時の流れの早さを感じた事

 自動車整備関係の仕事をしている私からすると、やはり「昔は持ってる所が少なかった設備や道具」が今では どこの工場にも当たり前にあり、そして利便性と効率性を非常に良く向上させた物だと思います。



ある程度の年代の方だとやり方含めてご存知かと思いますがタイヤ交換もかつては「手組み」と言う手法がありました。

名前の通りタイヤ交換専用のチェンジャーという機械を使わずに人力と手動工具でタイヤ交換する方法ですね。


因みにこちらがタイヤチェンジャーと言うもので今は殆どの民間工場やガソリンスタンドも当たり前に持ってる便利な設備です。

軽自動車〜コンパクトカークラスのタイヤサイズなら1本当たり3分程度で脱着からエア充填まで出来てしまう神明革命です。

もうこのタイヤチェンジャーの存在意義を認識したら手組みなんてやるメリットが無いんですけど、やっぱり人間って久しくやらなかったら何でも感覚鈍るじゃないですか。


それでもって、本当に時間があって身内の足車でホイールが鉄チンの時などは年に2~3回くらい腕力維持も兼ねてタイヤ手組みをしています(笑)


手組みも実はデメリットばかりでは無く、メリットも有ります。出来る方にとってはメリットの方が大きいでしょう。


ビード(タイヤの内側のホイールに硬く張り付く部分)の固着具合で作業時間がかなり左右されてしまいますが最近のエコタイヤなんかはタイヤ全体が比較的柔らかいんで「ビードブレーカー」と言う専用の道具を使わず タイヤレバー2本と体重でビードが落とせる事が多いです。

もちろんコツは必要です。

最低限、400mm前後のタイヤレバー2~3本、虫ゴム緩め、溶剤を含まない油脂スプレーが揃っていれば状態の良いタイヤホイールであれば1本10分足らずでタイヤ外せます。



タイヤを外したら新しいタイヤを組みます。組む方は簡単です。

タイヤの状態が良くて、ビードワックス等もしっかり塗布できていると13~15インチ位までの軽自動車サイズなら下手したら靴と膝で押し込むだけで組める事もあります。

体重だけで厳しい様なら補助的に写真のように小型のタイヤレバーをスポット的に使ったりすると難無く嵌ります。


1番のメリットは店で発生する脱着工賃を抑えれる事。ある程度時間のある時に急がないタイヤ交換を自分のペースで出来る事では無いでしょうか。


良く「手組みは傷が付く」と言います。じゃあタイヤチェンジャーを使ったら全く傷が付かないのか?と言われるとそれも実はNOです。

勿論、チェンジャーテーブルの爪で挟むので地面で擦る様な傷は付きませんが

「ホイールのリム内側にタイヤレバーを引っ掛けて円周状に作業していく」と言う理屈は変わりませんから 厳密に言うと「外から見えない所に傷が付きにくい」と言う方が正しいですね。


あとはショップでも言われることが有りますが「低扁平率タイヤ」や「特殊塗装のホイール」も傷の誓約を取られることが多いです。


扁平率が薄いタイヤほど、サイドウォール(タイヤの側面)が硬く、タイヤチェンジャーで組む際もタイヤレバーで ややこじりながら回さないと タイヤの硬さに負けてチェンジャーがスリップします。ある程度扁平率のあるタイヤだとチェンジャーで押さえてる反対側に全体重を掛けてタイヤを潰しながら回してやると スポッと嵌ります。


大体50~45扁平あたりからは幾らタイヤチェンジャーと言ってもやはり手工具を組み合わせないと組み込めない事が多いですね。


特殊塗装や自家塗装なんかのホイールはチェンジャーの「爪」で挟んだ時点で傷が入ったり チェンジャーを回して行く時に円周状に傷が入りやすいので嫌がられます。


まあ、組む側としては「外から見えない所にキズが入るよう隠し組む」事もしばしば、、


タイヤ手組み…なんだか昭和のワードのようで懐かしくなりました。

 

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