョン・ダンバーがぼくたちを紹介してくれた。 ―― ぼくらはお互いを知らなかった。彼女はぼくが誰だか知らなかった。ただリンゴの名前だけは聞いたことがあったと思うよ。だって日本語では "果物のりんご" の意味だから。そして彼女がやってきて、ぼくに彼女の教えの一つの "Breathe (息をしなさい)"と書かれたカードを手渡した。だからぼくはそうした(息を吸い込んだ)。それがぼくらの出会いだった」
 実はヨーコはビートルズが誰なのかをとてもよく知っていた。ジョン・ケージが近代音楽の原譜を集めていたため、ヨーコは彼の50歳の誕生祝いにレノンとマッカートニーの手書きの楽譜がもらえたら、と思いポールに数週間前に連絡を取っていた。ポールは断ったが、ジョンだったらくれるかもしれないと彼女に言ってあった。

 

[Verse 3]

I used to be cruel to my woman
I beat her and kept her apart from the things that she loved
Man, I was mean, but I'm changing my scene
And I'm doing the best that I can (ooh)

    昔はよく自分の女につらくあたっていた

    僕は彼女を叩いた それに 彼女が好きだったことからずっと彼女を引き離していた

    なんとも僕はひどい奴だった でも今の僕は自分の状況を変えて

    自分の可能性にベストを尽くす(うぅ)

 

「ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタビュー1980完全版」

デヴィッド・シェフ著 山川真理訳 317ページ

―― 〈ゲッティング・ベター〉。
ジョン: その曲は日記のような形で書いた。「かつてぼくは恋人にひどい仕打ちをした。殴ったり、彼女の愛するものから遠ざけたりした」という一節は、すべてぼくのことだ。ぼくは実際に、自分の恋人にひどい仕打ちをしたことがある。肉体的にね……いや、どんな女性に対してもだ。ぼくはすぐ殴る男だった。言いたいことがうまく言えなくて、殴ってしまうんだ。男とは殴り合い、女は殴った。だから今はいつも平和のことを語ってるんだ。愛と平和を求める者は、もっとも暴力的な人間だ。すべての物事は背中合わせなんだ。ぼくは愛と平和を心から信じてる。ぼくは暴力的な人間だが、非暴力的であることを学んで、自分の暴力を後悔している。自分が若い頃、女性をどう扱ったかという問題にきちんと向き合えるようになるまでには、もっと年齢を重ねないといけないだろう。

「I beat her and kept her apart from the things that she loved」

(僕は彼女を叩いた それに 彼女が好きだったことからずっと彼女を引き離していた)

の「she」はジョンの妻「シンシア」を妄想しました。

she loved」(彼女が好きだったこと)

「シンシアが好きだったこと」は、とにかくジョンと一緒にいることだと思いました。

ジョンと一緒にいたいと思うシンシアを、ジョンは遠ざけたのではないかと妄想しました??

しかも「kept」とあるので、ずっーと。

 

「アート・カレッジ」に在学していた頃、ジョンは付き合っていたシンシアを叩いたことがありました。

「ジョン・レノンに恋して」シンシア・レノン著 吉野由樹訳 62ページ 

 ある晩パーティに出ていたときに、だれかがジョンに、スチュアート(ジョンの大親友です)とわたしがいっしょに踊っていると告げ、ジョンが激怒した。ジョンの表情を見て、わたしたちはダンスをやめた。それまで何度も言ってきたように、わたしが愛しているのはジョンだけだと言うと納得したようだった。ところがその次の日大学で、ジョンはわたしを地下の女子トイレの前までつけてきたのだ。出てくると、ジョンは不機嫌な表情を浮かべて待っていた。わたしが言葉を発する前に、ジョンは腕を振り上げ、わたしの頬を平手打ちした。わたしは背後の壁に縦に走っているパイプに頭を思いきりぶつけた。激痛で気が遠くなり、足下がふらふらした。なのに、ジョンはなにも言わずに去って行く。ショックだった。ほんとうにショックだった。ジョンが言葉の暴力だけでは飽きたらず、実際に手を上げるなんて。ジョンの逆上や嫉妬や独占欲には我慢してきた。けれども暴力は我慢の限界を超えていた。フィルは正しかった。ジョンとの関係はこれでもうほんとうにおしまいにしなければならないと、わたしにもはっきりとわかった。

 

■ションが心を開きはじめる
 何週間ものあいだ、わたしは決してジョンと仲直りなどしないと、固く心に決めていた。近くに住んでいる男の子と何度かデートまでして、大学での後れを取り戻そうといっしょうけんめい勉強もした。とにかく、ジョンを心の中から追い払おうと躍起になっていた。
 ところが、それは容易なことではなかった。毎日大学へ行けば、必ず姿を見かけてしまうからだ。ジョンは校内のカフェテリアやレタリングのクラスで遠くからわたしを見ている。目が合うと、自分の目をそむけるまでのほんの一瞬のあいだに、ジョンもわたしも、以前と変わらずにおたがいのことを好きでたまらない思いでいるとわかってしまうのだ。友だちは、ジョンがわたしのことを思って寂しがっていると言うし、わたしだってもちろん恋しい。ジョンのユーモアも、音楽も、情熱も。
 三か月がたったころ、ジョンが電話をしてきて、自分のもとに戻ってきて欲しいと言われた。ジョンにとっては、勇気を奮い起こすのにこんなに長い時間がかかったのだ。わたしを殴ったことを謝り、二度とそんなことはしないと言う。わたしは少しのあいだためらったけれど、わかったと言った。
 ジョンは自分の言葉に忠実だった。自分のしたことを深く恥じていた。自分の中にわたしを殴るような素質があることをあらためて発見して、ずっとショックを受けていたのだろうと思う。だから、あいかわらず辛辣なことや意地悪を言ったりはするけれど、わたしに暴力をふるうことはその後は一度もなかった。さらに親しくなり、わたしたちの恋愛の第二段階に入ると、けなしたり言葉で攻撃したりしてくることすらなくなった。それはまるで、ジョンのそばにはいつもわたしがいてジョンを愛しているということを確信すればするほど、心の鎧も脱ぎやすくなったかのようだった。
 ジョンがわたしのことを信頼するようになると、心の傷や、自分の中に存在する迷える小さな少年の姿を見せながら、さらにおいたちの話をしてくれるようになった。 

ジョンは幼い頃、実の母親と離れて暮らさなければならなかったので、愛する人を失う恐怖が苛立ちとなって、恋人のシンシアを叩いてしまったのかなと思いました。

 

学校での先生へ反抗心。シンシアを叩いたこと。シンシアの好きなことを奪ったこと。

そんなジョンの悪い部分も含めて、洋子さんは「yes」という言葉で、ジョンを包んであげたのでしょうか??

"Getting Better" は、ポールが歌っていますが、ジョンをいっぱい感じました。

 

 

この時期のジョンの歌の妄想

以下は妄想です。

 

ジョンは洋子さんに出会う前から、自分はこのままでいいのだろうかと悩んでいた。

それが、"Strawberry Fields Forever" という曲になった。

ある日、ジョンはインディカ・ギャラリーで洋子さん出会った。

そこに置いてある梯子(はしご)を登って、

天井からぶらさがっている拡大鏡で覗くと

そこに書いてあったのは「yes」という文字だった。

ジョンの心は救われた。ほっとした。

ジョンは洋子さんの事が気になり仕事も手につかなくなった。

街をさまよった結果、ジョンは洋子さんの横で歩んで行くと決断した。

それが、"Good Morning Good Morning" という曲になった。

そのあと、ジョンは洋子さんに自分の気持ちを伝えた。

すると、ジョンのすべての時間がうまく動き出し、現実に目を向けることができるようになった。

それが "Getting Better" という曲になった。

以上、妄想でした??

 

 

洋子さんの Face Book に載っていた写真に感動

2023年11月30日洋子さんの Face Book に、

1966年11月9日に、ジョンが登っただろう梯子の写真が載っていました。

拡大鏡もぶらさがっています。

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02Emw8qU7CamjeB3NCRLPh7jtXNFcwuZJa4bD4FkQMbFSiS3GaHN3ydrB1Dtrn65uxl&id=100044432079529

 

そして、その翌日2023年12月1日の Face Book には、

拡大鏡を通して見える「yes」の文字の写真が載っていました。

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02xzKHNK9fYDxNLL4kAeDKMgQHMePM5KKbkysg6Wn4bukhikYC2265uxaX7TfXqwh1l&id=100044432079529

 

ジョンが言うように天井にある枠が「無地の白いキャンバス」のようですね。

そこに、本当に小さい小さい字で「yes」と書いてありますね。

いいんだよ!と自分を肯定してくれたような、前向きな気持ちなりますね。

ジョンも、そんな気持ちになったのでしょうか。

 

 

辞書

情報提供元(著作権者)Weblio

参考辞書 英辞郎goo辞書

(引用できない英辞郎goo辞書を使って訳した場合は、その単語や慣用句を太字斜体にして、自分で訳した訳を載せました)

better : (…より)いっそうよい、(二者の中で)いっそうすぐれて(いる)、(容態・気分など)(…より)よくなって、(病後)回復して、元気になって

getting better : 良くなってきている
It's getting better : だんだんよくなっている

all the time : その間中ずっと、いつも、常に
used to : よく~したものだ;以前は~したものだった

get mad : 頭くる、頭来る、かっか、怒る、瞋る、怒る、かっかする、頭にくる

at school : (学校へ行って)授業中、〈場所〉・学校で

complain : 不平を言う、ぐちをこぼす、泣き事を言う、訴える、苦情を言う

complain : No, I can't complain「いや 僕に文句は言えない」

cool : 涼しい、ほどよく冷たい、少し冷たい、ひんやりする、(見た目に)涼しそうな、暑さを感じさせない、冷静な、熱のない、冷淡な、よそよそしい
hold down : (…を)(下に)押さえ(つけ)ておく、低く維持する、抑制する、自由を抑える、従属させる、維持する、保つ

turn : 〔+目的語+副詞(句)〕(回転させて)〈…の〉方向[位置]を変える.

     例文 He turned his chair around [toward me]. 

       彼はいすの向きをぐるりと変えた[私のほうに向けた].

around : 周囲に、周りに、四面に、周囲が(…で)、(ぐるりと)回って、ぐるぐると、みなに行きわたって、(ぐるりと)反対の方向に向きを変えて、あちこちに、ここかしこに

fill up : (…を)いっぱいに満たす、満員にする、満タンにする、(…を)ぎっしり詰める、埋める

fill up with : 〈池などが〉〔…で〕埋まる

fool : ばか者、(昔、王侯・貴族にかかえられた)道化師、(他人に)ばかにされる人、笑い者、(…に)目のない人、(…が)好きでたまらない人、(…の)達人、熱狂家、名人

have got : もっている、しなければならない、する必要がない、(…に)ちがいない、きっと(…の)はずだ

have got : 研究社 新英和中辞典での「have got」の意味

《★【用法】 (1) 話し言葉では have got は have の, また have got to は have to の代用になる; (2) 一般に have got (to) は have (to) よりも強調的》

   have got〔+to do [be]〕 : 〈…〉しなければならない.

admit : 入れる、入ることを許す、(…に)入れる、認める、認めるのだが、確かに、収容できる、(…の)余地を与える、許す
little : [a little で肯定的用法で] 少しは(ある), わずかながら(ある)

worse : (…より)いっそう悪い、なお悪い、(容態・気分など)(…より)よくなくて、悪化して
since : …以来、…の時からずっと、…した時から(今までの間に)、…してから(…年目になる)、…だから、…のゆえに

used to : よく~したものだ;以前は~したものだった

man : 青年; 若輩; 弱輩; 若人; 若い男; 壮者
hide one's head in the sand : Me hiding me head in the sand

               「僕とういう奴は 現実から目をそむけていた
gave : give の過去形

give : 与える :、あげる、(…に)提供する、授ける、(引き)渡す、(手)渡す、出す、施す、(…を)引き渡す、預ける

finally : 最後に、終わりに当たって、ついに、とうとう、最終的に、決定的に

finally : I finally heard「やっと僕の耳に届いた」

cruel : (人に苦痛を与えても平気でいる、という意味で)残酷な、冷酷な、無慈悲な、じゃけんな、(…に)じゃけんで、つれなくて、(…を)虐待して、残酷で、悲惨な

cruel : I used to be cruel to my woman

   「昔はよく自分の女につらくあたっていた」

cruel to : じゃけんで、つれなくて、虐待して

beat : (続けざまに)打つ、(手・棒などで)(…を)連打する、たたく、(…を)たたく、(…を)たたき出す、撃退する、(…を)(…に)たたき込む、(…を)たたいてする、羽ばたく、ドンドンさせる

keep : 〔+目的語+補語〕〈…を〉ずっと〈…の状態に〉しておく,保つ.

apart from : …から離れて、…は別として、…を除いて、…のほかに

man : 間投詞《口語》 [驚き・熱狂などを表わして] これは,なんとまあ.

Man, what a place! いやはや, なんたる所だ!

mean : I was mean「僕はひどい奴だった」

scene : (映画・テレビなどの特定の)場面、シーン、(劇・映画などの)舞台面、背景、道具立て、書き割り、(舞台面を思わせるような)景色、風景、光景、(社会の)情勢

scene : (社会の)情勢,情況.