久しぶりに車ネタの足周りの話でもします。

最近では通販等でも良く分からないバルク品や工業用ボルトを無理矢理流用した様な形で売られているキャンバーボルトなる物が流通していますが

今回はキャンバーボルトは純正のままで僅かにキャンバー角を付けるセコ技と知識を書きます。


ここで言う純正キャンバーボルトとは「メーカーがアフター品として出している補正用細ボルト」や「他社メーカー品流用」でも無く本当に「車体に付いてるキャンバーボルトそのまま」で僅かにキャンバー角を付けるセコ技です。


この知識が有れば僅かにはみ出しているホイールリムやタイヤをギリギリのツライチまで収めることが出来るかも知れません(保証はしません)。


今回は足車で使っている初期型ミライースをドナーにしました。(ローダウンサスで約3.5~4cm程ローダウンしてあります)

キャンバー角の違いが分かりやすいように敢えて大口径のリムが目立つ17インチもついでに採用しています。

タイヤホイールは165/40r17のナンカンNS-2に5.5J+42インセットホイールになります。


上の写真は僅かなハミタイをセコ技でツライチにした写真です。



因みにビフォーは↑な感じで見事にリム分だけフロントが数ミリ出ているのがお分かりになるかと思います。

※今回テスト車両がダイハツで、ダイハツ車は元からリアのアクスルに約1°程キャンバー角がネガティブ側に付いております その為リアにキャンバープレートを入れているのでは?と思われるかも知れませんがダイハツ車はこれが正常です。

スズキなど他社の場合はほぼ0°なのでリアはもっとズドーンと垂直に見えます。



セコ技キャンバー施行後のフロントからのビューです。綺麗にツライチに収まりました。


このセコ技をセコ技と呼ぶのも語弊が有りますが結論から言うとキャンバーボルトの取り付け方を見直す事でこの様に出来ます。


まず、今回のテスト車両ミライースの場合はフロントがストラット式サスペンション、ハブナックルとの固定ボルトは上下2本でM12と言うボルトになります。(ミライース及びダイハツに限らず殆どの軽自動車はだいたいこの規格のキャンバーボルトです)


小難しい話になりますが「M12ボルト」と1口に言っても厳密に言うと車等に使われる規格のボルトは、ほぼ実寸でマイナス公差で作ってあります。これは各ボルトメーカーも公称していますが並と呼ばれる1番安い精度のボルトを除くとボルト(もっと広い括りで言うとネジ)は僅かにマイナス公差である事が殆どです。


実際にダイハツ純正のキャンバーボルトをノギスで精密に測るとボルト径は11.7mm辺りである事が多いです。

また純正状態でも実は、軽微なフロント事故などに対応する為に僅かにナックルのボルト穴とキャンバーボルトに「ガタ」が設けてある事が殆どで、今回はこの仕様を逆手に取ります。

※因みにこの純正状態のガタでも補正不可な領域のキャンバー対応の為に純正メーカーから細キャンバーボルトが発売されていたりします。

純正品キャンバー細ボルトに交換は実はフロント事故車の補正品だったりします。


実際にフロントのストラットとナックルを固定しているキャンバーボルトを緩めて車体に向かって押し引きすると僅かにガタが出るのが分かります。赤丸の穴に対してボルトが僅かに細い事を意味しています。

※写真は別の作業の流用なので実際には抜かずとも、上下緩めるだけで大丈夫です。


上下の純正キャンバーボルトを手で揺するとハブがガタつく位まで緩めて写真の青矢印方向にハブを押し付けながら締め直します。

※全部引き抜くと車種によってはロアアームの肩が下がりドライブシャフトが脱臼して面倒な事になります。必ず緩める程度で大丈夫です。


この押付けてからの締め込みは世間一般のキャンバーボルトと言われる物に交換する時と同じ方向で、要はキャンバーボルトとナックルの穴分のガタをネガティブ側に、めいいっぱい利用して締め付け直します。

ただこれだけです。


緩めるのはどちらからでも良いですが締め込む時は上から下と締める方が良いでしょう。

純正ボルトで作れるガタは僅かな物なので2人で分担して、1人がハブを車体側に寝かす(押す人)、もう1人がナックル嵌合部を締め込む人と分担すると確実でしょう。


キャンバーボルトも実は上下で締め付けトルクが微妙に違っており、上側よりも下側のボルトの方が僅かに締め付けトルクが高めに決められていることが殆どです。


そんなに神経質じゃないよって人はM12キャンバーボルトの場合上下100~110N・m程で締めておけば問題無いでしょう。

このトルクだとそのままトルクレンチ固定でタイヤホイールの締め付けにも流用出来ますw


細かな話だと上側90~95N・m、下側110~115N・m当たりでM12のキャンバーボルトは締め付けトルクがメーカー指定されている事が多いです。


このセコ技を使うとトー角も僅かに狂いますので再調整した方が良いですね

因みに肝心のキャンバー角は不明ですが概ね0.5°前後は付くのでは無いでしょうか。


キャンバーボルト導入は論外、甘キャンにも抵抗がある、でもちょびっとだけネガティブキャンバーにするだけで理想のツライチ!

そんなマニアックな方に向けた記事でした。